「真っ直ぐに飛ばすためには
インサイドインの左右対称スイングが必要」
目標に向かって真っ直ぐに打つ。
中部さんはそうなるようにスピンをコントロールしたわけだが、それには低スピンだけではなく、目標に向かってサイドスピンがかからないよう、真っ直ぐのスピンになるように打つ必要がある。
「ボールの回転が真っ直ぐになるように打たなければ、真っ直ぐには飛びません。回転が右から左にかかればスライスになり、左から右にかかればフックになります。体から離れたボールにクラブを使って打つ以上、真っ直ぐの回転をかけるのはとても難しい。丸い球を打つわけですから、いろんな回転がかかってしまうほうが自然です」
つまりはボールの弾道は曲がってしかるべきだというのだ。そこで、そもそも曲がってしまうものなら、敢えて曲げてしまえば良いと、持ち球をドローやフェードにし、さらにはスライスやフックにまでして、弾道を安定させるという方法を用いるプロやトップアマもいる。

しかし、中部さんはいくら安定しやすいと言っても、曲がる球は好みに合わなかった。真っ直ぐ飛ぶ球を自分の持ち球にしたかったのだ。美しい「飛び姿」の球、それを求めたのはまさに中部さんの美学である。
「真っ直ぐの球はインサイドインのレベルスイングが左右対称にできなければ打てない。スイングプレーンが少しでも傾いて、アウトサイドインやインサイドアウトのスイングになればサイドスピンがかかってしまう。さらにフェースがスクエアになってボールにコンタクトしなければならない。開けばスライスやプッシュに、閉じればフックや引っかけになる。インサイドインの左右対称のスイング、スクエアに当てるスイングにするためにもスクエアアドレスは必要不可欠なのです」
レベルスイングを心がけたのも、アッパーブローやダウンブローではサイドスピンがかかりやすく、スピンが安定する中弾道の球筋にはならなかったからである。