YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits その11

どうしたらスコアアップできるか Part 4 

スウィングづくりはハーフスウィングから

 初めてクラブを持つ人がいきなりドライバーのフルスウィングをしても空振りするだけです。スウィングは短いクラブで小さなスウィングから始めるのが理にかなったやり方です。プロや上級者は片手でも小さなスウィングを練習します。スウィングのレベルアップには順番があります。レッスンの神様 ボブ・トスキは「ゴルフスイングに要求されるほとんどの条件がそろっているのがチップショットなのである」と語っています。

スウィングの順番としては次のような段階になるのではないでしょうか。

クラブを持たずに、スタンス・アドレスをとって、手と腕をだらりと下げて、

1 手だけのスウィング

2 手と腕のスウィング

3 胸・肩の回旋を伴ったスウィング

4 腰の回旋を伴ったスウィング

5 脚を使って、体幹を捻転するスウィング

 1の手だけのスイングは意外とむずかしく、ちょっとスウィングを大きくするだけで、すぐに2の手と腕のスウィングになります。そして徐々にスウィングを大きくすると自然に5の脚まで使った体幹の捻転スウィングになります。1・2・3のスウィングを本当に手だけ、手と腕だけ、手・腕・胸・肩だけでやろうとしても簡単にはできません。手を振れば腕が動き、手と腕を振ると自然に肩・胸・腰も脚も動いてしまいます。

 逆にスタンス・アドレスをとって手と腕をだらりと下げて、左右に足を踏みかえて脚を動かすと自然に腰・胸・肩が回って、何もしなくても自然に腕と手が振られてしまいます。

 多くのアマチュアは手と腕でクラブを速く振ろうとします。すると腰と脚が止まります。確かに手や腕は動かしやすく、初心者は手とひじから先の腕だけでクラブヘッドを球に当てようとします。手と腕で少し球が打てるようになると、短いクラブでは手打ちでそこそこのショットが打てるようになります。ところがそれではスウィングもショットも安定しません。手や腕でクラブを振るために、コック・タメ・ローテーションや腕の返しなど手と腕の動かし方ばかりをどうするかということが気になります。これを日替わりメニューで試行錯誤しているのが手打ちのアマチュアゴルファーの実態です。胸から下の構えや動きについては意識していません。

 アベレージゴルファーのスウィングは、手・腕・肩の意識が強く、胸・腰の意識は薄く、腰や脚は上体につられて動く程度です。あるいは腰と脚の動きがないスウィングになっています。言い方を変えるとアベレージゴルファーは不自然な動きのスウィングです。

 これがプロや上級者になると、脚が動いて、腰・胸・肩・腕・手が連動して動くという順番になってきます。上

 級者やプロのグリップの力が抜けているのはそのためでもあります。多くのアマチュアは手と腕から、プロ・上級者は脚と腰からという順番です。スウィングの動きの順番が逆になっています。

 ゴルフの鬼才と言われた戸田藤一郎は「まず手(腕)を振ることからスタートする。短いクラブで手の振りを覚える」と語っています。ただし、

「手(腕)で振ることは手打ちとは違う。

スイングのいきつくところは手と足である。足を動かしながら。手を振るんだというふうに考えたらスイングは簡単になる。クラブもどんどん振れるようになる。

スイングは7番アイアンを基準にするとよい。ドライバーも7番アイアンと同じように振れるのが一番いい。ドライバーだからといって力を入れるのは間違いである」

 とアドバイスしています。足を動かすということは、足で地面を踏むということで最近流行りの地面反力にもつながります。

 アベレージゴルファーが停滞を脱却してレベルアップするためには、手や腕をどう使うかというテクニックではなく、足・脚を使った下半身主導の体幹スウィングに頭を切り替えることではないでしょうか。

スウィングはハーフ(ショート)スウィングでつくる

 スウィングを修正するときは、ハーフ(ショート)スウィングで修正することを多くのプロがアドバイスしています。フルスウィングでスウィングを修正することはできないのです。

 以前レッスンを受けていたプロから「フルスウィングからは何も学べません。アプローチにはスウィングのすべてが含まれています。飽きるほどアプローチを練習すれば、必ずスウィングが良くなり、スコアもよくなります」とアドバイスされたことがあります。そして、そのプロから他の数人の生徒のアプローチをみてくれと頼まれたました。「皆さんが、上手くなれなかったら、アドバイスした人の責任ですよ」と言われました。当然他の生徒さんには毎回「グリップの力を抜いて、ハーフスウィングしてみてください」とアドバイスしました。すると皆さんは「とってもクラブが軽く振れます」という感想でした。脇にいたプロはニコニコしながら「どうですか。わかったでしょ」と言われました。

