YNGゴルフ研究会書斎のゴルフSpiritsその16

ゴルフが上手くなる要素 スウィングその前にあるもの Part2 

クラブとセッティング その2 いいクラブといいセッティング

いいクラブとセッティングが、いいスウィングをつくり、いいスコアをつくる 

素振りを見ればゴルファーの腕前がわかる、アドレスを見ればゴルファーの腕前がわかる、グリップを見ればゴルファーの腕前がわかる、そして“クラブを見ればゴルファーの腕前がわかる”という先人の言葉があります。

どんなにいいスウィングでも、ゴルファーの能力に合わないクラブやバラバラなセッティングでは、次第にスウィングは崩れてミスショットが多くなります。スウィングはクラブによって良くも悪くもなります。スコアも当然ながらクラブ次第です。

ところがアマチュアのクラブとセッティングを見ると、とても上達できるとは思われないようなクラブとセッティングになっていることがたくさん見受けられます。

多くのゴルファーは、グリップがツルツルに光っている、シャフトが錆びている、フェイスにボールの打痕が残っている、キャディ―バッグはゴミ箱状態という手入れの悪さが目につきます。

ドライバーが軽い純正シャフトなのにアイアンのシャフトは重いダイナミックゴールド、ドライバーのシャフトはカスタムシャフトで重いのにフェアウェイウッドは軽い純正シャフト、アイアンのシャフトが軽いカーボンなのにウェッジがスティールで重すぎる、クラブの長さや重さがバラバラ、グリップがバラバラなど数え上げたらきりがないのが現実です。シングルゴルファーになるとさすがにそこそこのクラブとセッティングになりますが、それでも問題がないわけではありません。

自分の思い込みや感覚だけでは適正なクラブとセッティングになりません。昔のようにクラブもシャフトも種類が限られていたときには感覚が重視されましたが、現在のようにテクノロジーが進化し、多種多様なクラブがある状況では、クラブのスペックが重要になっています。知識と情報がなければいいクラブとセッティングができない時代になっています。そしていいクラブとセッティングさえ準備できれば、上達は間違いありません。

メタルドライバーの時代では、軽量スティールシャフトはなく、カーボンを除けばほとんどがダイナミックゴールドのS200かR300といったような選択肢しかありませんでした。アイアンもキャビティーバックはPINGなど一部だけでほとんどがマッスルバックのアイアンでした。そのために限られたクラブをどう使うかというテクニックが最重要課題だったのです。

現在のクラブは、多様なゴルファーに対応するクラブを手にすることができます。しかもあらゆるクラブがほとんどテクニックを必要としない誰もが打ちやすいクラブに進化しています。そのために現在はテクニックよりもクラブフィッティングがより重要なテーマになっています。

クラブとセッティングが適正なものになれば、トラック1台分のボールを打つといった練習よりもはるかに早く上達することができます。最近はアマチュアがプロの試合で優勝したり、プロになってすぐに優勝したりすることは珍しいことではなくなりました。つまり適正なクラブとセッティングと合理的な練習さえすれば、想像もつかない早さで上達できることがわかります。

アマチュアは、クラブの知識や情報をほとんど持っていません。持っていたとしても、細切れの知識と情報がほとんどです。自分の能力に合わないクラブとバラバラなセッティングで、ミスショットは腕のせいだと思って一生懸命練習しています。クラブの特性や扱い方を知らなければ、いくら練習しても上手くなることはできません。オートマの車をギヤチェンジして運転しているようなものです。

「激芯ゴルフ」というTV番組でLPGAのプロテストを受験するプロの卵がクラブフィッティングを受けている放送がありました。何年もプロテストを受けている彼女達でさえ、自分の能力に合わないクラブとバラバラなセッティングになっていることをクラブフィッターから指摘されていました。プロを目指す彼女たちでさえそういった状態なのです。ましてやアマチュアのクラブとセッティングは言うに及ばずということです。

