あるアマチュアゴルファーの挑戦!
ゴルフ初心者でサラリーマンの百打一郎と書くモモダ・イチロウさんのゴルフ挑戦記です。その内容は初心者でなくとも大いに役立つスグレモノ。誰もが目から鱗が落ちるゴルフレッスン物語の始まりです。
文:久富章嗣(ゴルフ工学研究所所長)編集:島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)
『社内通知』
私がゴルフ始めたきっかけは、ある日突然、会社の部長、その名前は名高地正治さんからいきなり、「4カ月後、お客様のコンペがあるから出るように」と言われ、部長の使い古しのクラブとゴルフバッグを渡されたことからです。
私は50歳、1人の娘と妻の3人家族。マンションのローン、車のローンとまだローンレンジャーの身、ゴルフをするなんてことを妻に言ったら何て言われるか。独身ならばなんの抵抗もないわけですが、これからの娘の大学の学費などを考えれば不安なことばかりです。
それはさておき、私は小、中、高とサッカーに夢中だったのですが、私の父は万年ダッファーで、サッカーの練習がない時、おやじについて行ってゴルフの練習をしたことがありました。
グリップはこうやって握るんだと言ってオーバーラップを学び、「左腕を伸ばし、ボールをよく見て打て」と教わったのですが、その時はまだサッカーに夢中でしたので、気晴らしのつもりでゴルフを楽しんでいました。
しかし私がゴルフを始めることになった今、あの時にもう少し真剣にやっておけば良かったと後悔しましたが、若い時はスポーツとは体をハードに動かすもので、ゴルフは中高年のスポーツだと思っていたのです。ともあれ、今さら後悔しても仕方がないと諦めました。
社会人になってからは運動というものは何もしなくなり、自分の体がぶよぶよになり、「ちょっとゴルフでもやってみようか」と心動かされことはありますが、コースに出るようなことはなく、たまに、テレビでゴルフ番組を見るくらいでした。そんなわけで、「私はほとんど素人なのです」と部長に伝えたのですが、「大丈夫だよ、君は運動神経も良いし何とかなる。良いチャンスだし、始めてみれば」と、まあ、簡単に言われてしまったわけです。
こうして、その日からゴルフのことが頭から離れず、どうしょうかと仕事にも集中できません。数日経ってお客様回りをすると、情報がすでに流れていまして、お客様のほうから「今度コンペに出るんだってね。頑張って」と先に挨拶されてしまったというわけです。
しかし、お客様とはそれから数時間もゴルフの話に花が咲いてしまい、あっと言う間に時間が過ぎていました。いつならお客様の気分をそこなわないように気を使っていたわけですが、今回はただリラックスして楽しく話せたのです。その感覚はいつもの自分と違っていて、とても不思議なものでした。しかしなんだかゴルフが面白くなってきて、とにもかくにもやってみようと心が決たったのです。
そこでまずは知識を得るため本屋に向かいました。わけもわからず、趣味とスポーツの棚の前に立っていたわけですが、そこには「スライス治療法」「基本レッスン」などたくさんの本が出ていて、どれを選べばよいのかさっぱりわからなかったのです。
次に雑誌売り場に行ってゴルフの週刊誌と月刊誌を立ち読みしました。そこには「ゴルフスクールが嫌いだから毎日1人で練習場で打っている」とか、「人にああしろこうしろと言われるのが嫌だ」などと書かれています。初心者はみんな同じ気持ちなんだなあと、安心感を覚えました。
とはいえ、今の自分には時間がなく、1人練習する余裕などありません。4カ月後にはプレーしなければならないわけです。今さら知らないコーチにつくのもためらわれます。だったら部長に教えてもらおうと思いました。部長に相談したところ、快諾してくれました。
部長から練習場に行く日時を決めてもらい、遂にいただいたクラブを振る日がやって来たというわけです。何事をするにも勇気と諦めが必要だと知った第一歩でした。
(続きは一週間後、お楽しみに)
