YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits その12

どうしたらスコアアップできるか Part 5 

コースマネジメントだけでスコアアップする

「シングルゴルファーとアベレージゴルファーの違いはコースマネジメントの違いだけです」と以前レッスンプロから教わったことがあります。

 アベレージゴルファーは、シングルゴルファーより飛ばしていいショットを打つ人はたくさんいますが、スコアとなるとシングルゴルファーには及びません。

 プロは、試合の前には必ず練習ラウンドを行い、入念にコースをチェックし、それに応じた対策をたてて、あらゆることを想定して準備をします。ときにはクラブセッティングも変えます。シングルゴルファーはプレイするコースの状況を事前に把握し、プレイのすすめ方(コース戦略)を考えます。

 シングルゴルファーはパットが上手いとか、どこからでもアプローチをベタピンに寄せるとか言います。しかし、シングルゴルファーといえども、下りや曲がるラインの短いパットは3パットすることもあります。バンカー越え、深いラフ、グリーン奥からの下りのアプローチは思い通りに寄せることはできません。ショットでもラフや傾斜など、ライの悪いところからはナイスショットは打てません。シングルゴルファーは、簡単なパット、簡単なアプローチ、簡単なショットをやっているからこそパットが上手い、アプローチが上手いといわれるのです。

 この差がコースマネジメントの差です。シングルゴルファーは、まずやさしいパット、やさしいアプローチができるところを探します。そして、そこへボール運んでいるのです。これに対して、アベレージゴルファーは、グリーンやコースの状況に関係なく、ティーショットを飛ばす、グリーンに乗せる、ピンに寄せる、カップインを狙っています。これらはすべからく出たとこ勝負というのではないでしょうか。

 やさしいショット、やさしいアプローチ、やさしいパットを打つ準備をするか、しないかどちらがいい結果になるかは言うまでもありません。

コースマネジメントがスコアをつくる -スコアづくりの方程式-

 スコアづくりには方程式があるようです。

スコア=マネジメント(体・メンタル・クラブ・コース・自然条件など)×ショット

ショット=(グリップ・セットアップ(スタンス・アドレス(ポスチャー)・ボールの位置))×スウィング

スウィング=グリップ×セットアップ(スタンス・アドレス(ポスチャー)・ボールの位置)×下半身と体幹の捻転運動

 これを言葉にすれば、次のようになります。

目標スコアであがるための手順・・・体調とクラブの管理が大前提で

1 ホールの状況・気象条件などから、目標スコアを設定(パー・ボギー・ダブルボギー)する

2 ライ・距離・風などの気象条件から打ちたいショットを決める

3 そのショットに見合ったスウィングを決めて、それに応じたクラブを選ぶ

4 そのスウィングに見合ったグリップとセットアップで構える

5 あとは力まずに体を捻転して腕・クラブを振る(スムースにスウィングする)だけ

 ところがアマチュアは、パー(目標スコア)をとるために、ティーショットはドライバーで飛ばす、セカンド・サードショットは目いっぱいのクラブでグリーンを狙う、グリーン上では2パットで決めることだけを考えているようです。いわゆる飛ばす、乗せる、寄せる、入れるばかりを追求していることになります。

 確かに、アマチュアゴルファーが「このホールはボギーでもいい」と言うことがあります。ホールの状況から、パーでなくボギーを目標スコアに設定するというのはいいことです。ところが、そのスコアであがるための具体的な対策を決めていないことがあります。目標スコアを決めても、それを達成する具体策がなければ、目標スコアも単なる空想でしかありません。具体的なショット、スウィング・グリップとセットアップ、クラブが決まってはじめて目標スコアを達成する準備ができるのです。

・スライサーが右にOBや池があっても、フェアウェイセンターを狙い、力んでOBや池ポチャを打つ

・7番アイアンの最大飛距離が140Yだからといって、ライや高低差に関係なく140Yを7番アイアンで打って、   グリーン手前のバンカーに入れてしまう

・前上がりの斜面から、残り180Yを3Wでマン振りしてダフってチョロしてしまう

・ボールが沈んだ深いラフから、残り160Yを5番アイアンでフルショットしてチョロ

・バンカー越えのアプローチで高い球を打とうとしてトップして、バンカーに入れてしまう

・グリーンで下りのラインでカップまで打ってグリーンオーバーしてしまう

 など数え上げればきりがありません。こうしたミスにさらなるミスが重なるとダブルボギーやトリプルボギーになってしまうのが典型的なアベレージゴルファーではないでしょうか。

