YNGゴルフ研究会書斎のゴルフSpiritsその15

ゴルフが上手くなる要素 スウィングその前にあるもの part 2 

クラブとセッティング その1 クラブ選び

「スウィングはクラブでつくられます」とフォーティーンの創設者 故・竹林隆光は語っています。

3Wでトップとダフリを繰り返す方を練習場でみかけました。その方は「いろいろスウィングをアドバイスされたけれども、上手く打てない」と言うのです。そこでクラブの重さを計ると3Wがドライバーより軽いことがわかりました。シャフトとヘッドに鉛を貼ってドライバーより重くすると、見違えるようにスウィングがスムースになり、ナイスショットが飛んでいきました。「えー、なんでー」という感想です。その後お会いすると「コースでも3Wが打てるようになって、3Wを使う機会が増えた」ということでした。この方にスウィングのアドバイスは何もしていません。

多くのアマチュアは、スウィングばかりを意識して練習しています。ミスショットはスウィングのせいだと思い込んでいるからです。

ゴルフはクラブを扱うスポーツです。竹林隆光の言葉「スウィングはクラブでつくられる」を言い換えれば、“おかしなクラブは、おかしなスウィングをつくる”ということになります。

クラブ選びの本質 ―黙って振れば芯にあたるクラブ探し―

クラブ選びの本質は、一言でいえば“黙って振れば、芯に当たるクラブ”探しと言えるのではないでしょうか。そのために少しだけクラブについて知ることが必要です。

グラフ

自動的に生成された説明
グラフ

自動的に生成された説明

クラブの長さと重量がバラバラなフロー       クラブの長さと重量の適正なフロー

                                  ゴルフクラブ数値.COMより

グラフの横軸がクラブの長さ(インチ)で縦軸がクラブの重さ(g)です。クラブは長くなるほど軽くなるのが原則です。

以前何人かの方にスウィングのアドバイスをしたとき、皆さんのクラブの長さと重さを計測してグラフをつくって見てもらいました。

なかには今のクラブとセッティングでは上手くなれないと思われる方もいました。それにもまして、皆さんクラブの手入れをしていません。グリップはツルツルでへこみがかなり深くなっているものもありました。また、7番アイアンだけが硬さの違うもの、フェアウェイウッドとハイブリッドの重さと硬さがセッティングの流れから外れているもの、自分で鉛を貼ってしまったがためにクラブの重量がずれているものなどいろいろでした。スウィングのアドバイスを受けても、使っているクラブがこうした状態では上達はできません。

ある方に「このクラブを選んだのはなぜですか」とお聞きすると「ショップで計測して、一番飛ぶクラブだったから」という答えでした。その方の年齢は50才台で体力もあります。しかし、クラブは体力がない高齢の方にふさわしいと思われる軽くて柔らかいシャフトのクラブです。「このクラブとセッティングでは、半年後には飛距離が落ちて、ミスショットが今より多くなるかもしれません」と伝えると、がっかりした顔をされました。それでクラブの長さと重さのグラフを見ながら、適正と思われるスペックのクラブをお伝えし、それに近いクラブを何本か打ってもらいました。「どれが一番スムースに振れて、思ったようなショットが打てましたか」とお聞きすると、「自分のクラブではない方が、ミスが少ない。ただ、飛距離はあまり出ないような感じがする」ということでした。

まさにこの言葉がクラブ選びの本質を表しています。飛距離は、一発の飛びではなく平均飛距離が伸びるかどうかが問題です。いくらまぐれ当たりが飛んでも、ミスばかりではスコアはよくなりません。そしてアマチュアにとって一番大切なことはミスが少ないことです。ミスが出るクラブは、スウィングするたびにクラブの動かし方を気にしてストレスがたまります。ミスが少ないクラブは、何も意識しないでヘッドの芯でボールが打てるクラブです。

何のためにスウィングのアドバイスを求めるのか。それは、いいスコアであがるためです。

何のためにクラブとセッティングを選ぶのか。それは、飛距離が出るから、ではないでしょうか。

これがアマチュアのクラブ選びとセッティング実態です。つまり、スコアをよくしたいのに、無闇に飛距離が出るクラブを求めては、それを実現することはできません。“目的と手段が一致していない”からです。

竹林隆光は「『どれが自分に合っているか。』『どれが一番飛ぶか。』という質問が圧倒的に多い。不思議に感じるのは『どれが一番スコアがよくなるか。』という質問がないことです。どのようなクラブを選んだら一番スコアが良くなり、一層上達できるかということが本来、クラブに求める一番大切な本質だと思うのです」と語っています。

