YNGゴルフ研究会書斎のゴルフSpiritsその17

ゴルフが上手くなる要素 スウィングその前にあるもの 

パート2 クラブとセッティング 

その3 基準となるクラブとセッティング

クラブのスペックを知る

スウィングはクラブでつくられ、スコアはクラブで決まるといえます。ゴルフはクラブを使うスポーツでありゲームです。自分の能力に合わないクラブでは、スウィングがよくなり、スコアがよくなることもありません。

自分の能力にあうクラブを選び、適正なセッティングにするだけで、ドライバーのスライスがフェードになったり、苦手なフェアウェイウッドで高い球が打てたり、ウェッジのアプローチが得意になってスウィングに自信がうまれてスコアが一気によくなることがあります。

ドライバーでロフトが少なく球が上がらない、シャフトが柔らかすぎて高すぎる球で左右に曲がる、フェアウェイウッドがドライバーより軽くてトップとダフリがでてコースではほとんど使わない、ウェッジが重く硬いためにダフリ・トップのミスがでるなど、クラブの問題は数えればきりがありません。こうしたことを改善するためにはクラブのスペックとセッティングの基本を知っておくことが必要です。

クラブの性能はスペックで表示されます。ところがクラブのスペックで、表示が統一されているのは、重量・バランス・ライ角・ロフト角とトルクくらいです。クラブの長さ、シャフトの硬さ、調子などはまったく統一されていないのが現実です。そのために自分の能力に合うクラブとセッティングの正確なスペックについてチェックすることが大切です。

アマチュアのクラブとセッティングのチェックポイント

基準になるクラブが決まって、クラブセッティングが決まる

一般的にクラブセッティングは、基準になるクラブがあり、そこから全体のセッティングを揃えることが基本ではないでしょうか。

上級者から100切りゴルファーまで、7番アイアンが一番無理なく振れるクラブになることが多いので、アイアンセットから揃えることが基本かもしれません。他のクラブでも振りやすい、ミスが出にくいクラブがあれば、それを基準にすることもあります。

アイアンはセットで購入しますが、ドライバーやフェアウェイウッド、ハイブリッドを単品で購入した場合で、そのクラブが打ちやすくミスが少ないというなら、それを基準にしてもいいのではないでしょうか。いずれにしても使用クラブは14本以内というルールがあるので、基準になるクラブを決めてセッティングすることがスタートになります。

ジャック・ニクラスの言葉に「スコアの70%はピンから120ヤード以内で打たれる」というものが

あります。パットがスコアの40%を占めるとすれば、120Y以内のショットがスコアの30%を占めることになります。つまりショートアイアンとウェッジのショット、アプローチが多いということです。

ドライバーを使う回数は、1ラウンドで多くても14回です。スコア100の人なら14%、スコア90の人は16%、スコア80の人は18%になります。ショートアイアンとウェッジの使用頻度と比べるととても少なくなりますので、初心者はドライバーを重視する傾向が強いと思いますが、打ちやすいショートアイアンをセッティングの基準にするのがよいことがわかります。

とはいえ、アイアンの試打クラブはほとんどが7番アイアンです。したがって7番アイアンをいろいろ打ち比べて振りやすくミスの少ないものを探し出すことがセッティングの現実になるでしょう。しかし、初心者やアベレージゴルファーは7番アイアンではミスがでることも多いでしょうから、できれば9番アイアンを基準にしたいところですが、あまり試打クラブがありません。もし9番アイアンの試打クラブがあれば、9番アイアンで試打することです。

7番アイアンが上手く打てるゴルファーはすでにシングルクラスです。昔は、アイアンセットは3番アインからでしたが、今ではプロでも5番アイアンくらいからが普通です。そうしたことからも、メーカーには9番アイアンの試打クラブを用意してもらいたいものです。

クラブの長さと重量のフローをそろえる

基準となるクラブが決まれば、セッティングはほぼ決まります。クラブセッティングは、すべてのクラブを同じフィーリングでスウィングできるように揃えることです。7番アイアンはゆったり振れるけど、ドライバーやフェアウェイウッドはスウィングが速くなる、ウェッジはダフリ・トップが多くなるということであれば、クラブごとにスウィングを変えることになり、よいセッティングとは言えません。コースマネジメントを考えることも難しくなってしまいます。

セッティングで一番気を付けなければいけないのが、クラブの長さと重量です。すべてのクラブを同じフィーリングでスウィングするためには、クラブが短くなるほど重量が重くなることが原則です。クラブの長さが0.5インチ(1.27cm、1番手)短くなると、重量は4~7g程度重くなります。体力のあるゴルファーが軽くて柔らかいクラブを振ったらボールは曲がってどこへ飛んでいくかわからなくなります。逆に体力のないゴルファーが重くて硬いクラブを振ろうとしても振り切れません。

