中部銀次郎「練習の心」其の三

得意なクラブに磨きをかけ、

苦手クラブを克服する

 中部さんはアイアンショットが得意だった。キレが鋭く、ピンをデッドに狙っていける正確さを誇っていた。特に7番アイアンは自分の腕のようだと自信を持っていた。

 その7番アイアンは父から譲り受けた『マクレガーMTターニー』。この名器を中部さんはフルセットで自分のものにできた。欲しくても、高価過ぎて手にできなかったものだ。

「密かに父の部屋に潜り込んでは触っていました。重厚感があり、手にするだけで力強いショットが打てそうなクラブ。それが中学卒業前に自分のものとなり、もっともっと練習しようと誓いました」

 スポーツギアでも楽器でも、モノはたやすく手に入ってはいけない。感謝の念が薄れ、愛着が湧かず、大事にしようとする気持ちが欠如してしまう。それが上達を妨げてしまうのだ。

 中部さんはこのクラブを大事に扱い、磨きをかけた。愛着が湧くから練習に熱が入り、実力が一気に向上した。

「すべてのクラブを一生懸命に練習しました。その中でも基本となる7番アイアンはたくさん練習するので、自信が持てるクラブとなりました。7番が持てれば、チャンスではグリーンはもちろん、ピンだって狙える。ピンチの時も7番でリカバリーショットが打てる。何度も救ってもらいました」

中部銀次郎

 このように14本の中で得意のクラブを作ることはとても大切なことだ。そのクラブを持てばミスはない、チャンスをモノにできる。そうした自信は、ミスの多いゴルフでは本当に大きな力を発揮するのだ。

 しかし、中部さんは苦手なクラブも作るなという。

「苦手なクラブを苦手だと練習しないのは良くありません。苦手だとわかっていながらもバッグに入れて置くでしょう。だから、苦手なクラブがどうして上手く打てないかを研究して、打ちこなせるようにすること。それだけでスコアを大きく縮めることができるのです」

PAGE TOP