YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits その10

どうしたらスコアアップできるか part3

3パットをしない だからこそアプローチを練習する

「ゴルフのスコアの60パーセントは、ピン(旗竿)から125ヤード以内で打たれたものである」

これはサム・スニードのスコアづくりについての名言です。PGAツアー選手のラウンド前の練習は、おおむねパットが全体の40%、ショットは60%で、そのうち100Y以内が75%、アプローチ(チップショット)は100Y以内のショットの50%です。つまりアプローチは全ショットの30%になります。合計すると全体の70%はパットとアプローチの練習です。pre-round warm-up routine

サム・スニードは、タイガー・ウッズに抜かれるまでツアー最多勝82勝のレジェンドとして有名です。むしろ、ルールで禁止になったサイドサドルスタイルのパッティングが印象に残っている方も多いかもしれません。からだをカップに正対して構え、パターをからだの正面で斜めに構えたパッティングがサイドサドルスタイルです。クローグリップをはじめ変則なパッティングスタイルは、苦手なパターを克服するために編み出されたものです。つまりサム・スニードはパッティング、特にショートパットが苦手だったのです。そのために誰も思いつかなかったサイドサドルスタイルを編み出したといわれています。

パットが苦手なだけに、サム・スニードの“スコアの60%は125ヤード以内で打たれたもの”という言葉に重みがあります。125Y以内とはもちろんパット数が含まれています。ちなみに重度のイップスにかかったジョージ・ロウは名器ジョージ・ロウパターをつくり、ジャック・ニクラスが長い間使って数多くのメジャーに勝利しました。パターが苦手だったアベレージゴルファーのカーステン・ソルハイムは画期的なピン型のパターを発明し、いまでもパターの代表的なモデルとなっています。

アマチュアゴルファーにスコアアップのためにはどんな練習をするかと聞くと、

○100切りゴルファーならドライバーの飛距離アップと7番アイアン

○90切りゴルファーならドライバーの飛距離アップとアイアンとアプローチ

○80切りゴルファーならパッティングとアプローチ

と答えるかもしれません。これはそれぞれのレベルのゴルファーの練習を見れば、一目瞭然です。

100切りゴルファーはドライバー・アイアンのフルショットの練習はたくさんしますが、アプローチの練習はほとんどしません。パットの練習はラウンド前だけであとは皆無でしょう。

90切りゴルファーはドライバー・とアイアンのフルショットの練習を一生懸命やって、アプローチの練習はそこそこ、パットの練習は少しだけです。

80切りゴルファーはパットの練習を欠かさず、アプローチの練習をしっかりやり、ドライバーとアイアンの練習はそこそこです。

だいたいこんな感じではないでしょうか。ゴルファーのスコアとパット・アプローチの練習量は反比例します。

ゴルフレッスンの神様 ハーヴィー・ペニックは“スコアを5つ縮める方法”をアドバイスしています。

「アベレージゴルファーが進歩するときは、ワンストロークずつ良くなるわけではありません。

進歩は一気にやってくるものです。95は突然90になるものです。

87は一度に81になってしまうものなのです。

同じようにコンスタントに80を維持しているプレーヤーも、あっという間に70半ばにまで縮めることができます」

まるで魔法のような言葉でにわかには信じられないかもしれません。それもそのはずです。スコアが5つ縮

まる練習をやって(やり続けて)いる人はシングルゴルファー以外(ゴルファー全体の約5%)いないからです。

その練習とは・・・

「ショートゲーム。それは魔法の言葉です。

スコアが高ければ高いほど、ショートゲームを覚えることによって、早くスコアを縮めることができます」

とハーヴィー・ペニックがアドバイスしています。

さらに「2週間、練習時間の90%をチップとパットに費やし、残りの10%だけをフルスウィングにすることです。こうすれば95のスコアは必ず90になるはずです。私が保証しましょう」と保証付きです。なんとも心強い言葉です。こんな保証をしてくれるレッスンプロをほかにご存知でしょうか。

しかし、現実は、

「アベレージゴルファーがわかったとうなずき、そうだと言っているのが目に見えるようです。するべきことはそれだけと言っているのも。しかし、それが実行されるのを私は見たことがありません」とも語っています。

