中部銀次郎「ラウンドの心」其の六

「スコアは勝手に良くならない。執着してこそ良いスコアになる」

 中部さんは試合であろうが、プライベートなラウンドであろうが、スタートしたら、最終の1打までベストを尽くした。

「一度でもいい加減なプレーをしたら、必ずしっぺ返しが来ると思っていました。それは決して間違ってはおらず、そうしたゴルフをしていくと、諦める癖がついてしまい、粘ることができなくなってしまうんです」

 つまり、いくらやっても上達できないというわけだ。

「例えばパー4でティショットをチョロした。するともう、パーは無理と思う人ってたくさんいます。でも、諦めずに2打目で良い球を打ち、3打目でグリーンに乗せて1パットなんてことは多々あるわけです。それも3打目が乗らなくても4打目がチップインなんてこともある。ゴルフはそういうゲームなんです。だから諦めてはいけないわけです。『まだまだパーは取れる』と思ってプレーすること。私は常にそうしてきました。それが90切りであれば、ボギーであがれる可能性はもっともっとあります。最後の1打まで執着することが大事なんです」

 中部さんは言う。

「スコアは勝手に良くなるわけではありません。自分が諦めずに粘ってプレーするからこそ良いスコアにできるんです。それをすぐに諦めたり、プレーを投げたりすれば、どんどんスコアが悪くなるのは当たり前です。大体において、そんなゴルフをしていたら、ゴルフが面白くも楽しくもなくなってしまうでしょう」

 さらに中部さん。

「もちろん、ゴルフは楽しいことばかりではありませんよね。甘くないし、苦しいことが多いスポーツかもしれません。孤独なスポーツだとも言えますよね。しかし、だからこそ、目標が達成できたときの喜びはとても大きい。それだけに、その喜びを味わえるように頑張ることが大切なのです。それがゴルフをする醍醐味だと私は思います」

中部銀次郎
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