ほとんどのアマチュアは、クラブとセッティングをほぼ自分の感覚だけに頼っています。ところが同じクラブでも重く感じたり、軽く感じたりします。それだけ人間の感覚は不安定です。一方クラブのスペックは変わりません。クラブはスペックと感覚のコンビネーションで決めることがポイントです。アマチュアはクラブのスペックに精通していないのでクラブとセッティングはフィッターやプロのアドバイスを受けることが必要です。現在はトラックマン、ギアーズ、GCクワッド、パットラボなど様々な計測機器があり、ショットのデータを含めてより科学的に適正なクラブとセッティングにすることができます。

中部銀次郎は「人間がクラブに合わせるのではなく、クラブに人間を合わせる」とアドバイスしています。中部銀次郎は調子が悪くなると前傾姿勢が深くなる癖があり、それをチェックするために、試合の朝の練習場では2番アイアンで練習し、パッティングではパターのソールを地面にピッタリとつけて前傾姿勢をチェックしていました。それで感覚のずれを防いでいたのです。感覚頼りのクラブとセッティングでは、クラブを選んだときの体調や季節よってスウィングも左右されてしまいます。

クラブに対する知識と情報がないと、感覚とメーカーの情報などに頼ってクラブを選ぶことしかできません。プロのアドバイスやフィッティングを受けることで、クラブの知識や情報がなくてもいいクラブとセッティングになります。自分の能力にあったクラブと統一感のあるセッティングにすると、自然にスムースなスウィングになり、スコアも良くなります。試打とフィッティングでさまざまなデータとフィーリングに基づいて、自分の能力に応じたクラブとセッティングにすることがゴルフ上達の大前提です。

レベルに応じたクラブとセッティング

クラブ選びとセッティングはゴルファーのレベルに応じたものがあります。100切り、90切り、80切りなど、それぞれゴルファーには目標があります。

竹林隆光は「(はじめは)補助輪付きのクラブを使いなさい」とアドバイスしています。

「ゴルフの上達というのは、1回スライスを経験して、次に1回フックを経験して、実はそこからゴルフの本当の上達が始まるんです。

球筋を矯正するというのは、スウィングを矯正するよりも道具、つまりクラブでやる方が正しいんです。

クラブで球筋を矯正すれば苦しくつらい思いをしないで、ゴルフを楽しみながら改善できますから。

もし僕がショップの店員さんで、スライスしか打ったことがない人がクラブを買いに来て相談を受けたとします。そうしたら僕はきっとこう答えるでしょう。

『あなたは、いまスライス病です。対処療法でスライスしにくいクラブをまず選んでさし上げます。しかし、このスライスのしにくいクラブを使って、あなたのスイングがよくなってくるとボールは左に引っかかったりフックがでるようになります。そのときにはもう少しオーソドックスなクラブに買い替えて下さい』と、こんな2本立てのストーリーでクラブを選んであげるでしょう。

スライスに悩んでいる人でも左にしか飛ばないとかフックしかでないクラブを使っていると、スイングはもう絶対に変わります。いわゆるスライスの原因であるアウトサイドインのカット軌道などは間違いなく直ります」。

さらに竹林隆光はレベルに応じてクラブを換えることをすすめています。

上達に応じて少しずつスタンダードなスペックのクラブに換えていくことが、さらなる上達を促すポイントになります。

例えば、スイングがよくなってボールが捕まりすぎてフックが多くでるようになってきたら、その捕まりすぎをクラブで解決するんです。

また、軽いクラブで上達すると次にちょっと重いクラブが使えるようになります。重いクラブが使えるようになるとリストが柔らかく使えるようになるとか、しっかりボディーターンでスイングできるようになるとかそういうメリットがあるのです。

そのチャンスを逃してしまうと、もうずっと軽いクラブしか使えなくなってしまいます。すると素質はあるのだけれど、それ以上の上達が絶たれてしまうということが起きるのです。特に若い人などは注意した方がいいですね。

