百打一郎と申します! 第3ステージ第10回(最終回) 

『低迷期』

低迷期はゴルファーにはつきものです。私も上達を望めば望むほど、もがけばもがくほど、105前後のスコアから抜け出せなくなりました。100を切ってからいつでも100切りをしたいと努力しているのに、100を超えてしまうことが多いのです。

常に100切りをするには、確実に4オンを果たし、3オンもできるようにしなければならないと思います。このためには、ティショットを狙ったエリアに、セカンドショットも狙ったエリアに打てることがカギとなるのでしょうか?

練習場では普段通り、スムーズに打てているのにコースに出ると基本を忘れてただ振り回すだけの、結果オーライのショットを繰り返すばかりでした。

そこでスイングスピードをゆっくりにし、インパクトでヘッドが見えるくらいのスイングにしたところ、方向性も良くなり、意外に距離が出ました。

内心「これだ!」と思いましたが、そのスイングも長くは続かず、いつの間にか飛ばしたいという欲望が先に立ち、さらに4オンは嫌だ、3オン、2オンさせたい、もっと飛ばしたいという、師匠の正治さんが言うところの「もっともっと現象」になってしまい、そうしたゴルファー心理から抜け出すことができませんでした。

こうして、105前後のスコアのラウンドが続きました。

ある日のラウンドで1番から寄せワンのパーからスタートし、次のホールはボギー、そして3ホール目でチップインバーディと自分でもびっくりのプレーが続きました。しかし「ベストスコアが出るかも」と思った途端、次のロングホールで10の大叩き、シャンクやチャックリ、チョロの繰り返しでパニック状態に陥ってしまいました。とても落胆し、その後のプレーを投げ出してしまったのです。まだまだ、自分に弱さがあるのがよくわかりました。

しかし、この日のラウンドで、ゴルフの上達にはこのような悪いこともあると、それを受け入れていくことが大切なのだと痛感しました。ゴルフには良いことも悪いこともある。それがゴルフだというわけです。

またスコアのことを考えると、ゴルフには「スコアの法則」というものが存在するように感じます。

前半は好プレーだったのに、後半は大叩きでいつものスコアに戻ってしまう。

こういう前後半の法則が多いことに気がつきました。それはスタートから大いに張り切って前半が良いと、そこでほっとして昼食を食べ、後半が緩むということだと思います。その逆に、スタートはそこそこでいいとリラックスして、徐々に集中力を増して調子を上げていくようなプレーが大事なのでしょう。それができないのは心の余裕がないからかも知れません。

また、ゴルフでは18ホールを同じ気持ちでプレーはできないということがわかりました。

ホールの風景は一ホール毎にすべて違います。スイングはその風景に惑わされ乱れてしまいます。ゴルフは変化が多すぎるスポーツなのです。ラウンド数の少ない私にはそうした景色への対応がなかなかできませんでした。

コースに慣れるというのは体全体で感じる感覚の世界です。スイングの問題ではないようです。

つまり、コースでの感覚は練習場の感覚とはまったく違うということです。ゴルフがもっと身近で手軽にパブリックコースでラウンドできればコースで学ぶことができますが、日本ではインドアプレーヤーとして別世界で練習しなければならず、そのことでさらに難しさが加わってくると思うのです。

インドアプレーヤーは練習場の成果を100とするならば、コースの実力は20と考えなければいけないと思います。それが私の実感です。

正治さんがよく言うように、レッスン書ではパーを取る方法を正解として書いてありますが、それはプロのレベルで、ダッファー向けのレッスン書ではありません。練習量やラウンド量の少ない私のようなアマチュアは簡単にパーがとれるものではないからです。

いつでもダボをよしとする心境に辿りつけば、心の余裕が生まれると思うのですが、今までの成功体験が先行して、現実とのギャップに振り回されてしまいます。得てして空回りが続いてしまうというわけです。

正治さんによれば、一般的にゴルファーが100切りを経験して低迷してしまうのは、100切りの成功体験から飛距離に執着する心理が強くなり、飛ばすことができればもっと良いスコアになると思い込んでしまうことにあるそうです。

しかし、そうした飛距離への思い込みはパープレーを求める中級以上のプレーヤーにおいては問題がなく、私のような初心者は150ヤード飛べば十分だということなのです。そう思えれば逆に100がいつでも切れるようになり、中級者の仲間入りができるということになると言います。