それほどではないにしても、多くのアマチュアのセッティングでは重量が揃っていることはほとんどありません。特にフェアウェイウッドとハイブリッド、ウェッジで適正な重量からはずれるケースが多くなります。これらのクラブは単品で購入することが多いため、アイアンセット(基準となるクラブ、7番アイアン)と重量が揃わないことが多くなるためです。もちろんドライバーでも重量が揃わないことはあります。

もしクラブの長さと重量を測ったことがないなら、今すぐに家庭用のメジャーと計量器で各クラブの長さと重さを測ってみてください。ドライバーの長さと重量は知っているが7番アイアンの長さと重量はわからないという人が多いのではないでしょうか。一番大事な7番アイアンの長さと重量がわからなければ、そもそも基準となるクラブがわからず、良いセッティングはできません。

一般的には、軽すぎるフェアウェイウッドとハイブリッド、重すぎるウェッジが多いようです。クラブを単品で購入する場合でも、クラブをセットで持ち込んで打ちやすい(基準となる)クラブと比較するべきです。

同じブランドのセットでドライバーとフェアウェイウッドやハイブリッドを揃えるとフェアウェイウッドやハイブリッドが軽すぎる場合があります。ドライバーと同じセットのフェアウェイウッドやハイブリッドはそういう感じでつくられていることが多いためです。適正な重量となるように調整してもらう必要があると思います。

アマチュアのクラブセッティングは、ほとんどといっていいほどクラブ重量のフロー(番手毎の重量差)が揃っていません。一般的にドライバーのヘッドスピードが40m/s程度なら、ドライバーのシャフト重量は50g台、総重量300g程度、ヘッドスピードが45m/s程度なら、シャフト重量は60g台、総重量310g超が目安といわれます。

ウェッジも同様で単品で購入することで、重すぎる、あるいは軽すぎることが多いようです。

ゴルフクラブの重量フロー

適正なクラブの長さと重量のグラフ ゴルフクラブ数値.comより

ドライバー(45インチ)と7番アイアン(37インチ)のHS・飛距離とクラブ重量の参考値

ドライバー HS・トータル飛距離 クラブ重量g7番アイアン HS・飛距離 クラブ重量g
35m/s 185Y以下270g以下30m/s 120Y以下375以下
37m/s 200Y程度290g程度31m/s 135Y程度390程度
40m/s  215Y 〃300g 〃32m/s 150Y 〃410 〃
43m/s 230Y 〃310g 〃35m/s 165Y 〃420 〃
46m/s 250Y 〃315g 〃37m/s 180Y 〃430 〃
48m/s 270Y以上320g以上39m/s 195Y以上435以上

*クラブはメーカーによって長さ、ロフト角などに幅があるため数値はあくまでも参考値

クラブの硬さ(振動数)をそろえる

 シャフトの硬さは通常X、SX、S、SR、R、A、Lという表示になっています。しかし、この表示には統一された基準がないために、メーカーや同じメーカーでもブランドによってバラバラです。すべてのクラブがSシャフトだからといって同じ硬さとは限りません。硬さはシャフトの振動数(cpm)が信頼できる数値になります。振動数は専用の計測器で測ります。大型ショップや工房などで計測できます。しかしどこのショップでも測れるわけではありません。通常この振動数はクラブの長さが0.5インチ(1番手)短くなると5~7cpm程度硬くなります。

同じSでもドライバーだけが球が上がらない、ウェッジがダフるというミスがでる場合はドライバー、ウェッジの振動数を測ると他のクラブに比べて大きな数字になっている(硬すぎる)ことがあります。逆にフェアウェイウッドやハイブリッドで同じSでも高いスライスやフックがでるようなら振動数が小さい数字になっている(軟らかすぎる)場合があります。

ドライバー(45インチ)のHS・飛距離(キャリー)とシャフトの硬さ(振動数)の参考値

 SR
HS m/S35程度37程度40程度43程度46程度48以上
飛距離 キャリー Y165 程度180 程度200 程度215 程度235 程度255 程度
振動数cpm225 程度235 程度245 程度255 程度265 程度275 程度

*純正シャフトはカスタムシャフトに比べて1ランク程度柔らかい場合が多い

ショップや工房で振動数計測器がないところもあります。むしろ振動数計測器があるショップや工房は少ないかもしれません。クラブを購入するあるいはフィッティングを受ける場合は、振動数を計測できるショップや工房でチェックしてもらうことが必要です。できれば弾道、飛距離、打ち出し角、スピン量などを計測できるショップや工房を選ぶことでより適正なクラブとセッティングにすることができます。振動数は大型ショップや工房などで計測は可能です。もし、実際に振動数の計測ができない場合は、ネットなどで調べてみることでも振動数を知ることができる場合があります。

シャフトのトルクをそろえる

トルクはシャフトのねじれです。グリップを持ってヘッドをねじるとトルクの感じがわかります。ねじれが少ない(トルクが小さい)とシャフト(ヘッド)が回転しにくく、ねじれが多い(トルクが大きい)とシャフト(ヘッド)が回転しやすい感がします。硬いシャフトはトルクが小さく、柔らかいシャフトはトルクが大きく設計されています。トルクはシャフトにTQやTrqなどと表示されています。

