YNGゴルフ研究会書斎のゴルフSpiritsその19

ゴルフが上手くなる要素 スウィングその前にあるもの パート2

クラブとセッティング その5 

パター

パターフィッティングを受けたことがあるゴルファーはどれほどいるでしょうか。スコアの40%はパットです。スコアに直結するパットなのに、多くのゴルファーはショップでいろいろ手にしてフィーリングだけでパターを選ぶのが普通です。しかしパターは他のクラブに比べて多種多様。パターにはそれぞれに特徴があり、その特徴がストロークの特性とマッチすれば、スムースなストロークになります。そのため、パターフィッティングやプロのアドバイスが必要になります。

以前パットラボという計測器を使って、15名のシングルクラス(HC5~18,平均HC10.4)のゴルファーのパターフィッティングを行いました(「書斎のゴルフ」Vol.43)。ほぼ全員、パターフィッティングは初めての経験でした。その結果、パターの形状、長さ、重さ、グリップ、ライ角、ロフト角、セットアップ(スタンス・アドレス・ボールの位置)、ストロークなどに問題があることが分かりました。ストローク以前にもおおいに問題があったということです。その後、パターを買い替える、セットアップを変えるなどして、参加者は以前よりパッティングに自信が持てるようになっています。

確実に上達へと導く!パットラボ★5Point

パットラボの分析データの一部

パッティングストロークはスウィングとはまったく違ったものです。そのためパターはクラブセッティングの流れとはまったく別物になります。パターはクラブセッティングの流れにおいて法則があるわけではありません。14本のクラブの中で独立したクラブといえます。それはパターが他のクラブとはまったく違う機能があり、パッティングストロークがスウィングとはまったく異なるからです。

パッティングとボールの動き

パッティングはボールをグリーン上で転がすために、その軌道と回転は他のクラブのショットとは大きな違いがあります。

〇ボールはヘッドの軌道に関係なく、インパクトのフェイスの向きの方向に転がる

パターで打ったボールはインパクトのときのフェイスの向きの方向に転がります。クラブヘッドがアウトインの軌道でも、インアウトの軌道でもボールはインパクトのときのフェイスの向いた方向に転がります。パターフェイスの軌道がターゲットラインに真っすぐでもインパクトのときにフェイスが左を向いていればボールは左に転がり、右を向いていれば右に転がります。

他のクラブではインパクトのときにフェイスがターゲットラインに直角に当たっても、ヘッドの軌道次第でボールは左右に曲がります。

画像: A、B、C、D、それぞれ軌道は異なれど結果は同じ

ボールはインパクトのときのフェイスの向きの方向に転がる

〇ボールは順回転で転がる

パターで打たれたボールは順回転で転がります。パター以外のクラブではボールにバックスピンがかかります。

TrackMan Spin Rate
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自動的に生成された説明

パター以外のクラブはバックスピン            パターは順回転、

〇フェイスの芯で打たなければ、微妙なタッチも方向もでない

ドライバーやアイアンで常に芯で打っている人はすでにプロ並みです。プロでも芯を外すことはよくあることです。パターで芯を外すと、インパクトのときにドライバーやアイアン以上にフェイスの向きが変わりやすくなり、ターゲットラインに打ちだすことができず、タッチもあいません。そのためにクラシックタイプのL字型のパターやキャッシュイン(T字型)はむずかしく、今ではほとんど見かけなくなりました。今はヘッドの慣性モーメントの大きい大型のネオマレットのパターが流行っています。長尺パターはクラブ自体の慣性モーメントが大きくストロークの安定性を追求しています。

パターは、小さな目標を狙うために他のクラブに比べて繊細さが求められます。一番のポイントは芯に当たることです。芯に当たらなければ、ラインもタッチもあわせることができません。

パターの基本的な機能

〇グリーンの上でボールを転がす。ボールを空中へ飛ばさない

〇短い距離でボールを転がす。パッティンググリーンではせいぜい30Y

〇ターゲットは小さなカップ(直径4.25インチ 10.8cm)。50Yのアプローチなら1ピン程度がターゲットエリア

パッティングストロークの基本的なポイント

〇下半身(脚・腰)を動かさない。スウィングでは脚と腰が動いて下半身リードで体幹を捻転する

〇手首を使わない(コックやタメはほとんどない)。スウィングでは手首が柔らかく動く

パター以外のクラブはボールを空中に飛ばして、長い距離を、ある程度の幅のあるターゲットを狙います。その必要のないパターのストロークではスウィングとは違って下半身は固定し、手首はほとんど動かさずにボールを転がします。

ストロークのタイプで異なるパターのタイプ

多くの人はヘッドを真っすぐに引いて真っすぐにだすことを意識していますが、パットではヘッドの軌道よりもインパクトのときのフェイスの向きがラインに直角になることが最重要課題です。

そのためにアドレス時のフェイスの向きがラインに直角であることがベストです。しかし、ストロークには個人差があって多少クローズかオープンになります。US PGAツアーのトップの選手のアドレス時とインパクト時のターゲットラインに対するフェイスの向きはどちらも平均+-1°以内です。