クラブ選びの基準

クラブ選びの基準は何か。アマチュアゴルファーは、クラブ選びの基準があいまいです。基準は“一発の飛距離”だけかもしれません。多くの人は、人に勧められたから、ショップでいいと言われたから、雑誌やネットで評判だから、プロが使っているからといった基準でクラブを選んでいるのではないでしょうか。なかでも一番多いのは“飛ぶ”といわれるクラブです。

練習場では、多くの人がスコアをよくしたい、上達したいと練習に励んでいます。ゴルフが道具を使うスポーツなのに、使っている道具はその人にとって、スコアが良くなる、上達できるとはとても思えないクラブを使っている人が本当にたくさんいます。アマチュアの多くの人がそういうクラブを使っているような感じです。

まずは自分のクラブとセッティングを見直すことからスタートします。

〇グリップがツルツル、バラバラ・・・雑巾で拭く、激落ちくんで磨く、グリップを同じものに交換する。理由は、グリップを同じものに交換しただけでも見違えるようなスウィングとショットになることがあるからです。

〇シャフトがさびている・・・オイルをつけて磨く、コンパウンドで磨く。

〇フェイスに打痕あとが残っている・・・ブラシや硬めの食器洗いスポンジで磨く。

上記の状況では上達はあり得ません。ついでにキャディバッグはゴミ箱になっていないでしょうか。

〇クラブの長さ、重量を計測したことがない

〇シャフトの重さ、硬さ(振動数)、トルクをチェックしたことがない

〇クラブヘッドの(リアル)ロフト角、ライ角、フェイス角をチェックしたことがない

〇グリップの太さ、重さ、バックラインの有無をチェックしたことがない

上達を望むなら、こうした基本的なスペックをチェックする必要があります。自分のクラブとセッティングをチェックして、統一感のあるクラブとセッティングにするだけでうそのようにナイスショットが打てるようになります。

クラブのスペックをチェックして、自分の能力に合ったクラブを選択する、調整することがフィッティングです。フィッティングを受けると自分の能力に合うクラブのスペックがよく分かります。ショップで正確な計測を行う試打も大いに参考になります。普通の試打はクラブを感覚でチェックするだけです。感覚は重要ですが一定ではありません。一方、クラブのスペックは不変です。人がクラブを振る以上、感覚とともにスペックが大事なのです。

適正なクラブ選びとセッティングには、知識と情報が必要です。クラブの長さ・重量、ヘッドの大きさ・ロフト角・ライ角、シャフトの重量・硬さ(振動数)・トルク・調子、グリップの太さ・重量などのクラブの基本的な性能やスペックをチェックする必要があります。しかし、重量を除いて、これらの表示は、メーカーやブランドによってバラバラなのが実態で、アマチュアが理解するのは難しいかもしれません。

例えば、ドライバーの長さは計測方法によって、長さが異なります。同じ45インチと表示してあっても、メーカーによっては44.75インチだったり、45.25インチだったりします。クラブの長さは0.5インチ違うと1番手違います。

ロフト角は球の高さに大きく影響します。ドライバーのロフトが9度では球が上がらず、10度なら楽に球が上がるという感じになります。あるメーカーの9度は球が上がるが、ほかのメーカーの9度では全く球が上がらないということは普通にあることです。本当のロフト角はリアルロフト角という言葉があるくらいです。球の上がるクラブはロフトが9度と表示されていても、リアルロフトが8度だったりするのです。

シャフトにはX、S、R、A、Lといった表記の基準がありますが、メーカーやブランドでバラバラです。H社のTブランドのRは、同じメーカーのGブランドのSより硬くなっています。

また、シャフトの調子も元調子、中調子、先調子などの分類がありますが、これも基準がありません。あるメーカーでは中調子と表示されていても、実際は先調子だったりします。

グリップもD社のSブランドでは50g、Xブランドでは30gがついています。黒いグリップだから同じ重量だとは限りません。グリップの重さが20g違うとスウィングがバラバラになってしまいます。

クラブのスペックの計測法はルールで決められています。現在の規則書(ルールブック)にはクラブの正式な計測法についての記載はなく、規則書とは別に「用具規則」があります。これはネットで調べるしかありません。例えば、クラブの長さは60度法と決められていますが、メーカーの表示はヒールエンド法といわれる計測法で表示しているものがあります。長さが違えば、適正な重さや硬さ(振動数)なのどのスペックも変わってきます。

では、何を基準にクラブを選んだらいいのでしょうか。竹林隆光は次のようにアドバイスしています。

「自分にぴったりのクラブはありません。自分にぴったりのクラブがないのなら、いったい何を拠り所にクラブを選べばいいのかと思われるでしょう。答えはとても簡単で、『自分が使いこなせるクラブ』なんです。これはもうクラブを選ぶ上では絶対的な条件と言っていいでしょう。