 たとえどんなにいいショットが打てても、風を計算しないでOB・池やグリーンオーバーではスコアになりません。どんなにいいスウィングをしても、林やバンカーに向かって打ったらミスショットになります。グリップとセットアップが完璧でも手打ちのマン振りでは安定したショットは打てません。

 そこそこのナイスショット(60点、70点、80点)が打てるなら、ちょっとしたコースマネジメントさえできれば、スコアはたちまち5打~10打は良くなります。

 たとえば、多くの人が、上級者と一緒にラウンドする、競技(街コンではない)に参加する、研修会に参加するとスコアが突然良くなることがあります。これは決してスウィングやショットが良くなったからということではないようです。なぜラウンドする環境を変えると短期間でスコアが良くなるか。それは間違いなくコースマネジメントを学ぶからです。

コースマネジメントでスコアは変わる

研修会に入ってコースマネジメントを学ぶ

 なかなかシングル入りができずにいたHC10の知人が、研修会に入ってから瞬く間にHCを減らして、HCボードの見上げるところまで駆け上がりました。

 あるとき一緒にラウンドしてびっくりしました。左がOBで右が崖という難しい400Yを超える長めのパー4のホールで、ティーショットを何とアイアンで打っていました。その知人は、ロングヒッターでドライバーは250Y以上飛ばします。しかし、ときどきOBを打ってスコアを崩すことがありました。それまではドライバーで打ったティーショットが左のOBということもしばしば目にしています。しかしこの日は違っていました。アイアンで打ったティーショットはフェアウェイをとらえ、2打目でグリーン手前の花道に運び、アプローチをカップ下に寄せて見事にパーでした。

 ホールアウト後「なぜ、ティーショットをアイアンで打ったのか」と尋ねると、「このホールは、最悪ボギーでもいい。できればパーであがりたい。ティーショットはドライバーでは危険がいっぱいなので、アイアンで打った。それに花道からの寄せはそれほど難しくない」と言っていました。随分と考え方が進化したと感じました。このホールの平均スコアをとってみれば、ティーショットをドライバーで打つより、アイアンで打った方がスコアは断然良くなっていることは間違いありません。この知人は、わずか半年の間にHCを4つも減らしました。

コースマネジメントを考えてダブルボギーがパーに

 以前コースマネジメントをテーマにプロのラウンドレッスンを受けたことがあります。参加者は事前にラウンドするコースのマネジメントについて勉強会とミーティングを行いました。そのなかにドライバーの飛距離が170Yくらいという80才を超えた方がいます。90切りを目指してスクールにも通って練習に励んでいます。

 当日難易度N0.1というパー4のホールで目標スコアをお尋ねすると「ダブルボギー、できればボギーであがりたい」ということでした。ティーショットのドライバーはいつになく軽いスウィングで右のOBを避けて左のラフへ、2打目は少し深めのラフからグリーンには届かない5Wでグリーン手前の浅いラフに打って、そこからピンまで35Yの3打目のアプローチを3mに寄せて1パットでなんとパーの4でした。

 プレイ終了後「なぜダブルボギーでもいいと考えたのですか」と尋ねると「あのホールは、このコースで一番難しいことをミーティングで勉強したから、自分の実力では、トリプルボギーにならないようにしたいと考えた」ということでした。そして「3打目のアプローチでは、あと3打であがればダブルボギーであがれると思ったら、とても気持ちが楽になって予想外のパーが取れた」ということでした。ティーイイングエリアからいつもと違って飛ばそうとしたのではなく、最後までリラックスしてプレイしたことがいい結果につながったのです。

 すべてのホールをパーやボギーであがるという考えから、ホールごとにメリハリをつける考え方は事前の勉強会・ミーティングの成果だったと確信しました。

 これは、研修会に参加したことやプロとラウンドした結果、スコアづくり(マネジメント)が格段にレベルアップした話です。お二人のスウィングは以前とほとんど変わっていません。しかし、ミスが大ミスにならなくなったことがスコアアップの理由なのです。

 二人のゴルファーの何が変わったのか。変わったのは二つです。それは“コースマネジメントを考えて実践したこと”と“マン振りしないこと”の二つです。そのためにミスの上塗りがなくなったのです。ほとんどのアマチュアはこの二つのことさえできれば、スコアは簡単に5~10打は変わるのではないでしょうか。

