百打一郎と申します!第2ステージ第3回

『ショートコースで初ラウンド』

 遂に師匠の正治さんとショートコースをラウンドすることになりました。都心からも近い川崎市にある「多摩川ゴルフ倶楽部」です。9ホールしかなく、すべてパー3の多摩川の河川敷にあるコースです。平日だと9ホール回って2750円と結構安くて嬉しくなりました。

 一緒に回る常さんと弁さんと受付を済ませ、さっそくスタートです。1番ホールにやってくると、ティグラウンドの脇に看板があり、137ヤードで右グリーンであることがわかります。このコースは左右に2つのグリーンがあるのです。正治さんは「好きなように打ってみなさい」と言うだけです。

 ティグラウンドに立ったとき、私は練習場の雰囲気とは異なり、緊張から体は硬直しているのがわかりました。上手く打たなければと思ってしまったのでしょう。また、グリーンは遠くにある感じがして、ティショットをしっかりと飛ばさなければと思ってしまいました。

 ティショットの狙いは真っ直ぐで良いのでしょうか?それとも右のピン方向なのか、ピンと反対方向の左グリーンをなのか?迷いましたが、左サイドに広さを感じたので、今回は右グリーンを向いて、練習でやったようにユーティリティで引っ掛けることにしました。

 やってみると思ったように左に引っ掛かり、右グリーンの左に110ヤードまで飛びました。しかしこれを見た常さんと弁さんは、なぜ右にあるグリーンを狙わないのか、不思議な表情をしていました。

 2打目は7番アイアンの正治さんから教えてもらった「Xラインアドレス」(前回参照)でグリーンを狙いましたが、距離感がわからず、オーバー目に乗りました。グリーン奥からの下りのパットは難しく、1打目は2mオーバー、返しのパットはショートしてスリーパットで終えました。結果は5打でのダブルボギーです。

 正治さんはスリーパットで上出来だと褒めてくれましたが、私はグリーン手前にボールを運び、奥ではなく、手前に乗せ、やさしい上りのパットを打つという発想が大切なのだなと直感しました。

2番ホールは134ヤードで右グリーンです。

ティショットはグリーンをオーバーしました。そこからのアプローチを正治さんの指示で、ユーティリティでパターのように打ったところ、上手くオンできて常さんと弁さんはビックリしていました。そんなクラブでアプローチするプレーヤーは見たことがないと言っていました。

 正治さんはボビー・ジョーンズは幼少の頃、ウッドを短くしてアプローチ用として使っていた。ランニングアプローチをマスターするにはベストの方法で、ダフリやトップすることもなく、距離感さえ磨けばチップインも可能だと解説してくれました。

 グリーン手前にボールを運ぶ発想と、ランニングアプローチの距離感が噛み合えば、寄せワンの確率が高まるとのことです。さらに余談だけどと言い、「日本オープンでリー・トレビノがアプローチでウッドを使用したので、解説者がビックリしてプレー終了後にインタビューで質問したところ、トレビノは手前に少し伸びた芝があることがわかって、パターでは強くヒットする必要があってデリケートなタッチを失うので、ウッドで打ったと説明した」というエピソードを話してくれました。

 つまりウッドはアプローチで昔からよく使うテクニックだということです。いろいろな方法にチャレンジしょうという正治さんの「思考の脱力」が大切だと実感しました。

 3番ホールは170ヤードとこのショートコースで最も距離があります。グリーンは右ですが、かなりピンが小さく見えます。

 もちろん私は1打でグリーンに乗せようとも思いません。練習場で繰り返しやったユーティリティでの引っ掛けで打ちました。130ヤード飛んで、第2打はピンまで40ヤードです。7番アイアンで「Xライン」のランニングアプローチを行い、グリーン手前に運びました。そこからはユーティリティで乗せ2パットと今日のテーマを忠実に行いました。結果はダブルボギーの5ですが、とても上手くプレーできたと感じました。

 5番ホールは60ヤードと今回最も短いホールです。右グリーンですが、盛り上がっている砲台グリーンです。ピンは手前に切ってありました。私は7番アイアンで転がしましたが、強くクラブが入ったのでグリーンオーバーしてしまいました。常さんや弁さんは、私が7番で打つ意味がわからないと言いながら、常さんはサンドウェッジでフルショット、それが届かずアプローチをチャクリしてスリーオン、ツーパットのダブルボギーでした。

 私は砲台グリーンの奥からユーティリティでグリーンエッジまでオーバーしましたが、再びユーティリティを使ってピン20cmに寄せ、ワンパットのボギーでした。行ったり来たりのショットでしたが、ワンパットのボギーで上がることができました。

 常さんよりも1打よかったことで、アプローチの大切さとゴルフはボールをどのように上手く運んでいくかを考えるゲームなのだと実感しました。それが「コースマネジメントなのだ」と正治さんに言われました。なるほどです。

 6番ホールからグリーンが左に変わり、ショットがいきなりシャンクし、隣のホールへ飛んでいきました。グリーンが右から左に変わった途端に引っ掛けショットができなくなりました。

 今まで左側に余裕を感じたのが、グリーンが左に変わったので、左側に余裕を感じられなくなり、左に引っ掛けるのが怖く、本能的に右に突き出すショットになったのです。次のホールも同じ恐怖感からショットが乱れ、致命的なミスが続き大叩きとなりました。

 正治さんはすかさず「次のホールでは、ティショットをユーティリティではなく飛ばない9番アイアンで打つように」とアドバイスしてくれ、引っ掛けショットをフェアウェイに止めることができました。

 その後、引っ掛けショットの感覚が戻り、力を抜いたショットが打てるようになりました。経験不足を感じるとともに、応急処置の方法も学びました。

 常さんや弁さんはゴルフ経験が長いもかかわらず、常にフルショットしてボールを運んで行くという意識ではなく、毎回、真っ直ぐ飛んだ、飛ばなかった、グリーンに乗った、乗らなかった、の繰り返しでゲーム感覚のないプレーぶりでした。いつも正治さんが言っている「苦節15年、悩み多きゴルフを長年続けている」のだなと、そのプレーを見て感じました。

                            (次回に続く)

文:久富章嗣(ゴルフ向学研究所所長) 編集:島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)

※このたび、久富さんのドリルを集めた本『月3回の練習で100を切る!久富ゴルフ・レッスンブック』の電子版がアマゾンより発売されました。オールカラーの改訂版です。『百打一郎と申します!』がよりわかりやすくなること請け合いです。

「多摩川ゴルフコースレイアウト」

        多摩川ゴルフ倶楽部 

  • コース 9H
  • 距離 1205Y
  • 最長ホール 170Y
  • 最短ホール 60Y
  • パー 27
  • グリーン 2グリーン

  (多摩川GC ホームページより)

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