百打一郎と申します! 第3ステージ第6回 

『スコアに直結するボールを運ぶ意識』

 私の3回目のラウンドは、師匠である正治さんがよく行く、河川敷の林間コースでした。日曜日でしたが、正治さんとの2サムで、他人に気を使うことなく最高の状況でプレーできました。

 ラウンド数は多ければ多いほど上達の早道になることはわかっていますが、今の私の環境では年間4~5回できれば良いと思っています。そのため、実りの多いラウンドを行いたいものです。あれもやりたい、これもやりたいではゲームにならないでしょう。そこで、今回は「バレリーナスタンス」でラウンドすることにしました。

 「バレリーナスタンス」とは第1ステージの第8回で行った、バレリーナのようにスッと立つアドレスです。スタンスは狭くして飛球線にして右足を大きく引いて両足の踵を付けるクローズスタンスで、体重移動をしない一軸スイングとなります。

 スタートホールは10番です。ティショットはドライバーではなく3番ウッドを持ち、「バレリーナスタンス」で引っ掛けショットを打って左フェアウェイまで飛ばしました。まずまずのショットでした。

 セカンドも3Wで打ち、グリーン50ヤード手前まで運ぶことができました。ここからグリーンに向かってのアプローチはXラインを使ってボールを転がします。体を右の向け、フェースをシャットにし、左に向けてスイングするランニングです。上手く転がせてグリーンオンができました。

 このホールは距離が341ヤードありましたので、ティショットとセカンドショットで290ヤードを飛ばせたというわけでした。

 11番は380ヤードと長いミドルホールでしたが、これまた3オンすることができました。もしかしたらパーが取れると思った瞬間、体が硬くなってしまい(硬直し)、結局4パットになりました。

 まだ3回目のラウンドでパターの練習もろくにしていません。当たり前と言ってしまえばそれまでですが、3パットは許せても4パットは明らかなミス。カップに入れようという思いが先立ってしまい、惨めな結果になったのです。これからは、「諦めろ」と言い聞かせてパットすることにしました。

 そうしたところ、次のホールからボギー、ボギーと連続ボギーが獲れました。しかし、そうなるとやはりパーが欲しくなります。その途端ダブルボギー、ダブルパーと奈落の底に突き落とされました。神様が試練を与えたのです。

 私のレベルではボギーペースが続くわけはありません。目標はあくまで「パー数字オン」のダブルボギーだったはずなのに、ついつい3オンすると意識はパーを取りたくなってしまうのです。願望が先行して自滅する典型的なパターンです。こうした欲を抱く意識を早く断ち切るようにしないといけない。さらに上には行くことはできないと思いました。

 ダブルパーを打ったあと、私は最初のテーマ、「パー数字オン」でダブルボギーという考えを常に引き戻してプレーをしました。すると17番350ヤードのミドルホールで遂に寄せワンのパーを取ることができたのです。この日初めてのパーとなりました。

 ここまでのスコアを計算しましたら、13オーバーでした。つまり、最終の515ヤードのロングホールをパーであがれれば、待望の50が切れるというわけです。しかしこう思った瞬間、「またまた願望先行だ、まだプレーは終わっていないのに」と自分に言い聞かせました。「自分からスコアを作ってはいけない」と。

 そこでここまでのプレーを思い出し、「私にはまだまだパーを狙える実力はないのだ」と思い直しました。すると、とてもリラックスできたのです。

 さて、最終ホールです。私は「バレリーナスタンス」で淡々とショットを打ちました。「パー数字オンでいい」と。するとそれよりも1打少ない4打でグリーンに乗せることができたのです。しかもピンまでの距離は2.5mです。

「入れて50が切りたい」と思いましたが、そう思えばまたしても願望先行です。安全に2パットに収めてボギー、スコアは50となりました。待望の50を切ることはできませんでしたが、正治さんが驚くジャスト50回が達成できたのです。

 ランチを終えて午後のプレーが始まりました。前半のプレーでぺースがつかめるようになってきたのでしょうか、2番の350ヤードでまたしても寄せワンのパーを取ることができました。3ホールを終えたところでなんと3オーバーでしたが、その後ダブルパーやトリプルと大叩きをしてしまいました。後半のスコアは54でした。100を切ることはできませんでしたが、トータル104はベストスコアです。正治さんも大変に喜んでくれました。

 正治さんが私に言ってくれました。

「前回のコンペの時と違い、4オンの確率が高くなった。それはティショットとセカンドショットでグリーン手前までボールを運び、そこからのアプローチを確実に転がしてグリーンに乗せることができたからだ」

 この言葉から私は「運ぶ意識」の重要性を認識しました。

 このラウンドではまだまだ方向性に不安がありました。そこで、ティショットもセカンドも大きく振り回さず、パンチショット気味のフィニッシュをとりました。そのことで致命的なミスが起きず、良いスコアに繋がったのかなと自己分析しています。

 飛距離はそれほど出ていなかったのに、50で回れたという事実は貴重な経験となりました。

 正治さんは言います。

「一郎さんもそうですが、初心者は毎回のティショットが何ヤード飛んだかをチェックすることはしません。ですから、自分の『真の実力飛距離』を知りません。たまたまナイスショットした時の記憶だけが鮮明に残り、それが自分の実力だと錯覚してしまうのです。

 多くのゴルファーのティショットでの飛距離は実は150ヤード前後なのです。180ヤードをフェアウェイに打つナイスショットは滅多にありません。データにとって現実を把握し、ゴルフというゲームの『全体像』を組み立てる必要があるのです」

 そう言われてみれば、私のティショットもほとんど150ヤードくらいだったと思います。正治さんは続けます。

「多くのゴルファーは架空の飛距離を自分の飛距離だと錯覚し、さらにもっと飛ばそうと強く打ちに行くわけです。そうして、飛ばすことがゴルフだと思い込んで、その考えを一生涯続けてしまうのです。そして、それこそが、100切りを遠のけてしまうのです」

 しかし、そのことをアドバイスするレッスン書はどこにもありません。すべて、飛ばせ、飛ばせと、飛ぶ可能性ばかりの、そのためのワンポイントレッスンなのです。それがもとで、多くのゴルファーは練習場でも大きく飛ぶボールを求め、力を入れて振り回すわけです。芯に当たるボールは数発しか出ないのにもかかわらず、たった1回の当たったという感覚に囚われて、一生ナイスショットを追いかけ続けるわけです。こうして痛恨の落とし穴に陥るのです」

 正治さんの言うことはもっともです。もしも正治さんと出会わなければ、私も飛ばしに囚われたままだったと思います。しかし、私は次のラウンドまでに何をしたらよいのでしょうか?1ストローク縮めるためには何をしたらよいのでしょうか。

 一般的にはドライバーや他のクラブのミート率向上の練習になるのでしょうか。しかし、10発中4発がナイスショットでも残りのショットが致命的なミスになればスコアは大崩れてしまうでしょう。

 私は正治さんに尋ねました。答えは次のことでした。

「平均的なショットを自分の最大飛距離としたスイングを行うこと。それがスコアメイクにつながるのです。達人たちは言っています。『真のチャンピオンとはスーパ―ショットを打つことではなく、致命的なミスをなくすことだ』と。『ゴルフは確率のゲーム』だと」

 わかったようでいてわからない答えです。「平均的なショットを自分の最大飛距離とするスイング」とはいかなるスイングなのでしょうか?

                         次週に続く

文:久富章嗣(ゴルフ向学研究所所長) 編集:島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)

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