 とはいえ、私を含めて一般のゴルファーは、そのことをなかなか受け入れることができません。たまたま出たナイスショットをすべてのホールに追い求め、ドライバーを振り回して致命的なミスを犯すのです。また、それを低迷の原因だとは考えず、飛ばないからスコアが良くならないと決めつけてしまうというわけです。

 そのためには「スコアを作る練習」が必要だと正治さんは断言します。これはコースで行う練習で、クラブ選びが鍵になります。簡単に言えば、打つ前にもっとも楽に打てるクラブを選択するということです。不安がなく、無理をせず、欲をかかずに打てるクラブです。ティショットでもセカンドショットでもアプローチでもです。

つまり、ティショットでは飛ばそうと思ってもそれができないクラブで打つ。セカンドショットはグリーンに届かしたくても届かないクラブで打つ。アプローチでは寄せようと思ってもぴったりには寄らないクラブで打つ。

「飛ばさない、乗せない、寄せない」の3ないゴルフです。

3ないゴルフこそが低迷期を脱出する最大のポイントだと正治さんは断言します。正治さんは次のようにも言います。

「ダッファーはティショットでドライバー使用禁止が本来の姿。しかしダッファーはドライバーを使わないプレーはゴルフではない。たまのプレーだから豪快に打ちたいと言って100以上を叩く」

私もなんとかドライバーをマスターしたいという欲望が強く、105前後のスコアの繰り返しでした。

サム・スニードは「ビギナーはドライバーをロッカーに置いてゆけ」と言っています。ドライバーを持てば不安が大きいのに、ティショットではドライバーを使うことがセオリーだと自分勝手に解釈していました。しかし、スニードの言葉で、それが大間違いであることに気がつきました。

ゴルフの目的は「飛ばすことか」、「スコアアップか」という常に初心者を悩まし続ける心の葛藤を整理し、ドライバーを封印し、「PAR数字オン」に徹することにしたのです。

3番ウッドと5番ウッド、7番ウッドをティショットで使うことにしました。こうすると不安が薄らいで、ボールが飛ぶようになりました。3番ウッドでは200ヤードも飛ぶことがありました。

ドライバーを封印し、「PAR数字オン」に徹したところ、52、43のトータル95のベストスコアを出すことができました。さらに50、43の93のスコアが続いたのです。

スタートホールのティショットに限らず、コースに出たときに大事なことはどんな目標を設定し、ショットをするかです。私の場合は「PAR数字オン」ですから、クラブ選択にセオリーはありません。

ドライバーが上手く行かないなと思えば、ドライバーで打つ必要はまったくないのです。3番ウッドでも、ユーティリティでも7番アイアンでもいいのです。目的は狙った場所にきちっと運ぶことです。ドライバーでOBやチョロが出ないと思うだけで不安感は解消され、フェアウェイにボールを運べれば、例え距離が出ていなくても2打目は打ちやすくなります。

ティショットでスコアを崩すことが最悪なのです。私のような初心者はドライバーが飛べばスコアが良くなるということはまったくありません。そのことはこれまでにさんざん経験して来たことなのです。自分の得意な、ミスの少ないクラブを選択するのがクラブ選択のセオリーです。

正治さんは言います。

「自分の得意なクラブを10本以下で選択してバックに入れ、それらのクラブをフルに活用すること。そうすれば、いつでも100切りができます。ゴルフは確率のゲームなのです」

今年6月のサントリーレディスオープンで4年ぶりに優勝した青木瀬令奈選手のバッグには3,5、7、9番までウッドがずらりと入っていました。小柄な彼女にとって飛距離不足を補うショートウッドの技巧こそ、勝利の方程式であり、クラブ選択のセオリーなのです。

私は正治さんが最初に言っていた「思考の柔軟性」にようやく目覚めることができました。前半も後半も40台のスコアでプレーできるようになり、100以上のスコアを卒業する可能性をつかみとることができたのです。

ようやく低迷期を脱したと実感しました。

それは同時に百打一郎の卒業でもありました。

そのことを正治さんに報告しますと、90切りや80台前半のスコアまでは、このスタイルで実現できるとのことでした。

さらに練習を積み重ね、月に1回のラウンドでも90切りができるように精進したいと思います。

                                        (終わり)
文:久富章嗣(ゴルフ向学研究所所長) 編集:島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)※このたび、久富さんのドリルを集めた本『月3回の練習で100を切る!久富ゴルフ・レッスンブック』

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