YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits その21

ゴルフが上手くなる要素 スウィングその前にあるもの パート2 

クラブとセッティング その6 

ウェッジ ベーシック

2012年に43才で賞金王になった藤田寛之は「僕の場合、ショートゲームが生命線です」と語っています。

ハーヴィー・ペニックは「ウェッジは14本のクラブのなかでもパターに次いで2番目に大切なクラブ」だと語っています。

プロや上級者はショートゲームやアプローチをスコアづくりの要と考えています。そのためのウェッジは14本のクラブのなかでとても大切なクラブになります。アマチュアはウェッジの目的や役割についてどれほど気をつけてチェックしているでしょうか。アベレージゴルファーは「100Y以内の短い距離でグリーンにのせられない」「アプローチでダフリやトップがでる」と言います。そういう人のウェッジを見るとグリップはツルツル、フェイスにボールの打痕がついたままということがあります。そして練習場では100Y以内のショートゲームやアプローチの練習をほとんどやっていないのが現実です。もしゴルフの目標がコンペのドラコンではなく、スコアを良くしたい、100を切りたい90を切りたい、80を切りたいというならショートゲーム・アプローチとそのために使うウェッジに着目するすることです。

小学生からキャディーをはじめ、日本オープン最多6回優勝、日本最古のプロトーナメント 日本プロでは1926年の第1回大会で優勝したのは宮本留吉です。1932年にはアメリカツアーにも挑戦し、すでにグランドスラム(当時は全英OP、全英アマ、全米OP、全米アマ)を達成していた球聖、ボビー・ジョーンズとのエキジビションマッチでは2アップで勝利し、サイン入りの5ドル紙幣(現JGAミュージアム所蔵)を手にしています。

宮本留吉は「アプローチが上手ければ、ゴルフも名手になれる。ボビー・ジョーンズとマッチ

グリーンから100ヤード以内は“力”ではなく“技術”の分野に属する。ということは、練習次第で上達するわけだ。私が現役時代には手足がしびれるほどやったのはアプローチとパットだ」と語っています。

100Y以内はショートゲーム、とりわけ50Y以内はアプローチといわれます。ショートゲーム・アプロ

ーチが上手くなるためには、練習が必要なことは言うまでもありません。アマチュアでショートゲーム・アプローチを一生懸命練習しているのは一部の上級者だけです。

アマチュアにとって、ショートゲーム・アプローチの目的は単にピンを狙ってカップにピタリと寄せることではなく、次のパットが打ちやすいところへミスなくボールを運ぶことです。アベレージゴルファーとシングルゴルファーの違いは、間違いなくこの考え方にあります。その考え方は、アベレージゴルファーとシングルゴルファーのハーフショットやアプローチショットの練習量の違いにはっきりと現れます。

ベタピンよりミスのないショートゲーム・アプローチでスコアをつくる

〇ショートゲーム・アプローチは飛ばさないショット

ショートゲーム・アプローチは一言でいえば“飛ばさないショット”です。多くのアマチュアはドライバーからウェッジまで一生懸命に飛ばすショットの練習をやっています。ところが飛ばさないショットというものは考えたこともないのではないでしょうか。飛ばさないショットの練習をほとんどやらないためにショートゲーム・アプローチが苦手なままになっているのです。

100YがPWのフルショットになる人は、100Yより短い距離ではほとんどフルショットすることはありません。PWのフルショットで100Yを打つにしても、軽目(80%)のスウィングが確実なショットになります。AWやSWのフルショットはなおさらです。

アベレージゴルファーの方に「ドライバーで普段より10Y飛ばないように打ってください」と言うと、はじめのうちはダフリやトップというミスがでます。慣れてくるとミスのない安定したショットになります。次に「普段より10Y飛ばしてください」というと力んでほとんどがミスショットになります。

普段のフルショットが100%のショットで、10Y飛距離を落とすショットが80%ショット、10Y飛ばすショットが120%ショットです。そのなかで一番ミスが少ないのが80%ショットなのは明らかです。実はこの80%ショットが本当のフルショットで一番ミスが少なく、平均飛距離が一番飛ぶショットだということがわかります。

トラックマンで計測すると、120%のフルショットでは、ミート率が下がる、クラブパス(クラブヘッドの軌道)が不安定になる、スピン量が増えるというデータになります。つまり飛ばそうとすると、逆に飛ばしの3要素(ボールスピード、打ち出し角、スピン量)が悪くなり、結果として曲がって飛ばないショットになってしまうのです。飛ばそうとすると飛ばず、飛ばさないようにすると飛ぶということです。