クラブをスタンダードなものに近づけながら、さらに大きなミスがでない、つまりほどほどのミスですむクラブを使っていくと、どんどん上達していってコンスタントに80台前半くらいのスコアがでるようになってきます。

そうしたら今度は持ち球を磨くというのが更なる上達のポイントになってくるわけです

例えば、フックがでるからフックを直すクラブというのではなく、フックというミスを上手に操れるクラブというのが武器になってくるのです。

つまり第一世代が補助輪付きのクラブで球筋を矯正する。第二世代はほどほどのミスに抑えるクラブだとしたら、持ち球がコントロールしやすいクラブを選ぶというのは第三世代と考えていいのでしょう。おおむねこのような青写真を描き、プロセスを踏んでいくと、誰でも70台のスコアをだすことができると思うんです。

簡単にいうとクラブを洋服と考えればいいんです。どんどん成長して大きくなるときには、どんどん洋服を換えないといけないと入らなくなってしまいます。つまり上達段階にある時にはクラブを換えていくんです。逆に年をとって下手になるときというのは体が縮んでいくようなものですから、そのときはクラブを買い替えないで自分で体力を落とさないように頑張ってみる努力をするといいと思うんです」。

竹林隆光のこの言葉がゴルファーのレベルに応じたクラブとセッティングに対する基本の考え方ではないでしょうか。プロや上級者でもクラブに対してこうした考え方をはっきりとアドバイスできる人がどれほどいるでしょうか。そして何よりクラブに対する青写真を描き、プロセスを踏んでいけば誰でも70台のスコアをだすことができるという言葉は心強い限りです。しかし、青写真もなければステップを踏まずに見栄でオーバースペックのクラブを使ったり、いつまで経っても能力以下のアンダースペックのクラブを使っていては、上達はできずに次第にゴルフが停滞・後退してしまいます。

一生懸命に練習しても、レッスンに通っても、いつまで経っても100が切れないというゴルファー(ゴルファーの70%)はまずはクラブとセッティングが適正かどうかチェックしてみるべきです。90切り・80切りゴルファーでも同じような課題を抱えているのが現実です。

クラブセッティングのチェックポイント

クラブは使いこなせるクラブが基本です。使いこなせるクラブとは、ゴルファーの能力に応じた適正なクラブです。ゴルファーの能力は飛距離やヘッドスピードによっておおむね決まります。クラブセッティングが14本なら、その中で一番振りやすい、ミスの少ないクラブを基準にして、そこからクラブのセッティングを考えます。おそらく多くの人は7、8、9番アイアンが一番振りやすくミスが少ないのではないでしょうか。そのクラブが基準になります。

しかし、一番振りやすいというのは、今のクラブのなかでということですが、今のクラブがオーバースペックあるいはアンダースペックということがあります。その場合は、フィッティングやプロのアドバイスを受けて、今使っているクラブが果たして自分の能力に合ったものかどうかをはじめにチェックしてもらうことが必要です。そしてドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドやウェッジを単品で購入する場合でも、今使っているクラブをセットでチェックしてもらうことが必要です。

基準となるクラブが決まれば、他のクラブはほぼ決まってきます。基準になるクラブとセッティングもゴルファーのレベル・目標によっても異なります。

〇スコアの目標は特にない、練習もそれほどしない、人に迷惑をかけずに(そうは言っても100切りが条件)プレーしたいというゴルファーで、そこまでクラブにこだわらないという人は、メーカーの推奨するHSに適合するクラブを基準に考えてもいいかもしれません。

〇なんとしても90台のスコアであがりたい。練習やラウンドも可能な限りやりたいというゴルファーなら、きちんとフィッティングを受けるかプロのアドバイスを受けて、そこそこしっかりとした基準となるクラブを選び、セッティングを整えるべきです。

少しハードルが高いように感じるかもしれませんが、100切りゴルファーでもクラブとセッティングを整えてパットとアプローチの練習に努めれば、簡単に100切りができて、90切りも比較的簡単にできる人が多いようです。クラブとセッティングが悪くて100を行ったり来たりしている人がたくさんいます。実にもったいないはなしです。