 たとえば、100切りの人がラウンドすると、スコアに直結するミスとしてOBや池ポチャが4回、傾斜地からのミスが4回、バンカーのミスが2回、ラフからのミスが4回、3パットが4回あったとします。コースマネジメントを考え、マン振りさえしなければ、OBが1回なくなり-2打、傾斜地からのミスが減って-2打、バンカーのミスが減って-1打、ラフからのミスが減って-2打、3パットが2回減って-2打、合計-9打になり、スコアはたちまち91くらいになります。これはミスの回数を減らした結果であって、決してティーショットを飛ばした、ナイスショットを連発した、スピンの効いたアプローチでカップに寄せた、ロングパットを決めたからではありません。これまでのスウィングのままで、ミスもしながら、ちょっとだけコースマネジメントを考え、マン振りせずに大ミスを減らしただけの結果です。

コースマネジメントは情報収集

 コースマネジメントは難しい。実際にコースでしか学べないのではないかと考える人が多いのではないでしょうか。しかし、コースマネジメントは練習場でも十分に学ぶことができますし、家のソファーでも電車のなかでもたくさんのことが学べます。

コースマネジメントとは、情報収集が基本です。プロや上級者は情報収集・分析と対策・判断を的確に行います。

 これに対してアベレージゴルファーは情報収集をしません。例えば、練習場で風向きや強さをチェックしている人はどれほどいるでしょうか。練習場の打席は、風・雨や日差しが遮られています。それでなんとなく真っすぐなショットばかりを練習してしまいます。コースでは、キャディーマスター室の前に当日のグリーンの速さ・硬さと芝の刈高の表示があります。アベレージゴルファーは見たことがない人もいるかもしれません。練習場で風を観察しない、コースでグリーンの速さ・硬さ・芝の刈高という情報がなければ、どんなショット・パットを打つか判断できません。判断はすべからく、情報と知識があって可能になります。情報と知識がなければ判断はできません。情報と知識に基づいた的確な判断をせずにプレイするというのは出たとこ勝負のプレイをやっていることになります。

1 コースマネジメントの情報収集

〇コース全体の特徴を知る・・・高低差(山岳・丘陵・林間・リンクス(海沿い)・河川などの特徴、コースの距

離・レイアウトや芝の種類など

〇天気・風・気温・湿度を知る・・・天気予報を確認する

〇グリーンの速さ(スピード)・硬さ(コンパクション)・芝の刈高を知る・・・キャディーマスター室の前の表示

を確認する

〇ホールの距離・レイアウトからスコアやショットをイメージする・・・グリーン近くに運ぶ(あるいはグリー

ンに乗せる)打数を想定する

〇OBやペナルティーエリアは絶対に避ける・・・OBやペナルティーエリアに絶対に届かない、あるいは超えるショット・スウィング・クラブを選択する

〇ライや傾斜を観察しミスを想定する・・・ラフはボールの沈んでいる深さを観る、ラフの芝目(順目・逆

目)を観る、傾斜とその大きさを観る

〇アプローチしやすいところを見つける・・・ラフ・バンカーやハザードではない平らなところを探す

〇グリーンの形状、傾斜、芝目を確認する・・・パットしやすいラインを見つける

2 ショット・グリップ・セットアップ・スウィング・クラブの選択

 情報収集の次は、収集した情報をもとに、具体的なショットをイメージします。そしてショットに応じたグリップ・セットアップ・スウィングとクラブを決めます。フルショットばかり練習していると、選択肢はフルショットしかなくなってしまいます。日頃からハーフショットとアプローチを練習すべきです。

3 ショットのポイント

〇次のショットが打ちやすいターゲット(ゾーン)を決める。打ちやすいターゲット(ゾーン)とは、平らなライ

で芝が刈り込んであるところ(できるだけ練習場のマットに近いところ)です

〇たとえ残りの距離が長く残っても、OB、ハザード、バンカー、ブッシュや林(木)などを避ける

〇ミスをしたときは、さらなるミスの上塗りをしないようなショットをイメージする。深いラフ、傾斜地、林、バンカーなどは脱出を優先する

20世紀最高のプレーヤー ジャック・ニクラスは、

There are plenty of fellows here who hit the ball better than I do. To beat them I have to out-prepare them.

私よりいいショットが打てる選手は大勢いる。だから、彼らに勝つためには、彼らよりも準備をすることだと思った」と語っています。ジャック・ニクラスでさえ準備しなければ勝てないのです。いわんや我々は・・・

文●柳生田幹久(YNG研究会 書斎のゴルフSTAFF)

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