ゴルフは本でうまくなるか〈1〉2022年4月11日

『弘兼流 やめる!生き方』

弘兼憲史 著 青春新書インテリジェンス刊

「やめることで必要なことが見えてくる」を信条とする弘兼憲史氏の生き方は、生活周辺とゴルフの悩み解決のヒントになるかもしれません。著者の代表作の一つで漫画のシリーズとなった「黄昏流星群」で、深刻な人生を時にコミカルに描いていることからも、そのことを察することができます。著者自身がゴルフ大好きということで、この本における現実感が伴った弘兼流に思わず頷いてしまいます。

≪僕がゴルフを続けているのは楽しいからで、結果として身体にとっていいとか、老化防止になるということはあるとしても、それが目的でやっているわけではありません。コースに出て4時間、ボールに集中して打っている時間はすべて合わせても10分に満たないでしょうけども、クラブの選択やグリーンの攻略などを常に考えていて、ゴルフ以外のことは頭にないんですね。接待ゴルフはそうもいかないでしょうけど、好きな遊びというのは、そのことだけにとことん集中できるから面白いんですよね。(141-142頁)

この本はサブタイトルに「60歳からの前向き人生のすすめ」とあり、ゴルフはその一部ですが、「何のために遊ぶのか」の答えとして「楽しい、面白い、気分いい」とつながる趣旨がまとまっています。

≪ゴルフの素晴らしいところは自分の尺度で楽しめるという点です。僕はラウンド前に「今日は90で回ろう」「今日は先週よりもハイスコアを目指そう」といった自分の中の目標値=尺度を定めます。それが達成できるかどうかが一番の関心事であって、他人とスコアを競うことには興味がないので、関心が向きません。(158頁)

優勝スピーチの定番「パートナーに恵まれて」は、仲間と競い合った結果生まれた“適度な緊張感”を含むのでしょう。ゴルフが上手くなるには、数多くのノウハウ本があって、いずれも興味を引かれます。その中に、多少の賭けは、プレッシャーも出ていいことと推奨する向きもあります。

一方でゴルフ発祥の英国では、仲間とではなく目標スコアであるパーをめざして闘っていると言われます。アマチュアでは、ボギーをとれるよう、自分自身に向き合っているといえそうです。

これらのことは、競い合う相手が「他人」「自分」かの違いだけで、ゴルフは結局のところ競い合いに掻き立てられてこそ楽しいものといえるのでしょう。ゴルフにある他人と自分という対象をイメージしながら、ゴルフに臨んだら、自他のバランスによる集中力が湧き上がってきそうです。

そして、人生でイライラしそうになった自分に言い聞かせる言葉として、著者は次を掲げています。

≪「まあ、いいか」「それがどうした」「人それぞれ」の三つです。これまで本やインタビューで何度となく言ってきましたが、自分の意思とは関係なくやってくる困難、ピンチ、マイナスの局面を、この三つの言葉で乗り越えてきたんですね。(165頁)

悔しいミスをして、次のホールに引きずりそうなとき、「まあ、いいか」は気休めになるでしょう。

キャディさんの「右OBです」の〝親切なアドバイスで、それにつられるように右に行ってしまう。これは悔しいものです。聞かなければ、OBにならなかったと考えてしまうからです。そんなとき弘兼流で「それがどうした」とつぶやいてみようかな。

さらに弘兼流は続きます。「人それぞれ」を言い聞かせる場面もありそうです。ニアピン、ドラコンをとろうが、高級車で美女が同乗してうらやましくても、「人それぞれだ!俺はオレ流でいい」と思い切って、次回のゴルフに行こうという気になってきました。*** 文:柴山茂伸(書斎のゴルフSTAFF)

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