 他人にアドバイスするからには、自分自身が下手なアプローチはできないために、アプローチとハーフショットの練習に励んだことは言うまでもありません。

ボブ・トスキのハーフ(ショート)スウィング ―トップもフィニッシュも左腕が肩の高さの手順―

 体とクラブのコントロールについて、ボブ・トスキは次のようにアドバイスしています。

「ボールコントロールが、スウィングの目的だが、ボールコントロールへ到達するには、いくつかの段階がある。第一は、考え方であり、次は頭脳の指令通りに動く体の動きである。体の各部分を自分の思い通りのスピード、強さ、場所で動かせることである。体の次がクラブであり、クラブのコントロールが意のままになったら、ボールを打つ。これで、はじめてボールのコントロールが期待できるのだ」

 つまりボールを打つ前に、体とクラブのコントロールを覚えることをアドバイスしているのです。アマチュアは練習場でボールを飛ばす、ナイスショットを打つことには熱心ですが、体とクラブのコントロールにはあまり関心がありません。今よりレベルアップするためには、まず考え方を変えないといけないのです。

ボブ・トスキのハーフスウィンづくりの手順

1 正しいハーフスウィングのセットアップ

2 (ボールを置かず、クラブを持たず)左腕だけを振る

3 (          〃         )右手で左手首を持って腕の三角形を振る

4 (ボールを置かず)クラブを振る

5 ボールを置いてクラブを振る

ハーフスウィングの大きさの段階

〇手がひざからひざの小さなスウィング(ミニスウィング)、スタンス幅は両足を揃える

〇手が腰から腰までのハーフスウィング、スタンス幅はミニスウィングより少し広い

〇手が肩から肩までのハーフスウィング、スタンス幅はさらに広がる

 このハーフスウィングは簡単そうに思えるかもしれませんが、実際にやってみるとかなり難しいことがわかります。例えば、両足を揃えて、手(グリップ)がひざからひざの小さなスウィングをやってみると、手が動き過ぎたり、バックスウィングかフォローの、どちらかが大きくなったりします。また手打ちの人は右手でしゃくりあげる癖が出てしまいます。それではアプローチがうまく打てないということになります。素振りでうまくできないものは、ボールがあったらなおさらうまくいきません。この3種類のハーフスウィングがうまく打てる人はすでにシングルクラス以上です。

ハーフスウィングのキーポイント

〇腕の動きが肩の動きにつながり、肩の動きが胸の動きにつながる

〇上体の動きは下半身に連動する

最終的にフルスウィングは、

〇下半身主導で右・左へ体重移動したフルスウィングになります

その際「ボールより左にあるのは左脚だけ」とステイ・ビハンド・ザ・ボールをアドバイスしています。

 腕・肩・胸から下半身(腰・脚)のハーフスウィングで体のコントロールを覚えることから、下半身主導のフルスウィングへとつながっていきます。これは下半身主導のスウィングとは逆の順番のように感じますが、いきなり下半身主導のフルスウィングをやることには弊害があるためではないでしょうか。

 戸田藤一郎がその弊害について次のように語っています。

「飛ばすことが先だというと、みんなドライバーを持ち出す。ドライバーで体をありったけ使って飛ばそうとする。

 体を使えば飛ぶと思っている。本当はそうじゃない。体だけをしゃにむに使って、肝心の手(腕)が振れていない人が多い。飛ばすのはクラブヘッドの回転速度であるが、手(腕)が振れなかったらクラブのスピードは出しようがない。

 ところが、みんな体のことばっかりしか考えていない。特にいきなりドライバーを持つと、体で飛ばそうとして手の振りはなかなか覚えられない。

 うまい人はドライバーを持ってもちゃんと手が振れている。手の振りを助けるために体を使っている。ところがアマチュアの多くはドライバーを持つと、とたんに手の振りを忘れる。手を振るために体を使うんだということがわかっていないから、ドライバーを持つと体を動かすことしか考えなくなる。

 手の振りを覚えるには、やはり短いクラブがいい。短いクラブなら体に力も入れないから、振りが柔らかくスムーズになる。体のことはあまり考えないで。手で振れるようになる。

