YNGゴルフ研究会書斎のゴルフ(2022年3月28日UP)

ミスを減らすゴルフ その2 

HCを減らすことはミスを減らすこと

ナイスショットにこだわらず、ミスショットにこだわる

2020年からワールドハンディキャップシステムが導入されました。HCは簡単に言えばゴルファーのミスの数を表す数字です。HCは20ラウンドのスコアのうちベスト8ラウンド(従来は10ラウンド)のスコアで計算します。そのためHCは平均スコアの目安にはなりません。例えばHC18のゴルファーの実際の平均スコアは90ではなく90以上になります、HC通りの90以下のスコアであがれるのは半分以下となり、HC以上のスコアにしないことを意識することが上達の基本と言えます。

スコア90の基準は、1ホールに1回ミスのです。ドライバーのスーパーショットで普段より20Y飛んだとしても、その後のショット、アプローチ、パットで1回はミスをすることになります。だからこそHCは18(スコア90)なのです。ドライバーでスーパーショットが打っても、セカンドショット以降でもスーパーショットを打てるとは限りません。むしろ2回以上ミスすることの方が多いかもしれません。スーパーショットはバーディー以上であがるためには必要であっても、パープレーやボギープレーには必要ありません。HC18のボギープレーのためには、2回のミスをしないことです。スーパーショットが打てる確率が10%でミスをなくせる確率が50%なら、間違いなく確率50%のミスを少なくすることを選ぶべきではないでしょうか。

ドライバーで最大飛距離以上に飛ばしたい、アイアンでベタピンに乗せたい、スピンの効いたアプローチでピンにピタリと寄せたい、下りのラインでも入れたいと思ったら、そのときすでにミスをする準備をしているようなものです。ミスはできないことをやろうとすることで起きるのです。

残念ながら多くのアマチュアはスコアアップにつながらないスーパーショットを追い求めて練習しているようです。言い換えれば、ナイスショットを求めているにもかかわらず、ミスショットのする練習をやっているともいえます。

初心者からシングルゴルファーに至るまでHCがある以上、スコアを縮めるためにはまずミスを減らすことに努めることが絶対的な条件です。それに比べて、むしろプロはアンダーパーを狙ってはいてもミスに対してとてもシビアに考えています。それはプロでさえ1打のミスを取り返すことが難しいと考えているからです。

近代ゴルフの3巨人の一人で全英オープン5勝のジョン・ヘンリー・テイラーは「ゴルファーの最も崇高な目的は、人を驚かすようなすばらしいショットではなく、ミスをひとつひとつ着実に減らしていくことである」と語っています。多くのゴルファーはナイスショットを打つことに熱心でスーパーショットを打つ練習をしているようです。ところが、ミスを減らすことについてはどれほど真剣に考えているでしょうか。ミスを想定して練習しているアマチュアはほとんどいないと言ってもいいかもしれません。それはパッティングとアプローチの練習量に顕著に現れるのです。

練習場では、一に飛ばし、二にナイスショット、三にドローという人が多いのではないでしょうか。飛距離が出ない人に力まずにスウィングして飛距離がでる、高い球のナイスショットを打ちたい人に右脚荷重でステイ・ビハインド・ザ・ボールをアドバイスして高い球になる、スライサーには右を向いて右にクラブを振ることでドローになるということがあります。すると満面の笑みになります。しかし、それが長続きすることはあまりありません。望むようなショットが打てると、次はさらなる飛距離を求めてまたマン振りして、いつもの力みの手打ちスウィングに戻ってしまうからです。ほとんどの人が、飛ばすことがゴルフのすべてだと考えているようです。ドラコンをとりたいのか、スコアをよくしたいのかどちらが本音なのでしょうか。

ミスショットの最大の敵は飛距離の追求ではないでしょうか。そのことは、多くのゴルファーがアイアンでさえもマン振りに励み、飛距離を必要としないアプローチとパットの練習をなおざりにしていることが物語っています。

(・・・次回につづく) 文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)

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