YNGゴルフ研究会書斎のゴルフ(2022年2月28日UP)

スウィングのチェックポイントは二つ その2

頭を動かすと肩と腰が回ってスウィングがスムースになる

昔から「頭を動かすな」というアドバイスがあります。「ヘッドアップしない」という言い方もあります。そのアドバイスを実行しようとするとアマチュア、特に初心者は“ボールから顔(眼)を離さない”という感じになります。「頭を動かすな」と「ボールから眼を離さない」はまったく違うことなのです。

スウィング・ストローク中は自分の頭を見ることはできません。ゴルファーは眼とボールの距離で頭の位置を測ろうとするために、「頭を動かすな」というアドバイスは「眼(顔)を動かすな」ということになってしまいがちです。スウィングの情報は、主に眼・手・足で感じます。練習を重ねると徐々に体の他の部分でも感じることができるようになってきます。

「頭を動かすな」ということは、スウィングという“円の中心”を動かすなということです。中心が動くと円運動にはなりません。遠心力と向心力が釣り合うことで円運動になります。頭は背骨に繋がっています。そのため円運動の中心は背骨の延長上の後頭部のあたりと考えるべきです。決して顔(眼)ではありません。もし顔(眼)を円運動の中心と考えると背骨が軸なのに、その前の顔(眼)と腰を結ぶもう一本の軸ができてしまいます。これでは独楽の軸がぐらぐら回転するときのような感じになってしまい、安定した回転ができません。 

    

後頭部が中心で背骨が軸になると、後頭部は動かずに、顔(眼)は背骨(軸)を中心にまわります。そして、顔もまわることになります。頭を動かすなと言われて、顔を動かさない、眼をボールから離さないと、背骨もまわりません。つまり肩も胸も腰もまわらなくなって、スムースなスウィングができません。

頭を動かないようにしている人に「もっと頭を動かしてください」「顔を右にまわしてください」とアドバイスすると、「えー」とびっくりされます。「これじゃ、ボールが見にくい」とも言われます。「それが正しい動きです」とお答えします。スマホの動画などで撮影すると、頭が動いていないことがはっきり分かります。

プロはボールをボヤーと見ていると言います。人によって「頭を動かす」「顔を右に向ける」「眼をボールから離す」という感じのアドバイスをすると、はじめはとても違和感がありますが、少し慣れてくるとスウィングがとてもスムースになります。「クラブヘッドは、ボールに当たるようにセットアップしているのだから、スムースにスウィングできればナイスショットが打てます」とアドバイスすると多くの人が気持ちよくスウィングできるようになります。

「頭を動かすな」というアドバイスはスウィングの基本中の基本です。ところが多くの人は、“顔(眼)をボールから離さない“と誤解しがちです。それはスウィング中は自分の頭を自分で見ることができないためです。「顔を動かす(右に回す)」という感じにすると、見事に頭(後頭部)は動かなくなります。

「頭を動かすな」をトライする場合は、他の人からチェックしてもらうことが必要です。片山晋呉も他の人にクラブを頭の左にあててもらいチェックしています。ハーヴィー・ペニックは「頭が動かないチャンピオンはいない。ただし、頭は決してボールの前には動かない」と語っています。

アマチュアが“頭(眼)を動かさない”ようにすると、なんと右腰が右へスウェイしてしまいます。腰は回らず、左肩は下に傾くだけになってしまいます。逆に“右腰がアドレスしたときより右に動く”と頭が左に動いてしまいます。

中部銀次郎の言うとおり、スウィングの基本は「テークバックで右腰がアドレスしたときよりも右に動かすな」と「頭を動かすな」の2点です。ちょっと注釈を加えると、「頭は左に動かすな」ということで、「頭は顔ではなく後頭部」を意識することです。

スウィングの基本の二つのポイントの練習法

自分の頭と右腰を確認することは難しいことです。自分で行う練習法としては、素振りが一番の方法ではないでしょうか。自分の頭と右腰の二つのチェックポイントを意識しやすくなるため、素振りはいいと言われるのです。ボールがあるとどうしてもクラブヘッドを上手くボールにあてたい、ボールを遠くに飛ばしたいという意識が強くなり、「右腰を右へ動かすな」と「頭を(左へ)動かすな」ということがなおざりになります。

テークバックは「顔と右腰を右に回せ」ということでいかがでしょうか。

(次回に続く・・・)

文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)

YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits 2022

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