地面にあるボールを打つショットはクラブヘッドのわずかな当たりの乱れが大きなミスにつながりま

す。ショートゲーム・アプローチではダフるとボールはグリーンにのらず、トップすればグリーンを超

えてしまいます。そのためにはウェッジのフルショットも飛ばさない80%ショットが安定したショットになります。

〇スーパーショット(高くてスピンの効いたショット・低くてピタッと止まるショット)は不要

100切りや90切りのゴルファーの方がときどき「高くてスピンの効いた球はどう打つか」とか「低くてピタッと止まるスピンのかけ方はどうするか」という質問をされます。はっきり言ってアマチュアにはできない相談で、100切りや90切りゴルファーにはほとんど無理なはなしです。

そんな時は、10Y先のヤーデージボードにボールを手で投げてもらいます。1つはボードに向かって普通に投げて、もう1つはできるだけ高く上げてボードに向かって投げてもらいます。普通に投げたボールは腰の高さくらいで誰でもそこそこボードの近くにいきます。ところが高く投げたボールはあちこちに散らばってボードの近くにはいきません。「手で投げても高い球はボードの近くに行かないのですから、ましてやクラブを振ってボールを高く上げてボードに寄せることはとても難しいことです」とアドバイスします。それで高い球でターゲットに打つことが大変なことだとわかってもらえるようです。

スピンの効いた高い球も低い球もアマチュアにとっては最高難度のショットです。バンカーショットより格段に難しいショットです。仮にそういうショットが打てたとしても、ミスが多くなり狙ったところにボールを運ぶことはなかなかできません。練習場では、ドスンというダフリやカツンというトップの音を出している人がおおぜいいます。難しいスーパーショットを手や腕を使って打とうとしていることが原因です。多くの人が高い球は右手のしゃくり打ち、低い球は右手の(地面)たたき打ちでやろうしているのです。

なぜ、多くの人がスピンの効いた高い球や低くでてピタッと止まる球を打ちたいのか。それは短い距離だからボールをピンにピタッと寄せたいと思うからです。しかし、現実はアプローチでダフリとトップばかりでピンには寄りません。こうしたショットはプロでもときどきミスすることがあります。やさしいライからのアプローチでダフってザックリということが起きてしまうのです。カップに寄せようとするプレッシャーがミスにつながってしまいます。プロでもミスするのですから、アマチュアはピンに寄せるというよりもミスをしないで確実にグリーンにのせて、その結果ピンに近づくと考えるほうがいい結果になります。

LPGAの若い女子プロがあこがれる宮里藍は、高校3年生のアマチュアのときに2003年のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンに優勝しました。当時の藍ちゃんについて兄の聖と優作は「アプローチが下手だった」と語っていました。それはアプローチが下手というより、プロとしてアプローチの引き出しが少ないという意味です。藍ちゃんはピッチアンドランしかできなかったそうです。その後US LPGAツア

ーに参加して、多彩なアプローチを習得して世界ランクNo.1に輝いています。ピッチアンドランだけでもプロの試合で優勝できるということになります。

アマチュアのショートゲーム・アプローチにスーパーショット・スーパーアプローチは不要です。確実にグリーンにのせるショートゲーム・アプローチがスコアメイクの基本です。

〇ミスしないショートゲーム・アプローチを目指す

「ティーショットのミスよりも、気を付けるべきは2打目のミス。そして2打目より3打目のミス」と藤田寛之が語っています。「なぜならティーショットをミスしても、2打目でグリーンを狙えればそこでリカバリーできるから。もしも2打目で狙えなくても、グリーン近くまで運べば、3打目で必ずのせられる。しかも、3打目のショートゲームで寄せられれば、ワンパットでパーをとれる可能性まで残っているのです」と説明しています。しかし、3打目のショートゲーム・アプローチでミスするとせっかくのパーチャンスはなくなり、ボギーさえ取れなくなることもあります。

アマチュアはプロと違ってパーとボギーが目標です。パーであがり、ボギーまでに抑えるためにはスーパーショットは必要ありません。やさしいショットをミスなく打つことがテーマです。藤田寛之が言うとおり、ショートゲームとアプローチはミスのないショットが確実にスコアアップにつながります。逆にショートゲーム・アプローチのミスはすぐにダブルボギーやトリプルボギーになってしまいます。