〇80台のスコアであがりたいという人もクラブとセッティングに対してはほぼ同じですが、さらにショップや試打会などでいろいろなクラブを試打してみるべきです。このレベルになるとクラブに対する感覚も鋭くなってきます。いろいろなクラブを試打することで、どんなクラブが振りやすいかがよりはっきりとわかってきます。そのうえで、フィッティングやプロのアドバイスを受けるとさらに適正なクラブが見つかります。90切りゴルファーは100切りゴルファーに比べてミスも小さく少なく、スウィングが安定しているためにさらにクラブにこだわってみるべきです。

〇70台を目標にするゴルファーなら、是非ともしっかりしたフィッティングとプロのアドバイスを受けるべきです。竹林隆光が言うとおり、こうしたゴルファーは持ち球を磨くということが課題になります。それには最適なクラブとセッティングだけではなく、そのクラブをどう扱うかというスウィングの繊細さも同時にテーマになります。そのためにはショットやミスの出方をチェックして、微妙なクラブやセッティングの調整も必要になります。先日もあるU-tubeでプロがフィッティングを受けて微妙なロフトやシャフトの調整をしてショットがよくなったというはなしがありました。

ゴルフのレベルと年齢・体力の要素

クラブの基準は主に飛距離・ヘッドスピードで決ります。クラブはすぐに換えるものではありません。馴染むまでには少し時間がかかります。ほんとに使いこなせるまでにはおおむね半年から1年くらいは必要ではないでしょうか。つまり半年後、1年後をターゲットにしたものとなります。

若い人なら、半年や1年の間に驚くほど上達することもあります。また少しストレッチやトレーニングをすれば体力も増強します。デシャンボーを見ればよくわかります。若い人で少しゴルフを頑張ろうと思う人なら、今は少しハードな感じのクラブが将来いい結果になるのではないでしょうか。

シニアでもしっかりとレベルアップしたいという目標があるなら、安易にスペックを下げるべきではないかもしれません。若いときの感覚のままでもともとオーバースペックというのはよくないことですが、とかく年だからといって安易にスペックを下げてしまうとスウィングまで衰えてしまう可能性があります。その点で竹林隆光は「50才過ぎの、もうひと頑張り」をアドバイスしています。シニアになって体力がなくなるのは自然現象です。しかし、そこで踏ん張って体力アップに励んでみることでまだまだやれるということがあるものです。

女性の場合、気を付けたいのはアンダースペックのクラブとセッティングが多いことです。市販のクラブは女性向けとして販売されていますが、女性といっても運動経験のないシニアから体力のある若いアスリートまでいろいろです。体力のないシニア以外の人はむしろ男性向けのクラブとセッティングがいい場合があります。

市販のクラブで注意したいのは、メーカーやショップではゴルファーの一番のニーズである飛距離のでるクラブ(長い、軽い、柔らかい)をターゲットにする傾向があります。ゴルファーの多く(約70%)は100切りを目指すゴルファーです。メーカーやショップがこの70%のゴルファー向けの100を切りしたい手打ちのゴルファーをターゲットにすることは当然といえます。

しかし極端なことを言えば、軽い、柔らかいシャフトのクラブは手打ち向けのクラブ、重くて、硬いシャフトのクラブは体幹スウィング向けという傾向にあります。安易に46インチ以上の長尺、アイアンも含めて軽い、柔らかいクラブというのは考えものです。

クラブがスウィングをつくり、スコアをつくることは紛れもない真実です。ゴルフは一に体、二にクラブです。この二つがそろってはじめてスウィングという順番になります。スウィングの前にクラブありきなのです。

「新しいクラブを手に入れる、あるいはクラブを換えることで、いままでできなかったことができるようになる。それがクラブ選びの究極の楽しみであり、喜びだと思っています」と竹林隆光は語っていま

す。

文●柳生田幹久(YNG研究会 書斎のゴルフSTAFF)

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