こうした話に、シングルゴルファーは深くうなずき、アベレージゴルファーは、耳の痛いはなし、いや馬耳東風という感じでしか聞こえていないかもしれません。

アプローチの練習の意味を考える

アベレージゴルファーはパットの練習をしません。アプローチの練習も気休め程度しかやらないでしょう。

その理由は、

パットとアプローチの練習をやらないゴルファーの意識(勘違い)。

〇飛距離が伸びればスコアがよくなる

〇アプローチ、パッティングをする前に、ロングショットを上手く打つ必要がある

〇パットとアプローチの数はアベレージゴルファーもシングルゴルファーも大きな差がない(OBや池ポチャ

がない)

〇練習場でアプローチとパットの練習をするのはもったいない

というような意識からでしょうか。

実際のラウンドを観察してみると

ティーショット

シングルゴルファーは、OB・池などを避けてフェアウェイへ。アベレージゴルファーは、とにかく飛ば

そうとして、左右に曲がってバンカー・ラフや傾斜地へ、飛距離はシングルゴルファーより飛ぶ人もいる。

セカンド・サードショット

シングルゴルファーは、バンカーなどを避けて安全でアプローチしやすいところを狙う。アベレージ

ゴルファーは、ライや状況に関係なく残り距離をフルショットし、ピンを狙ってバンカーやラフへ。

アプローチショット

シングルゴルファーは、アプローチしやすいところからパットしやすいところにのせる。アベレージゴル

ファーは、アプローチしにくいところからピンを狙ってむずかしいパットが残る。

パット

シングルゴルファーは、パットしやすいところから1or2パット。アベレージゴルファーは、下りや左右

に曲がるラインから2or3パット。

これでパー4のホールのスコアは

シングルゴルファーは4or5(パーかボギー)に対して、アベレージゴルファーは5or6or7(ボギーかダブルボギーかトリプルボギー)になります。実際のラウンドではシングルゴルファーは80(+8)前後なのにアベレージゴルファーは90(+18)から100(+28)くらいになってしまうのです。

何を練習すればスコアがよくなるか

(ドライバーの)ティーショットはどうでしょうか。何年も日々あれほど熱心に練習しているドライバーショットは上達しているでしょうか。200Yを40Yの幅に打つことはできるでしょうか。セカンド・サードショットのフェアウェイウッドやアイアンは上達しているでしょうか。100Yを20Y以内の幅に打てるでしょうか。100Y・50Y・30Y・15Yのショットでミスなくピンから15~5Y以内に打てるでしょうか。

ショットは、飛距離があればあるほど難しくなるのは当然のことです。ティーショットは練習しても飛距離ばかりを追求していたのでは上達しません。フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアンも同じです。練習場でドライバーとアイアンのフルショットばかり練習していて、見違えるほど上達した人を見たことがありません。しかし、現実は、多くのゴルファーはスコアアップに効果のないマン振り練習ばかりしているようです。

トップアマとしても有名な歌手 ビング・クロスビー(ホワイトクリスマスで有名 AT&Tプロアマの前進はビング・クロスビー プロアマ)は「どうしても友達になれない人種がいる。小さなウソをつくやつと、アイアンの飛距離を自慢するやつ。」と語っていました。アマチュアはドライバーだけでなくアイアンまで飛距離アップしようとマン振り練習に励んでいる人がたくさんいます。キャディーバッグにはなんのために何本ものアイアンが入っているのでしょうか。

アベレージゴルファーはスコアに対する勘違いがあるために、アプローチとパットの練習をほとんどしません。この勘違いさえなくなれば、スコアはたちまちよくなります。

スコア100のゴルファーのパット数はおおむね40パットです。つまり1ラウンドで4回(40-36=4パット)3パットしているのです。もしもパット数を4つ減らすこと(パット数36)ができれば、スコアはたちまち96になります。しかも、ドライバーの飛距離が伸びなくても、フェアウェイウッドやアイアンの精度が現状のままでもすぐに100切りができるのです。

そうはいっても、3パットを0にすることは無理だと言われるかもしれません。1ラウンドで3パットが0ではなく2回あっても、スコアは98になります。つまり100を切りたければ、3パットをなくすことを目指せば、たちまち100は切れます。これは90切り・80切りのゴルファーにも言えることです。