ヘッドスピードの速い人がトルクの大きいシャフトを使うと、ヘッドが思い通りに動かずタイミングが合いません、ヘッドスピードの遅い人がトルクの小さいシャフトを使うと棒を振っているように感じなります。トルクはクラブを振った感じやヘッドの動きに大きく影響します。

XXIOの例 

ドライバー       Sトルク6.4   SRトルク6.4   Rトルク6.5

アイアン カーボン   Sトルク3.6   SRトルク3.7   Rトルク3.8

スティール    Sトルク2.7                      Rトルク2.9

 推奨HS              S39~47m/s   SR36~44m/s  R32~41m/s

トルクはおおむね3.5以上で大きく、3.5未満では小さいといえます。HS40m/sのドライバーではトルク4~5程度が一般的といわれます。XXIOの場合は寛容性を高めた設計といえます。

シャフトの調子(キックポイント)を揃える

シャフトの調子は基本的に元調子、中調子、先調子に分かれます。さらに中元とか先中とかダブルキックというものもあります。元調子はシャフトの手元側にしなりを感じ、先調子はシャフトの先端側にしなりを感じます。中調子はその中間になります。手元側、先端側といいますが、それはシャフトで10cmくらいの差でしかありません。元調子をハイキックポイント(HK)、中調子をミドルキックポイント(MK)、先調子をローキックポイント(LK)と表示されていることもあります。

この調子は、HSよりもゴルファーそれぞれのスウィングの特性によって異なります。同じ硬さ(振動数)でもゴルファーのスウィングに合わない調子のクラブを使うと、棒を振っているように硬く感じたり、まったりした感じで振りづらく感じることがあります。この感じはシャフトの硬さと一致しません。

一般的に純正シャフトでは柔らかいシャフトは先調子が多く、硬いシャフトは元調子が多いといわれますが、最近のシャフトはバリエーションが多くなっています。自分の感覚に合うシャフトに出会うと、こんなにもスムースにクラブが振れるのかと驚くことがあります。たくさんのクラブを試打して、自分の振りやすいシャフトの調子を知っておくとアドバイスを受けるときやフィッティングを受けるときに大変有効です。同じような重さ、硬さ(振動数)で元調子、中調子、先調子の3種類を試打してみるとその違いがはっきり分かります。セッティングもこの調子を揃えることですべてのクラブが振りやすいものになります。

 グリップを揃える

グリップはクラブ重量、硬さ(振動数)、バランスやフィーリングなどに大きく影響します。ドライバーからアイアン、ウェッジまですべてのグリップが揃っていればいいのですが、メーカーが違う、同じメーカーでもブランドが違うとグリップは違うものがついていることは多いものです。グリップに関心を払わないゴルファーは多いと思いますが、グリップが揃っていないことでミスショットが出てしまうことはかなり多いものなのです。

グリップの重量は男性用では30gから50gくらいまでの差があります。グリップの重量が変わるとクラブのフィーリングがまったく違った感じになることがあります。

グリップの太さも大事なスペックになります。グリップの太さはグリップの内径の違いでM58(太

い)、M60(普通)、M62(細い)といった種類があります。手のサイズやフィーリングなどによっていろいろな選択肢があります。

グリップの硬さもいろいろな種類があります。同じセットの中で硬いものと柔らかいものが混在していたのではクラブによってスウィングのフィーリングが違ってきます。

グリップは素材の違いでフィット感が違います。ゴム系の素材や樹脂系の素材などがあり、フィット感や耐久性などに違いがあります。

グリップにはバックラインの有無の2種類があります。バックラインとは通常のグリップにあるようにグリップの下にあるでっぱりです。最近の可変スリーブ(カチャカチャ)付きのドライバーなどでロフトを変える、ウェッジやアイアンなどでフェイスを開閉すると、シャフトの向きが変わるためにバックラインがあればその位置がずれてグリップのフィーリングが変わります。可変スリーブをよく使う、ウェッジやアイアンでフェイスを開閉するゴルファーの場合は、バックライン無しのグリップを選ぶといいのではないでしょうか。

単品でクラブを購入したり、ウッドとアイアンで違うメーカーやブランドのセットでクラブを購入す

るときはグリップがバラバラにならないように統一感のあるグリップにすることが必要です。

また、グリップ交換をする場合には、他のクラブと統一感のあるグリップに交換する必要があります。アベレージゴルファーではバラバラなグリップの人がたくさんいます。スウィングの前にまずはグリップをチェックしてみてください。そしてグリップはいつもきれいに手入れしてください。

残念ながらアマチュアで自分のクラブのスペックを知っている人はほとんどいないのが現実です。アマチュアのキャディーバッグは弁慶の七つ道具のような感じになっている人もいます。適正なクラブのスペックが分からなければ、適正なクラブセッティングはできません。いいクラブといいセッティングができさえすればミスが減って、あとはコースマネジメント次第でいいプレーができます。

文●柳生田幹久(YNG研究会 書斎のゴルフSTAFF)

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