 手を振るのに理屈なんてない。手でクラブを引いて、手で振り戻してやるだけのことだ。歩くときと同じように、それに足の動きがともなえば体は自然に使えるようになる。足はただ踏みかえるだけよい。ヒザなんて使おうとする必要はない。短いクラブは足の動きも少なくて済む。足の入れかえを大きくすれば体の動きも自然に大きくなる。体の動きを大きくしたかったら、バックスイングで右、ダウンスイングで左という足の入れかえを大きくすればよい」

 スウィングは短いクラブでハーフスウィングから覚えることが大切だと説いています。練習場で手打ちのフル

 スウィング(マン振り)ばかりで打ってもスムースなナイススウィングは身につきません。ナイスショットは打て

 ず、飛距離も伸びず、不安定なショットにしかなりません。むしろスウィングにとって大きな弊害になる頭と上体の突っ込み、スウェイになってしまいます。

 ハーフスウィングは飛ばないと考えている人が多いかもしれません。しかし、手・腕を肩の高さに上げれば、実はそれがフルスウィングなのです。プロや上級者は、肩の高さのハーフスウィングとフルスウィングの飛距離はあまり差がありません 。もしも肩の高さのハーフスウィングとフルスウィングの飛距離が大きく違う場合は、それはスウィングの要の下半身と体幹の捻転差がない手打ちになっているので要注意です。

 フルスウィングでは、トップで飛球線に対して、腰が45度、肩が90度回転するといわれます。スウィングにかかわる脚と体幹の関節の可動域(ROM Range of Motion)はおおむね以下の通りです。

足首内転 20度 + 股関節(骨盤)回旋  45度 + 胸椎(胸・肩)の回旋 40度=105度

 これに肩甲骨の動き(屈伸展 20度)が加わります。プロのスウィングを見ると各関節の可動域が大きく、特に肩甲骨の稼働域が大きいために肩(肩甲骨)が飛球線に対して110度以上になっています。フルスウィングは、実は手・腕が肩から肩のハーフスウィングが基準なのです。それ以上は、肩甲骨がバックスウィングの惰性(勢い)で動くために肩が大きく回っているように見えるのです。

 アマチュアは手と腕で肩だけを回そうとするために、肝心の腰(骨盤)が回旋しないでスウェイしているのです。肝心の足首(脚)・腰(骨盤・股関節)と胸(肩・胸・胸椎)が回旋しないスウィングになっています。

 ボブ・トスキは、ハーフスウィングで体(脚・腰・胸・肩)の動きをコントロールすることで、クラブをコントロールすることをレッスンしています。戸田藤一郎は足(脚)を使いながら、手を振ることを説いています。

 2人の教えは、ハーフスウィングといっても、しっかり脚を使って、体(腰・胸)を使ったスウィングです。アマチュアは(手と腕だけを意識する)手打ちのため、ハーフスウィングというと手と腕の力を抜いた体幹の緩んだ(ハーフ)スウィングと勘違いしてしまいます。しかし、ハーフスウィングでもインパクトではクラブヘッドが加速することが基本です。インパクトで力の抜けた、緩んだスウィングではありません。

 多くのプロがU-tubeをはじめました。トレーニングや練習を紹介するものがたくさんあります。その中で多くのプロが「スウィングづくりはハーフスウィングで行う」とアドバイスしています。是非たくさんのプロのU-tubeで確認してみてください。

 先日ある方からスタンスについて聞かれました。アベレージゴルファーの方からスタンスを尋ねられることは珍しいことです。「少しクローズドスタンスにすると、スウィングがスムースになるがそれでいいか」ということでした。スウィングを拝見すると脚と腰が自然に動いて、とてもスムースに腕が振れるナイスショットでした。それを見て「大正解です」とお答えしました。「まだ安定したショットが打てないがどうしたらいいか」というご質問には「まだ手と腕に力が入り過ぎなので、ハーフショット・アプローチをたくさん練習してください。ドライバーのフルショットは5球から10球までにしてください。そのほうが飛距離も安定性も増します」とお伝えしました。次回お会いするのが楽しみです。

 いいスウィングとは、スムースなスウィングです。腕がスムースに振られれば(腕を振るのではない)、クラブ

 も加速して振られます。そのスウィングは手打ちではなく、極端に言えば脚打ちと言えるかもしれません。

 脚を意識して、グリップがひざからひざ、腰から腰、肩から肩のハーフスウィングを繰り返し練習しようではありませんか。すべてのミスが減って、必ずスムースなスウィングになり、ナイスショットが安定して打てるようになります。だいいちアプローチが抜群にうまくなります。手打ちの“マン振りは百害有って一利なし”です。

文●柳生田幹久(YNG研究会 書斎のゴルフSTAFF)

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