上達するまではハーフセットでプレーしてみましょう

ゴルフクラブは14本までとルールで決められています。よって、目一杯の14本をキャディバッグに入れてプレーしているゴルファーは多いことでしょう。プロも14本でプレーしていることがほとんどで、試合によってコースやホール、また天候などを鑑みて、クラブを入れ替えて対応することが多いものです。
しかし、私たちアマチュアは本当に14本のクラブが必要なのでしょうか。14本もあるために、ほとんど練習していないクラブを使ってひどいミスをすることがあったり、14本の中にはいつもミスするといった苦手なクラブもあることでしょう。そうであれば、そういったクラブは最初から入れていないほうがいいはずです。
中部銀次郎さんは「シングルハンデになるまではハーフセットで十分」と言っています。それはあえて苦手なクラブや練習していないクラブを入れることはないという警鐘でもあるでしょうし、それ以上に1本のクラブでいろいろな距離を打ち分けられるようになることが上達への近道であることを示唆していると思います。
しかもハーフセットならば軽くなるために自分で担いでラウンドすることもやりやすくなりますし、セルフプレーとなれば自分で距離を測らなければいけません。実はそのことが大きな経験となり、上達を促進することにもなるわけです。もちろん、手元にクラブがあるのですから、スロープレーにはなりにくい。コースのすべてを歩くのですから、健康にもいいという、いいこと尽くめになるわけです。
目土推進協議会の永久会長である、故・磯辺公人さんは敬愛する中部さんの言葉を取り入れて、いつもハーフセットでプレーしていました。上達しても「まだまだシングルハンデではありませんので」と頑なにハーフセットでスコアアップに挑んでいました。
この『書斎のゴルフWEBマガジン』で連載中の「百打一郎」でも「初心者は好きなクラブ10本くらいでプレーするのがよく、その本数を80台のスコアになるまで続けなさい」と記載しています。著者でレッスン指導をしている久富章嗣さんのポリシーなのです。
久富さんは常々言っています。
「初心者にドライバーは必要ありません。なぜならドライバーを持った途端に飛ばしたいと思ってしまうからです。よって、ティショットは3番ウッドで行い、セカンドショットは5番ウッドからにすればいいのです。地面からでも球が上がりやすいですし、とてもやさしいクラブだからです」
とあれば、久富さんが薦める10本セットは次のようになります。
ウッドは3番ウッドと5番ウッドの2本。これにユーティリティを1本入れて、アイアンは7番、8番、9番の3本で、ウェッジはPW、AW、SWの3本となり、それにパターが加わります。AWの代わりに、ユーティティをもう1本いれてもいいかもしれません。いずれにせよ、あくまで自信のないクラブは入れないことが肝心です。
こうしたことは男子ツアーでも起きていて、ジュビック・パグンサンは11本でミズノオープンに優勝しました。コロナ禍でハウスキャディが使えなくなり、自分で担いでの優勝でした。「もう歳だし、14本を担ぐのは重たいよ」と言い、ロングアイアンを抜いたのですが、難しいJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部を見事に攻略、2位に3打をつけて17アンダーで圧勝したのです。
久富さんは次のように言います。
「本数が少なくなって、かえってリラックスできたのでしょう。難しいロングアイアンをごっそり抜いてユーティリティを新たに加えたというから、気楽にプレーできたのかも知れない。しかもウェッジは1本も抜かなかったというので、グリーン周りはきっちりピンに寄せてスコアを作ったのでしょう。この11本でのゴルフはアマチュアこそ見習うべきだと思います」
ちなみにパグンサンの11本は、ドライバー、3番ウッドのウッド2本に、ユーティリティを1本入れ、アイアンは5番、7番、9番の3本、ウェッジはPW、50度、52度、58度の4本にパターでした。アイアンで6番と8番アイアンを抜いたところも、ピンを狙わず、グリーンに乗りさえすればいいといった気楽な気持ちがあったのかもしれません。
久富さんが言うように、楽な気持ちが優勝をもたらせたのだと思います。
とはいえ、中部さんはハーフセットでいいと言っています。フルセットは14本ですか