ちなみに3m先のカップ(直径10.8cm)に入れるためには、インパクト時にフェイスがターゲットラインに対して+-1°以内(tanΘ=5.4cm/パットの距離cm)の範囲内であることが必須です。1.5mでは+-2°以内、1mでは+-3°以内です。つまりパターに求められる機能は、芯に当たりやすく、インパクトのときにフェイスがターゲットラインに直角になることです。

ボビー・ジョーンズの時代にはパターはL字型でした。その後T字型(キャッシュインタイプ、賞金が入る)が登場し、さらにアベレージゴルファーでパットが苦手だったカーステン・ソルハイムがトゥヒールバランスのピン型パターを開発し、現在では大型のマレットやネオマレットなどさまざまなタイプのパターが開発されています。

ゴルファーにはストロークのタイプがあります。ストロークのタイプは、ストレート、インツウインが小さい(ヘッドの開閉が小さい)タイプ、インツウインが大きい(ヘッドの開閉が大きい)タイプの3つが基本のタイプになります。

このストロークのタイプによって、スムースにストロークできるヘッドやネックの形状その他のスペックがあります。例えば、L字型のパターがいいと感じるゴルファーは、大型のネオマレットはラインもタッチもあわないと感じ、逆に大型ネオマレットタイプのパターがいいと感じるゴルファーはL字型のパターを持つと全くフィーリングがあわないということがあります。

L字型パター 写真1

人間の関節はすべて丸くしか動きません。そのために図の3のラインのように完全な直線のストロークになることはありません。あくまでも直線に近いストロークということになります。

パターのスペック

パターの主なスペック

ヘッド;形状(見た目・形・デザイン・色・FPなど)、重さ、ロフト角、ライ角、フェイス角、慣性モーメント、素材、構造など

シャフト;形状(見た目・ネック・デザイン・色など)、長さ、重さ、硬さ、太さ、素材・構造など

グリップ;見た目(形・デザイン・色など)、重量、太さ、硬さ、素材、構造(コード入り・複合構造など)、下巻テープ(巻き方、重ね巻など)など

パターヘッドとネックの形状(フェイスの傾きがことなる)

シェイプ

パターヘッドの形状とフェイス角

一般的には、ストレートなストロークには左のネオマレットタイプ、開閉が多いストロークは右のL字タイプがいいとされています。なかにはわざと自分のストロークの特性とは真逆の特性のパターを使うプロもいます。

・ネックの形状もヘッドの形状と同様にアライメントやストロークに影響します。ネックにはピンに代表されるクランクネック、フェイスの中央からシャフトが伸びるセンターネック、湾曲したベントネックなどがあります。

・パターの長さは、30インチ(ルールでは18インチ以上)くらいから長尺で50インチ程度(制限はない)です。ショートパットイップスで苦しんだ大里桃子は33インチから36インチのパターに換えて保険の窓口レディースで優勝しました。

・パターの重さは、500gから600g程度。2年連続賞金王の今平周吾のパターは640gです。

・ライ角は一般的に70°+-1°(ルールでは80°以下)です。渋野日向子のパターは67°(3°フラット)です。

・ロフト角は、オデッセイとピンは3°、スコティー・キャメロンは4°です。以前青木功はロフト0°のパター(ファストフライトのT字型)を使っていました。それがあのハンドダウンのパッティングスタイルを可能にしたといいます。片山晋呉はロフト9°のパターを使うこともあります。

・シャフトも以前はスティールだけでしたが、今はカーボンや複合素材など様々なシャフトがあります。

グリップ               フェイス(インサート)

Putter grip
机の上に置かれたナイフ

低い精度で自動的に生成された説明

太さ、重さ、硬さ、素材などが違う   フェイスの素材・重さ・硬さ、構造などが違う

パターのスイートスポット

画像: マレット型の重心位置は低い
画像: ピン型の重心位置は高め

マレット型の重心位置は低い            ピン型の重心位置は高め

ネックの有無によって重心の高さが変わる

パターは小さなターゲットを狙うために他のクラブより微妙なスペックの違いがストロークのフィーリングに大きく影響します。そのスペックの違いや組み合わせはとても多種多様です。

そのうえで、大切なポイントは、3つではないでしょうか。

〇パターの芯でボールを打ちやすい

〇インパクトのときにフェイスがターゲットラインに直角にボールに当たる

〇ストロークでストレートあるいはイントゥイン(ヘッドの開閉の小さい、大きい)が安定している

フィーリングのあうパター探しは、いろいろな形状、長さ、重さ、グリップのパターを試してみることです。ドライバーの飛距離が伸びてもパーオン率がアップしてもスコアが縮まるとは限りません。パット数が減れば確実にスコアが縮まります。プロのアドバイスやフィッティングを受けてフィーリングのあうパターが見つかれば、3パットが減り1パットが増えるのではないでしょうか

文●柳生田幹久(YNG研究会 書斎のゴルフSTAFF)

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