百打一郎と申します! 第3ステージ第3回 

『100ヤードファーストバウンドの習得』

 月いちプレーで練習は鳥かごというアマチュアゴルファーが、上級者と同じ練習方法を行ってもなかなか上達できないものです。ましてや私のような大人になってから始めた場合は尚更です。

 それは師匠の正治さんが言うように、どうしても飛距離の快感に魅かれてしまい、「脱力」のスイングに辿りつけないことが大きいように思います。飛距離を伸ばすにはどうしたらよいのかと毎回違ったテクニックを試し、願望だけが先走りして、「スムーズ性」と「確実性」を身につけることができないのです。

 そうした私が習得しなければならない第1のことは「引っ掛けショット」を進化させ、「100ヤードファーストバウンド」で確実に120ヤードを飛ばすことでした。つまりキャリーで100ヤード飛ばして、ランで20ヤード転がして、120ヤード飛ばすということです。

 もちろん120ヤードの飛距離で満足するわけではありませんが、私の第一目標は「数字PARオン」で1ラウンド108のスコアであがることです。つまり、パー4のホールならば4回でグリーンにオンして6のダブルボギーで上がるとことが目標になります。パー72であれば、すべてをダブルボギーであがれば108になります。これを目指そうというわけです。

 そして、そのための必要な飛距離が120ヤードなのです。しかし、たった120ヤードでいいなんて、そんなことが書かれているレッスン書は1つもありません。正治さんが考え出した独自の方法・理論です。

 上級者と月いちプレーヤーでは、異なる練習方法、考え方でなければ上達は望めないというのが正治さんの信念です。

 実際、250ヤード飛ばしても100が切れないというゴルファーは山ほどいます。こういった練習場シングルは、ハンディキャップ0と28の間には天と地ほどのゴルフの違いがあるのだ、ということを知らなければいけません。つまり、ハンデ0のゴルファーと同じように250ヤード飛ばすことができても、100が切れないハンデ28のゴルフはハンデ0のゴルフとはまったく違うものなのです。このことをわきまえて、実力相応の練習とプレーをせよということになります。

 そうした私の練習はまず3番ウッドで50ヤードを転がすショットから入ります。次に同じクラブで80ヤードを転がし、さらに100ヤードと距離を少しずつ伸ばしていきます。「脱力」をイメージしながら、距離を伸ばしていくわけです。ボールの当たりが良くなるとすぐにフルスイングの練習がしたくなりますが、そんなことをしてもイメージ通りにはなかなか打てません。

 真っ直ぐ遠くへの欲求が出てしまうわけです。ですから、やはり「100ヤードファーストバンドショット」の重要性を理解して練習をしていくことなのです。なぜなら、上級者のテクニックを真似て、それを理解しようと繰り返し練習しても、スイングの「脱力」は身につかず、ミスの連続になったからです。

 それでもフルスイングの練習ではそれなりに「気づき」もありました。そのときは「これだ!自分のスイングは完成した」と思い込みますが、すぐに次のテーマに進んでしまい、前回気づいたことを忘れてしまうのです。「目から鱗」の感覚で「これだ!」と思い込みますが、次のテーマへと進んでしまえば、前回気が付いたことは忘れてしまうという、その繰り返しでした。

 プロや上級者は「自分はこのようにやっている」と簡単に言いますが、そこへ辿りつくプロセスはいくつもあるようですし、簡単に習得などできません。「スイングに正解はあるのか?」と私は苦しみました。

 私の問題の解決は飛距離に間違いないと決めつけてしまったわけですが、その方法はプロや上級者が言うものではないようで、一人練習の大きな壁が立ちはだかりました。ゴルファーはどのレベルでも飛ばしの追求から低迷期を迎えると言われていますが、まさにその通りだと思いました。

 初心者の基本、スキーでいえば初心者向けのゲレンデでの滑りを身に付けずに、無謀にも上級者向けのコースに向かえば大怪我をします。例え怪我をしなくとも、好ましくない癖がついて、これを矯正するのに時間がかかり、上達の遠回りにもなります。

 スキーと同じでゴルフにおいても、基本を身に付けずに無謀にクラブを振り回していては、キャリアこそ一人前になっても、依然として100が切れないというわけです。そうしたゴルファーが多いのは練習量とラウンド回数の少なさにもあるわけで、当然と言えば当然の結果です。

 私が正治さんの言う「100ヤードファーストバウンドの習得」の考えに納得したのは、練習で少しずつショートアイアンの飛距離が安定してきたときでした。

例えば、360ヤードパー4で、120ヤードを正確に打てればグリーンに3打目では届き、上手く行けばボギーであがれます。例え3オンできなくても4オンでき、2パットでダブルボギーではあがれるのです。

 飛距離にこだわってボールを曲げたり、ダフッたりチョロしていては、ボギーで上がることさえできません。ミスを重ねる度に、飛ばし中心にこだわった、正治さんが言う「思考の硬直化」に思い当たりました。頭が硬直すれば体も硬直するということです。それこそが力が抜けない、「脱力」できない第一の原因でした。

 ゴルファーは常に上を目指し、たまにナイスショットが出ればそれを追い求めてしまい、次にはミスをしてしまうという繰り返しです。それをテクニックで解決しょうと試行錯誤を続けて泥沼にはまってしまうのです。

 こうしたことをなくすための正しい指導書は1つもありません。おびただしいスイング理論が氾濫しているだけです。

 120ヤードショットでボギーやダボの実績が積み重なると、脳にリラックスが生まれ、「脱力」ができ、スイングはスムーズになります。このことこそが私のようなアマチュアには必要なことなのです。

 ラウンド量の多いプロや上級者はフルスイングしても「脱力」が重要であることを無自覚で学習しています。私のようなアマチュアはその「脱力」を、「100ヤードファーストバウンド」で習得していくことなのです。こうした経験を数少ないラウンドで脳に刻み付けることが上達の一番の早道だと覚悟したことで、ようやく100切りへの道筋が見えてきました。

「数字PARオン」でダボを確実に取って108のスコアを作り、そこからボギーでもあがれるようになって100切りに近づいたというわけです。

 多くの月いちプレーヤーの皆さんもぜひ私のようなやり方を試みてください。そうして階段を1つ1つ上がっていきましょう。100が切れない人は、闇雲に飛距離の追究をやめて、「100ヤードファーストバウンド」で「脱力」を体得してください。このことこそが上達の近道なのです。

                          (次週に続く)

文●久富章嗣 編集●島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)

※このたび、久富さんのドリルを集めた本『月3回の練習で100を切る!久富ゴルフ・レッスンブック』の電子版がアマゾンより発売されました。オールカラーの改訂版です。『百打一郎と申します!』がよりわかりやすくなること請け合いです。

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