クオータースイングで始めるとゴルフが好きになる
「ゴルフを始めました」という方が増えています。コロナ禍においてあまり気にせずに楽しめるスポーツがゴルフということで、始める方が増えているようです。コロナ禍の前から若い人たちに人気になり始めたことも拍車をかけているのかも知れません。練習場はどこも満員、ゴルフコースも盛況のようで、私のホームコースもにぎやかです。
先日、FM軽井沢の軽井沢ラジオ大学からゴルフのことでインタビューを受けました。インタビュアーの経済アナリスト、木下晃伸さんも最近ゴルフを始めたとかで、質問は終始初心者のゴルフについてでした。ゴルフを始めたが、「上手く打てなくてやめてしまう人も多い」ということに対してどうしたらいいかと。
確かに昔からそうした事象は多くあったと思います。運動神経がよい人ほど、上手く打てなくて嫌になってしまうことも多いように思います。ゴルフは止まっているボールを打つスポーツですから、運動神経、特に反射神経においてはあまり関係のないスポーツなのでしょう。

私は木下さんの質問にお答えしたのは、最初からフルスイングはしないこと、というものです。フルスイングするから上手くボールに当たらない。それも飛ばそうとして力むから余計に当たらないのです。これは私の実体験でもあります。
アメリカではコースでレッスンが行われることが多いですが、初心者には、特に子供にはパットから始めさせるケースがほとんどです。パットならばボールに当たらないことはまずありません。誰でも上手く打てます。
練習グリーンでパッティングをやってカップまでちょうどよい距離勘を身につけます。それができたら、今度はグリーン周りから7番アイアンでチッピングを行います。パッティングと同じ小さなストロークで行うので、これまた誰でも上手く打つことができます。最初は距離勘がつかめないでしょうが、やがてピンまでちょうどよく打てるようになります。
グリーン周りのアプローチをウェッジで行う人が多いと思いますが、7番アイアンのチッピングなら、チャックリやトップはほとんどありません。それもボール近くに立って、ちょっとヒールを浮かせて打つ、トップ気味でほうがミスなく上手く転がってくれます。7番アイアンでなく、クリークやユーティリティを使ってパターのようにチッピングを行えば、砲台グリーンに向かっても上手くグリーンに乗せられますし、ラフからでもぽんとボールが浮き出てグリーンに乗せることはたやすいのです。これらのことは百打一郎の著者である久富章嗣氏の教えでもあります。
初心者はグリーン周りで何回も打ってスコアを悪くし、時間もかかってしまうことが多いものです。バンカー越えでない限りは7番アイアンやショートウッドを使うのが最も効率がよいのです。そして、ここまでのレッスンは僅か数時間で終えることができます。
ではその後ですが、この小さなスイングを使って、7番アイアンで50ヤード、100ヤードを打つようにします。距離を伸ばしても力まなければ上手く打つことができます。さらに同じ小さなスイングでクリークを使い150ヤード、慣れてきたら、スプーンで180ヤードを打つわけです。この頃には腰から腰のスイングになっているかも知れません。自然にスイングが大きくなっていくでしょうが、まだまだフルスイングはしない。ボールに当てることを考えれば、フルスイングにはならないわけです。こうした練習は1日あれば十分、180ヤードまでの距離は難なく上手く打てるようになってしまうのです。
そうしたら2日目はもうコースを周ります。すべて小さなスイングでティショットは3番ウッドかクリーク、セカンドショットはクリーク、その後は7番アイアンです。バンカーに入ったら、アンプレアブルして外に出し、そこから7番やショートウッドでグリーンに乗せます。こうすれば、難しいことは何もなく、ボギーやダブルボギーであがることができるのです。1発でパットが入ったらパーということだってあるでしょう。ひょっとしたら、何十年もゴルフをやってきた人よりもスコアがよかったりするかも知れません。ゴルフが楽しくなること間違いなしです。
ではフルショットはやらなくてよいかと言えばそうでありません。こちらはゴルフレンジで練習しましょう。最初は9番アイアン、上手く打てるようになったら7番アイアン。そしてクリーク、最後にドライバーです。ドライバーは上手く打てなくて構いません。そのうち上手く打てるようになりますので。さらにバンカーショットも練習します。これはコースに付帯しているバンカーで練習するのが一番です。
このことで私が言いたかったことは、最初からプロのようには打てないし、プロのようなスイングをする必要はないということです。あえて難しいことはやらなくてよいということです。できることをやる。これは仕事でも一緒だと思います。
あくまで初心者はドライバーのフルスイングから始めない。最初の一歩はパターです。小さなスイングでパッティング、チッピング、アイアンショット、ショートウッドという手順でゴルフを学んでいくのです。こうすれば当たらないことはなく、ゴルフが楽しめます。
ボビー・ジョーンズは「ゴルフは愉しめなければいけない」と言っています。楽しくなければゴルフではないというわけでしょう。読者の皆様でも未だに100を切るのが大変、最近上手く打てないと悩まれている方は、こうした練習法をやってみてはいかがでしょうか?少なくとも上手く打てることだけは間違いありません。また、周りにゴルフを始めた方や始めようと思っている方がいらっしゃる場合、ぜひともそうしたアドバイスをお願いしたいと思います。ひとりでも多く、ゴルフを楽しむ人が増えることを、私は望んでいます。
ちなみに軽井沢ラジオ大学でお話したことはFM軽井沢のバックナンバーで聴くことができます。
宜しくお願いいたします。