百打一郎と申します! 第2ステージ第10回

『初コンペ』その2

 前回お伝えした私が初めて参加した会社のコンペのお話の続きです。コースは茨城県水戸にあるAカントリークラブです。私の師匠である会社の上司、正治さんの教えでやってきた練習成果が問われるラウンドです。

 実際のラウンドでの正治さんの教えは「パーの数字でオンしましょう」ということです。つまり、パー4なら4オンで良しとする。そうであれば、1ショット100ヤードでも良いわけです。つまりティーショットからドライバーを使う必要はなく、他のクラブを使うとしても飛ばす必用はありません。

「前に飛べばナイスショット」も正治さんの教えです。コンペで多くの顔見知りの方がいて、緊張は募る一方でしたが、その言葉を頭に入れてボールを打ちました。飛ばさずにフェアウェイに転がせれば良しです。

 グリーンに乗ったらパットは2つで収める。つまりダブルボギーが目標となります。とはいえ、Aカントリークラブはこれまでの練習コースとは違い、グリーンは大きくうねっています。3パットでもよしと思ってプレーしていますが、それではトリプルボギーになってしまいます。

 スタートホールはパー5でしたが3パットで8となりました。3番のパー3は2オン3パットのダブルボギー。なかなか2パットにはなりません。続きはどうなったでしょうか?

NO4 363ヤード PAR4 「パラドックスの教え」

 4番ホールは、ティーグラウンドの位置が高く打ち下ろしで、セカンドからは上りで右に林、左は山の傾斜というパー4です。見るからにパーの4で上がるのは大変ですが、あくまで目標は4オン2パットです。

 ティーショットは、私にとっては左に引っ掛ければ良いので、それほどのプレッシャーはないと思って打ちました。しかし、ショットは右の林の中へ飛び込んでいきました。この林は密集しており、一番打ってはいけない場所です。

 最悪のティーショットをしてしまいましたが、これもまたゴルフの不思議な罠だという気がしました。つまり、左に打とうとしても右に飛んでいく。私にはその理由はわかりませんでしたが、そういうことがあると肝に銘じました。実戦でこそ学べる現実です。

あとで正治さんに原因を教えてもらいましたが、それは無意識のうちに林に行きたくないという心理が働き、体が硬直して、左に振れなかったということです。つまり、右の林に入れても良いと思って振れば、ボールは左に飛んで行くものだそうです。

そのように教えているレッスン書はどこにもありません。ただ、右を避けるようにとしか書いてありません。しかし正治さんに言わせると「ゴルフはパラドックスのゲームだ」ということになります。

 例えば、右が池の場合、「池に向かって打ちなさい」というわけです。そんなことを教えているレッスン書はどこにもありません。ゴルフにはパラドックスと脱力の課題が存在しているというわけです。

 しかし、まずは林の中からは出さなくてはいけません。無理をせずに5番アイアンを持ち、五角形打法でパターのように打って横に出そうと試みました。しかし、何とかフェアウェイまで出したいという気持ちがあったのでしょう。打ち急ぎになり、ボールをトップ。とはいえ、幸いにもラフまで行ってくれました。

 失敗を取り戻そうとユーティリティでの挽回を考えましたが、成功の確率は低く致命的なミスになるなと冷静さを取り戻し、8番アイアンでレイアップしました。

 このショットが上手く行き、リズムが戻りました。4打目はそこそこの当たりで、ピンまで残り50ヤードとなりました。グリーンは砲台でグリーン面は見えず、ユーティリティで転がし上げることにしました。

 これが成功してグリーンに5オンできました。カップまで6mを2パットに仕留めて7となりました。目標より1打多かったわけですが、砲台グリーンの下からウェッジでボールを上げようとしたら、きっとミスしていたのではと思いました。7で良しだと自分を納得させました。

NO6 340ヤード PAR4「アプローチがスコアを作る」

 6番は短いミドルホールで、ティーグラウンドからグリーンが見えます。思わず飛ばそうとしてティーショットに力みが入りそうです。そこで冷静に計画を立てました。

「1打目は150ヤード、2打目も150ヤードで、残り40ヤード」と心の中で思います。

 つまり、欲はかかないということです。そうしたら、ティーショットもセカンドも自分では信じられないナイスショットで、ピンまで残り60ヤードまでボールを運べたのです。「これなら3オンができる」と思ってしまいました。グリーンへの花道も広く、私はユーティリティでアプローチしました。上手く打てたのですが、少し強くてグリーンをオーバーしてラフまで飛んでしまいました。

 ボールはラフに沈んでいましたので、ユーティリティでは転がせないと思い、サンドウェッジを選択しました。しかし、ピンが近かったため、寄せようとして力みが入り、ダフってしまいました。その次でようやくグリーンに乗せることができましたが、5オンです。2パットでしたが7になってしまいました。

 私はこのスコアにショックでした。1打、2打とナイスショットを続けて打つことができたからです。あとで正治さんに言われたことは、ボビー・ジョーンズは「ショートゲームを良くする者は、ロングゲームを良くする者に勝つ」と言っている。ゴルフは長打、美技の争いではない。1打の争いではショートゲームが勝敗を左右する」ということでした。

 つまり、スコアをよくしたいなら、アプローチが最も大切だということです。月いちゴルファーは飛ばしの練習に時間を費やしますが、本当はアプローチの練習をするべきだということなのです。

 正治さんは、そのために私をショートコースに連れて行ってくれたのです。ショートコースであってもコースにはティーショットエリア、セカンドショットエリア、アプローチエリアの3つのゾーンがあります。練習場では、ティーショットエリアとセカンドショットエリアしかありません。つまり、アプローチの練習をするにはショートコースに行く必要があったというわけです。

 月いちゴルファーは飛ばしの満足感のために、大半をショットの練習に費やします。アプローチをやってはボール料金を損した気がするからですし、アプローチの練習は地味ですぐに飽きてしまうため、練習場ではアプローチの練習はほとんどしないわけです。

 正治さんは私にまず7番アイアンとユーティリティでの転がしを教えてくれました。これはビギナーには最大の武器になります。そのことを、このコンペでだんだんわかってきました。

 ボビー・ジョーンズもジュニア時代は4番ウッドのシャフトを短くしてアプローチ用として使ったようです。それでランニングのコツを覚えたと記録されています。

 レッスン書に書いてあるような、ウェッジでのピッチアンドランやピッチショットは、スコアが80台を目指すようになるうんと先の話とのことでした。

                            (次週に続く)

文●久富章嗣 編集●島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)

※このたび、久富さんのドリルを集めた本『月3回の練習で100を切る!久富ゴルフ・レッスンブック』の電子版がアマゾンより発売されました。オールカラーの改訂版です。『百打一郎と申します!』がよりわかりやすくなること請け合いです。

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