クラブにはそれぞれ能力があるんです。例えば、ドライバーなら300Y飛ばすのに効率のいいクラブ、260Y飛ばすのに効率のいいクラブ、あるいは220Y飛ばすのに効率のいいクラブというようにクラブには効率よく飛ばせる能力があるんです。

クラブには能力があって、自分の能力に最も近い能力のクラブを選ぶと結果がいいんです。これはもうクラブ選びの絶対的な条件です。

例えば、300Yを効率よく飛ばせるドライバーであれば、シャフトの重量は70g以上で硬度はXでトルクの小さいもの、ロフトは9度で総重量は325g前後。260Yを効率よく飛ばせるドライバーであれば、シャフトは60g台で硬度はSでトルクは少し多くなり、ロフトは10度で総重量は315g前後。220Yを効率よく飛ばせるドライバーであれば、シャフトは50g台で硬度はRでトルクが大きいもの、ロフトは11度で総重量は300g前後。各数値はだいたいの目安ですが、つまり各クラブの能力にクラブのスペックというのはおおむね決まってしまうんです。言い方を変えると、300Yセット、260Yセット、220Yセットという具合に分かれていて、ゴルファーは自分の能力に最も近いセットを選べばいいわけです」

アイアンについては次のようにアドバイスしています。「ヘッドスピードが速い人は重心距離が短く、ストレートネックでスチールのような重いシャフト。ヘッドスピードが遅い人は重心距離が長く、グースネックで軽めのシャフトが合っていると覚えてください」

クラブ選びの基準は、ゴルファーの能力、おおむね飛距離・ヘッドスピードが基準になります。

300YのHSは55m/s程度、260Yは45m/s程度、220Yは40m/s程度になります。メーカーのカタログにはシャフトの硬さに応じた適正なHSの目安が記載されています。また、シャフトにはシャフトの重さ、硬さ(X、SX、S、SR、Rなど)、トルク、キックポイント(調子)などの表示があります。PRGRではHSに応じたシャフトの硬さ(M37、M40、M43、M46)が表示されています。ホンマではクラブの振動数、フォーティーンではクラブの慣性モーメント、ダンロップでは自社シャフトを4分割した硬さを表示しています。ツルーテンパーはシャフトの振動数の参考値が表示されています。各メーカーでいろいろ工夫した表示方法がありますが、これはかなり専門的な知識がないとわからないものもあります。プロかフィッターのアドバイスを受けることが一番の近道です。

クラブ選びとセッティングは試打とフィッティングで

「クラブは打たなきゃ分からない」というキャッチフレーズのU-tubeがあります。その通りでどんなにスペックを調整しても、フィーリングが合う合わないはクラブごとに違います。クラブを選ぶときは、可能な限りクラブの長さ、重量、振動数、バランスやショットの飛距離・弾道(打ち出し角、曲がり)・スピン量を計測できるショップ(量販店でも大型店では可能)や工房で試打してフィッティングを受ける、いろいろなクラブを試打する、可能な限りプロやフィッターのアドバイスを受けることです。ク

ラブは、使い捨てというものではありません。クラブ選びでゴルフのレベルが決まると考えてしっかり選

ぶことが必要です。

フィッティングやプロのアドバイスを受けるときのポイント

〇現実的なゴルフの目標、練習量などを伝える

〇現在のスウィング、ショットやミス、どんなショットが打ちたいかを伝える

〇現在使用中のクラブとセッティングをチェックしてもらう

〇時間がかかっても気にせず、何種類かのクラブを試打する

〇セッティング全体の統一感をチェックしてもらいアドバイスを受ける

〇アフターサービスが受けられることを確認する

フィッティングは、大型ショップ、工房などで受けることができます。一生モノとはいいませんが、それなりの期間使うクラブは慎重に選んで大事に使いたいものです。女子プロの藤田光里は「アマチュアの方とプレーするときはまずクラブを観ます。クラブを観れば、その方の腕前がだいたい分かります」と語っています。

手始めに、下のグラフで自分のクラブの長さと重さをチェックしてみてください。重さは家庭用の計量器、長さは家庭用のメジャーでも構いません。長さは、簡易的にグリップエンドからヒールまでの長さで、1インチは2.54cmで換算します。自分のクラブの統一感(腕前)が一目瞭然になります。

クラブの長さと重量のグラフ(アイアンシャフトが N.S.Pro950GH(S) の適正なセッティングの例)

*1インチ=2.54cm  ゴルフクラブ数値.COMより

文●柳生田幹久(YNG研究会 書斎のゴルフSTAFF)

PAGE TOP