中部銀次郎 飛ばしの悟り 其の一

「飛ばしはただ飛べばいいものではない。

スコアを作れる飛ばしをすること」

 中部銀次郎さんは、飛距離を求めなかった人だと言われているが、若い頃は飛ばそうとしていたし、日本アマに勝っていた頃も、飛距離がアドバンテージになることは理解していた。しかし、ただ飛べばいいというものではないことを痛いほど感じていたのだ。

「ゴルフはどんなゲームかといえば、スコアを競うものですよね。飛ぶ人が優勝するわけでもなく、スイングの美しさ、技術の高さやバリエーションを競うゲームでもありませんよね。いかに少ない打数であがれるかが問われるゲームなわけです」

中部銀次郎

 つまり、ハンマー投げや槍投げ、幅跳びのように人よりも飛べば良いわけでもなく、フィギュアスケートのように美しさや技術を競うスポーツでもないということだ。

 もちろん、ゴルフをしている人はそんなことは百も承知のはずだ。それなのに、ティグラウンドに立てば飛ばそうとするし、できた試しもないことをやろうとしてしまう。それは時々そうしても成功し、そのときの嬉しさから、思わずやってしまうのだ。しかし、その多くはミスを犯してしまい、大叩きになってしまうことさえもある。

「スコアを考えれば、ただ飛べばいいってものではないですよね。スコアが良くなるように飛ばさなきゃいけない。それには最低でもセカンドショットでグリーンが見えるところに打たなければならない。できればフェアウェイがいいし、ピンも狙えるところがいいけれど、アマチュアの場合はそこまで正確でなくてもいいと思う。そのアローワンスの中で飛ばせばいい。飛ばせれば、多少のラフならグリーンには乗せられる。グリーンに近ければ、それもやりやすくなるのは当然です」

 つまりはこういうことになる。

「無駄な飛ばしは必要ないということです。無駄なことはしない。必要なことだけをする。それがゴルフです。必要な飛ばしをすればいいわけです。」

 それが飛ばしの秘訣だというわけなのだ。

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