2番アイアンが打てれば
すべてのクラブが上手く打てる
大学時代に日本アマのタイトルを獲り、社会人になった中部さんは、さらなる高みを目指してより一層ゴルフに打ち込んだ。
「日本一になることと、日本一のゴルファーになることはまったく違うことです」
こうして、毎日、仕事を終えると、練習場でボールを打った。4、5時間、打つことも多かった。ショットの精度を高め、絶対的な自信を得たかったからだ。そして、この時に始めたのが、難しい2番アイアンをモノにすることだった。
「海外遠征にも行き、距離の長いコースでパワーのある外国選手と戦うためにはロングアイアン、それも2番アイアンでグリーンを狙える必要があると感じました」
こうして行った練習は打席のマットで打つことではなく、打席から後ろに下がったアスファルトの道の上から打つことだった。ダフればクラブを傷つけ、それを怖がればトップする。クラブヘッドを正確にボールに当てる必要があるのだ。
「2番アイアンでクリーンにジャストミートできることを自分に課しました」
こうして、2番アイアンで真っ直ぐ矢のように飛んでいく打球を身につけた。朋友の青木功が「誰も真似できない惚れ惚れする弾道だよ」と語るショットだった。
「2番アイアンはドライバーとサンドウェッジのちょうど中間の長さ。それだけに2番アイアンで正しくアドレスが作れれば、どのクラブでも正しくアドレスできます。特にアドレスでの前傾角度。屈み過ぎや立ち過ぎを調整することができるのです」
こうして中部さんは前人未踏の日本アマ6度の優勝に挑んでいくのだ。
2番アイアンがほとんど消滅してしまった今ならば、2番ユーティリティでいいかもしれない。2番アイアンよりはぐっとやさしいはず。それをモノにして、すべてのクラブの精度を上げてみたい。