3パットをなくす練習法

3パットをなくすことは、ドライバーの飛距離を10Y伸ばすよりはるかに簡単で効果があります。その練習は“1m~1.5mの真っすぐなパットを練習する”だけです。1日何球練習しなければいけないとかということもありません。自分で1m~1.5mをストレスなくカップインできると思えればそれでオです。これなら家のパターマット・カーペットや廊下でも気が向いたときにいつでもできます。

3パットする原因は何か

3パットする原因は何かを知れば、3パットを減らすことができます。100切り、90切りのゴルファーはこの原因を知らないために3パットになってしまうことが多いようです。

100切り、90切りのゴルファーに、かならず1パット・2パットできる状況はどんな状況かを聞くと、

〇短い距離(例えば、1パットなら50cm以内、2パットなら3m以内)。

〇真っすぐなライン

と答えるかもしれません

では3パットしてしまう状況はどんな状況かと聞くと、

〇長い距離(例えば10m以上)

〇曲がるライン

〇下りのライン

と答えるのではないでしょうか。

つまり、長いパット、曲がるライン、下りのラインを避けることさえできれば、3パットはなくなり、1パットか2パットの可能性が格段に多くなるのです。どんなにパットが上手いプロや上級者でも長いパット、下りのライン、短くても曲がるラインではカップインすることは簡単にできません。真っすぐな平らか上りのラインなら多少長いパットでもカップインすることがでます。そのためパットの練習は、真っすぐなラインを真っすぐに打つ練習をやり続けるのです。

ナショナル ティーム ガレス・ジョーンズ コーチの教え

ナショナルティームのコーチ ガレス・ジョーンズはコース攻略の基本についてこんなふうに語っています。よく言われているように、コース攻略の基本はグリーンから逆算して、最後にいかに簡単なパットを残すかということです。そのために練習ラウンドでは、グリーン情報をできる限り詳しく収集します。そのうえで、グリーン上の“ゼロライン”を見極めて、ゼロラインが残るエリアにボールを運ぶことを軸に攻略プランを立てていきます。

“ゼロライン”とは、完全に真っすぐなラインということです。どのピンポジションに対してもゼロラインになるエリアが分かっていれば、打つべきショットがより明確になるので、迷いが生じる余地も少なくなるわけです」

元ナショナルティームメンバーで昨年プロに転向した金谷拓実やUSLPGAで活躍している畑岡奈紗を見ればその成果が分かります。彼らは上手いだけではなく強さも持ち合わせたゴルファーです。

このゼロラインが3パットをなくし、1パット、2パットを増やすことがキーポイントです。“ゼロライン(真っすぐなライン)”に乗せることは、そんなに簡単ではありません。究極の目標がゼロラインなら、ゴルファーのレベルに応じて少し幅を持って考えてみることでいいのではないでしょうか。

カップまで30Yのアプローチを想定して、

100切りゴルファーなら、カップの手前の90度の扇形(三角形)、90切りゴルファーなら手前の45度の扇形(三角形)の内側、80切りならゼロラインと考えてみてはいかがでしょうか。

1ラウンドでパーオンできるのは、100切りゴルファーなら1・2ホール、90切りゴルファーで4・5ホール、80切りゴルファーは9ホール程度です。つまり100切りゴルファーは17・16ホール、90切りゴルファーは14・13ホール、シングルゴルファーはほぼ9ホールでアプローチをすることになります。100切り・90切りゴルファーは1ラウンド中、ドライバーのティーショットの数(14ホール)より多いアプローチをやっていることになります。パット数はシングルゴルファーでも30以上で、100切りゴルファーなら40パット程度です。次に多いのがアプローチなのです。賢明なゴルファーなら、1ラウンドでたった14回しか使わないドライバーより、シングルゴルファーでも30回以上のパットとアプローチを練習すべきだと簡単に理解できるはずです。シングルゴルファーの30パットはドライバーでもアイアンからのショットでもなく、100Y以内からのアプローチショットの結果なのです。

「2週間、練習時間の90%をチップとパットに費やし、残りの10%だけをフルスウィングにすることです。こうすれば95のスコアは必ず90になるはずです。私が保証しましょう。」

ハーヴィー・ペニックのこの言葉を朝晩念仏のように唱えてアプローチとパットの練習に励もうではありませ

んか。たった2週間であれほど苦労した100切り・90切り・80切りができるのです。

(次回は再来週)
文●柳生田幹久(YNG研究会 書斎のゴルフSTAFF)

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