ゴルフのファッションスタイルについて
今回はゴルフのファッションスタイルについて少しつぶやいてみたいと思います。
先日、某ゴルフメーカーでプロモデルのクラブを長年にわたって作られてきた方から、「欧米の男子トーナメントを見ていて、外国選手のウェアがとてもシンプルで見ていて気持ちがいい」というメールをいただきました。私もここ数年ずっとそう思ってきました。
彼らのトップスはブルーやグリーンの原色のポロシャツ、パンツは白が多いです。暑いゴルフコースでもポロシャツは汗だくにならないのできっとドライ素材でしょうし、パンツも透けやすい白色なのにそうはならないので、ある程度厚さのある、これまたドライ素材で作られているのでしょう。炎天下でも爽やかにプレーしているように見えますので、「気持ちよい」という印象はシンプルなファッションスタイル+素材にもあるように思えます。
その方は「それに比べて日本のプロは派手な柄ものが多くて、暑苦しいし見苦しい感じを抱きます」と言われます。とはいえ、プロはウェアメーカーから渡されるものを着なくてはいけないのでしょうから、メーカーにも問題はありそうです。その昔、ジャンボ尾崎さんが全盛期の頃はステージ衣装かと見まがうようなウェアも多く、それを真似するプロも多かったように思います。ウェアメーカーも派手なものが売れたのでそういった傾向だったのでしょうし、今もそれがある程度続いているのでしょう。
しかし、日本におけるアマチュアゴルフの世界は、非常に質素でシンプルなゴルフファッションでした。トップスのポロシャツは白色が決まりでしたし、パンツも紺色がほとんどでした。冬などはグレー色のフランネル生地のパンツということもあったように記憶しています。シューズは黒の革靴。これは日本最高のトップアマであった中部銀次郎さんのファッションスタイルが波及していたようにも思います。謙虚で確実なプレーがアマチュアゴルフの持ち味とするならば、それをファッションでも具現化していたように感じます。上手な人ほどそうした質素でシンプルなゴルフファッションでしたし、そこに上級者としてのプライドが覗えて、とてもカッコ良く見えました。
またその頃でしょうか?玄人はだしの上級者の中に、トップスもパンツも黒色という方もいました。最近はそうしたファッションはほとんど見かけなくなりましたが、任侠の世界を彷彿とさせているような感じで、己の強さを誇示しているようでもあり、私はあまり好きではありませんでした。
とはいえ、アマチュアゴルファーの中にはプロのような派手な柄ものを着ている人もいます。強い人ほどそういった傾向があるようにも思えますし、若い人にも多いように感じます。しかし、トップアマの試合を見に行きますと、中部銀次郎さんのようなシンプルで質素なゴルフファッションの方もお見受けしますし、そういった人ほどゴルフの本質をわかっていて、謙虚で正確なゴルフでしっかりしたスコアであがってこられます。思わず「上手だなあ」と感服してしまうのです。そういったファッションをするアマチュアゴルファーが増えることを望みたいと思ってしまいます。
また、アメリカの夏のリゾートコースではポロシャツにショートパンツ、ショートソックスといったスタイルをよく見かけます。シニアの方々もそうしたリラックスしたスタイルでプレーされています。とはいえ、ポロシャツとソックスは白が基本で、涼やかさをモットーにしているとお見受けします。日本でもリゾートコースであれば十分にそうしたゴルフファッションは好まれるのではないでしょうか。しかしながら、都市近郊の名門コースなどではそうしたゴルフファッションは似つかわしくないように思われます。やはり「ゴルフは紳士のスポーツ」、紳士としての誇りを持ったゴルフファッションが望まれる気がします。
ちなみに、布帛のシャツにネクタイ、ニッカーズにチェックのハイソックス、黒白のコンビのウイングチップの革のシューズというオールドファッションを今の時代にやっても格好いいですよね。ボビー・ジョーンズやウォルター・ヘイゲンのファッションです。シャツは布帛でなくとも衿の立つ綿や吸汗速乾のシャツにして、蝶ネクタイでもいいのではないでしょうか。そうしたアレンジは、ハンサムな全米オープン覇者、今は亡きペイン・スチュアートのゴルフファッションでした。
先日アメリカに住んでいる学生時代の後輩からパインハーストでプレーしたというメールが送られてきました。添付されていた写真はペイン・スチュアートの銅像の前で彼と同伴競技者の外国人とのポートレイトでした。ペインの銅像は全米オープン最終日最終ホールでのバーディパットを決めたあとのガッツポーズ。1999年の優勝シーンです。後輩はポロシャツにショートパンツ姿でしたが、一緒のアメリカ人はペインと同じニッカーズスタイルで、ハンチングまでしっかりと被っていました。ペインに敬意を表した、なかなかにお洒落でカッコ良いファッションでした。

この写真を見て、プロのゴルフファッションの派手さとはいかなるものかを考えさせられましたし、ペインを慕うアマチュアゴルファーのスタイルも素晴らしいなと思いました。読者の皆さんも今一度、ご自分のゴルフファッションを考え直しても良いのではないでしょうか。