百打一郎と申します! 第3ステージ第7回 

『4回目のラウンド』

新しい年を迎えて、私は意欲的に「今年は月一回のラウンド」という目標を立てました。

4回目のラウンドが1ケ月後に迫っていました。まずは教えてもらったアプローチの精度を上げることと、150ヤードまで伸びたティショットの飛距離をさらに180ヤードまで伸ばしたいという練習目標を立てました。

アプローチは80ヤードと100ヤードという2つの距離を、7番と9番アイアンで寄せるランニングアプローチを練習しました。

コンスタントに同じ距離を出せるリズムとテンポでインパクトを強打せず、スムーズにスイングする練習をしました。そのためにはバックスイングとフォローを同じだけ振ること。つまりインパクトでクラブを止めない。ヘッドをスムーズに出して行くことを心掛けました。

そして、ボールをグリーン近くに運ぶ意識で、ショートしても正解と考えるようにしました。80ヤードと100ヤードをオーバーするよりショートするという意識です。

「今の一郎さんのレベルではピン1m以内に寄せるのは正解ではない」

 正治さんから言われたことを噛み締めながら、ピンを目がけずグリーンのフロントエッジでいいのだと言い聞かせました。その考えこそが結果として、乗ったり、寄ったり、入ったりすると言う経験を今まで何度かしてきたからです。

1m以内に寄せようとすれば、思わず大きく打ってしまいます。ピンをオーバーすれば下りラインとなって難しいパットになります。ショートすればパットがやさしくなる上りラインになります。これまで上りラインだからこそパーを取れたという成功体験もしました。

こうした練習をしていくうちにアプローチが面白くなり始めました。すると、余裕が出てきたのか、違うクラブでアプローチを試してみたり、9番アイアンでロブショットにチャレンジもしてみたりもします。そんなことをして何の役に立つのかはわかりませんが、理屈ではなく楽しいからやってみたくなるのです。こうした練習は自分の頭が柔軟になる感じがあります。

「頭の固さに執着していると新たな展望は開けない」

 正治さんはそんなことを言っていました。いろいろなことにチャレンジし、体を動かすことで、様々な状況に対して柔軟に対応することができる。それを信じて練習に励みました。

今回のラウンドまでの1ケ月間は、私にとって待ち遠しいワクワク感がありました。前回ハーフで50というスコアが出て、今回はその50を切ることができるのか、期待と不安が高まりました。

すると、ナイスショットへの意識が過剰になってしまったのか、ショットでは体が硬直してミスが連続して起きるようになりました。そこで考え直して、もっとミスに寛容になり、ミスを楽しむことにしました。

50というスコアは私が出そうと思って出たスコアではなく、結果として出たものです。あくまで今の目標は「PAR数字オン」の実行です。そのためにはショットの散らばりを少なくする必要があります。そこでトップを12時とし、フォローを3時にするコンパクトなスイングの練習に取り組みました。ミート率が高くなり、方向性は良くなりましたが、飛距離は満足するものにはなりません。飛距離に対する思いは、やはり頭から離れませんでした。

速く強く振れば飛ぶという単純思考が先行してしまい、思わず振り回してしまうのです。12時〜3時のスイングでミート率が良くなると、180ヤードの飛距離を求めてしまいます。飛ばしたいと「もっともっと現象」に取りつかれてしまうのです。結果、振り回す練習になり、タイミングが合わず、飛距離は伸びませんでした。

ゴルフスイングはタイミングが重要で、力でもなくスピードでもないことに、この時はまだまったく気が付いていなかったのです。何度か実戦経験を重ねてようやくそのことに気付いたわけで、長い時間が必要でした。

12時〜3時のコンパクトなスイングと飛距離が欲しいという葛藤の中で、4回目のラウンドが始まりました。コースは前回と同じ正治さんがよく行く河川敷の林間コースで、今回も正治さんと一緒です。

ティショットはドライバーを使い、セカンドショットは3番ウッドで打ちました。3番ウッドはフィニッシュを「くの字」にする「くの字フィニッシュ」を用いてボールを運びました。これはフォローでクラブヘッドを左サイドに振り抜いていくのではなく、打ってからヘッドを頭上にもってくるようにするスイングです。自分から見てフィニッシュが右腕とシャフトが「くの字」になる「くの字フィニッシュ」です。このスイングはボールが必要以上に左に飛ぶのを防ぎ、真っ直ぐに飛ばせるようになります。つまり、これまでやって来た引っ掛けショットを行うつもりで、フィニッシュだけ「くの字」にすれば真っ直ぐに飛ばせるというわけです。

 こうしたショットを用いて、1番ホールこそ3オン3パットのダブルボギーでしたが、残り7ホールでも3オンができました。つまりハーフ9ホールのうち、8ホールを3オンできたというわけで、「PAR数字オン」を目標としていながら、ミドルホールでは1打縮めて3オンもできたというわけです。

 特に7番のロングホールでは思わぬことが起こりました。ティショットがシャンクしてOBとなったのですが、打ち直しのショットはフェアウェイに運ぶことができました。セカンドを打ち、3打目はピンまで残り150ヤードです。この距離を3番ウッドで打つと、ピンにまっしぐらに飛び、何とピン30cmに寄ったのです。正治さんが「入ったかと思ったよ」と言うほどのナイスショットで、OBバーディの6のボギーであがれたのです。

 アプローチも練習の成果が実ってきたのか、ユーティリティと7番と9番アイアンでグリーンに運ぶ意識で打つことができ、寄せて1パットのパーを2つ取ることができました。

 こうしたことで前半のハーフを48であがることができました。初めてハーフ50を切ることができたのです。とても嬉しく、正治さんからも褒められました。

 このまま後半も上手くプレーができればいいと思いました。しかし、どこかに100を切りたいという欲求があったのでしょう。体が硬くなり、スムーズなスイングができなくなったのです。

 飛ばしたいという欲求も募ってきたのでしょう。力が入り、力んだスイングになってミスが増えました。飛ばないゴルファーが力を抜いて打つことなどできません。しかし硬い筋肉ではスピーディーなスイングはできないのです。そのことがわからないのが、初心者なのかも知れません。

 飛ばそうと思って、かえって飛ばない。飛ばないから力が入ってミスを重ねてしまうという悪循環に陥ります。思ったところにも打てなってしまい、体がより一層硬直してしまうのです。

 こうしたことから、後半のハーフのスコアは54でした。せっかく前半が48であがれたのに、トータル102と、100は切れませんでした。

 力を抜いて楽に180ヤード飛ばせるようなる教科書などどこにもありません。基本はまずドライバーで100ヤードの方向に対しての自信をつけ、徐々に距離を伸ばして150ヤードをミスなく打てるようにしなければいけません。すでに100ヤードなど飛ばせると、そう思って100ヤードの練習を怠ると、途端にボールは曲がり出します。こうなると方向性も飛距離も不安定なままです。常に基本に戻って練習する。そのことを忘れてはいけないなと思いました。

 

                            (次週に続く)

文:久富章嗣(ゴルフ向学研究所所長) 編集:島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)

このたび、久富さんのドリルを集めた本『月3回の練習で100を切る!久富ゴルフ・レッスンブック』の電子版がアマゾンより発売されました。オールカラーの改訂版です。『百打一郎と申します!』がよりわかりやすくなること請け合いです。

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