中部銀次郎 寄せとパットの悟り 其の六

サンドセーブの確率を上げるために

バンカーショットはスクエアフェースで打つ

 中部さんはバンカーが嫌いだった。それは寄せたくても寄せにくい状況になることがバンカーには多かったからだ。

 例えば、深くえぐれたバンカー、ピンが近い、ピンが遠いといったバンカー、左足下がり、縁のぎりぎり、柔らかい砂なら目玉になるといったこともある。こうした状況では、出すだけで精一杯。パーを取ることはできない。

 なので、そうしたバンカーには入れないことを旨としていた。

「だからといって寄せやすいバンカーなんてありません。プロだってバンカーからのサンドセーブ率は50%に満たないでしょう。私なんかもっともっと低い。だから、とにかくバンカーは避けるようにした。池だと思って、どこに打つかを決めていたくらいです」

 中部さんのコースマネジメントは基本的にグリーンセンター狙い。オンの確率を上げて、なるべくアプローチをしないように努めた。特にバンカーにだけは入れない。パーオンの2パット。それが中部さんにとって、パーをキープしていく最善の方法だった。

「そうはいっても、バンカーに入れてしまうことはあります。そんなときはパーを諦めながらも、何とか1パット圏内に寄せたいと思う。それにはなるべくピンに向かって打つことを心がけました。だから、フェースは開かない。スタンスもスクエア。ロフトのあるサンドウェッジで打てば、余程の深いバンカーでない限りは出せます。私にとって、バンカーもスクエアスクエアでアプローチのつもりで打つのが最も寄せられる方法でした」

 アプローチでも中部さんはスクエアに構え、スクエアフェースで真っ直ぐピンに向かって打っていた。

 中部さんはショットはもちろん、アプローチもパットもバンカーショットでさえ、スクエアスクエアだった。

 それこそが最も目標に打ちやすい方法だと信じていたからだ。

 すべてのショットでスクエアスクエア。それが中部流だったのだ。

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