アベレージゴルファーもシングルゴルファーもティーイングエリアからピン100Y以内までには1~3打かかります。アベレージゴルファーは100Y以内から3・4打かかってボギー・ダブルボギー、悪くするとトリプルボギーになり、シングルゴルファーは100Y以内からは2・3打でパーかボギーです。100Y以内のショートゲーム、50Y以内のアプローチはミスしないことが一番のポイントで、次がグリーンにのせる、次がパターの打ちやすいところに運ぶ、カップに寄せるという段階があります。

〇ミスしないショートゲーム・アプローチはミスしにくいクラブを使う

外国人として初めて賞金王になったデイビッド・イシイは毎年シーズンが始まる前に同じサンドウェッジを15本用意していたといいます。それだけサンドウェッジにこだわっていたということです。

ルールでクラブの本数制限(14本)が出来たのは1939年です。それ以前はルールにクラブの本数制限はなく、なかには55本ものクラブを使っていたという記録もあります。ボビー・ジョーンズが1930年にグランドスラムを達成したときのクラブの本数は16本でした。バンカーが苦手だったジーン・サラゼン(グランド・スラマー)が考えついたのが9番アイアンのソールに鉛を貼ったサンドアイアンでした。その後ウィルソンがサンドアイアン(サンドウェッジ)を発売しています。

100Yは何番アイアンを使うのでしょうか。練習場で100YはPWのフルショットという人が実際のコースで本当に100Y打てるでしょうか。練習場は平らで多少のダフリでもナイスショットになるマットの上から打ちます。しかし、コースではデコボコな地面からのショットになります。コースでは残り100Yをショートしてのせられないということはしょっちゅうあることです。

練習場で同じ100Yを9番アイアンや8番アイアンで打ったことがあるでしょうか。普段からフルスィングばかり練習している人は、はじめのうちはミスショットになります。ところが慣れてくると9番アイアンのほうが力まずにスムースなスウィングでミスしないのではないでしょうか。これが8番アイアンになると少しむずかしくなり、7番アイアンではさらに難しく感じるかもしれません。つまり100Yを正確に打つためには9番アイアンの軽いスウィングが一番ミスの少ないことになります。

70YはSWのフルショットと考えている場合も同じです。AWの軽いショットやPWのさらに軽めのショットを試してみると、一番上手く打てるクラブはPWだったりします。つまり100Y以内のショートゲームでは、ウェッジの目いっぱいのスウィングではなく、力みのないスムースなスウィングができるクラブを使うことが一番です。そういう練習を繰り返しているとショートゲームの練習量が自然に増えてしまうのです。

アプローチは次のパターが打ちやすいところへミスなくボールを運ぶことが目的です。スピンの効いた高い球も低くてピタッと止まる球もミスがでやすくなりアプローチの目的は達成しにくいのです。

SWでティーアップしたボールを高い球で30Y先のボードに打ってみるとよくわかります。打点が一定せずに飛んだり飛ばなかったり、ダルマ落としになったりします。同じようにSWで低い球を打ってみると、トップしたりときにはシャンクしたりします。次に同じようにティーアップしてAW、PW、9番アイアンで30Yを打ってみます。するとPWや9番アイアンのほうがミスの少ないことがわかってきます。つまり30Yには30Yが打ちやすいクラブがあるということです。決してSWだけではないことがわかります。

50Y以内はSWでアプローチするという思い込みをなくして、50Yから10Yまで10Y刻みでどのクラブで一番ミスが少なくボールを狙ったところへ運べるかを試してみると、ミスしないクラブとショットがわかってきます。そうした練習を続けるとアプローチが得意になってすぐにスコアアップにつながります。

ハーヴィー・ペニックがベン・クレンショウに「アンダーハンドでボールをトスしてホールにぴったり寄せてみたまえ」と語りかけました。ボールは転がってカップから1フィートもないところに止まりました。『ずいぶん低くトスしたじゃないか。どうして君がいつもフェイスを開いたウェッジで打つように、高く上げないんだ』聞かれて、『ぴったりに寄せろと言ったからですよ』とベン・クレンショウが答えると、「そう。君がアンダーハンドでトスしたのと同じ球筋と結果を、どのクラブが出せるか。これならできると思ったのが、選ぶべきクラブなんだよ」とハーヴィー・ペニックがアドバイスしています。

ショートゲーム・アプローチとそこで使うウェッジをしっかり見直すとそれだけでスコアアップすることは間違いありません。自分のウェッジをじっくり見直してはいかがでしょうか。

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