ミスを減らすゴルフ その3
スーパーショットでスコアはよくならない
ミスショットとスーパーショットの勘違い
「飛ばないことはミスではありません。低い球もスライスもミスではありません」とアベレージゴルファーの方にアドバイスをしています。なかには、そう話しただけで「気持ちが楽になった」と言ってナイスショットが打てるようになることもあります。リラックスが飛びとナイスショットの特効薬のようです。
飛ぶけど曲がる、高い球で風に流されてOBになることはよくあることです。飛ばなくても、球が低くてもスライスでもスコアアップは十分にできます。実際に飛ばない、球が低い、スライスというシングルゴルファーはおおぜいいます。
逆に飛ぶけど曲がる、球は高いけれどコントロールが効かない、ドローが持ち球でもときどきチーピンがでるというゴルファーもおおぜいいます。スーパーショットは打てないけれどミスが少ないゴルファーは安定したスコアになり、スーパーショットが打ててもミスがでるゴルファーはスコアが安定しません。
「”A good round of golf is if you can hit about three shots that turnout exactly as you planned them.”
“思い通りのショットが3回くらい打てれば、それは良いラウンドであったと言える。”」ベン・ホーガン
練習場で、ある100切りを目指す方が「明日プレーなので、ちょっと見て欲しい」と言われました。「手や腕でクラブを速く振ろうとしないで、腕はゆったり振るようにしてください」とアドバイスをしました。明日プレーするコースは出だしの1番ホールも10番ホールもパー5なので「ティーショットは3Wで軽いスウィングを心掛ける」ことを、コースガイドを見ながらアドバイスしました。軽いスウィングにするとボールはほとんどミスなく飛んでいきます。「そうか、軽いスウィングがいいのか」と納得でした。
数日後、その方に「先日のラウンドはどうでしたか」とお聞きすると「いつもより叩いてしまった」ということです。「それはなぜですか」とお聞きすると「ティーショットが上手くいかなかった」そうです。「2打目以降が難しいところに行ってミスが多かった」というのです。「ティーショットは3Wで打ちましたか」とお聞きすると「ドライバーで打った」というお返事です。「なぜ、ドライバーでティーショットを打ったのですか」とお聞きすると「他の人がみんなドライバーで打っていたので、自分もドライバーで飛ばしたかった」というのです。
多くの人がこういうことを繰り返しているのではないでしょうか。その結果2打目以降が難しいところからのショットになり、スコアがつくれなくなってしまうのです。難しいところからのショットは上級者やプロでも同じように難しいのです。だからこそ上級者やプロは次のショットがやさしく打てるところを探して、そこを狙ってプレーしているのです。飛べば次のショットがやさしいと考えるのは大きな勘違いです。
この根底には「スコアは飛距離のでるナイスショットによってつくられる」という勘違いがあるようです。アベレージゴルファーはミスショットを勘違いしているのかもしれません。飛ばない、低い球、スライスはミスショットではありません。しかし、多くの人は飛ぶ、ドロー、高い球を観ると眼が輝きます。そして、飛ばない、スライス、低い球を何とかして飛ぶ、ドロー、高い球を打とうとして練習しています。
もともと下半身リードの体幹スウィングが不十分で、体全体を上手く使ったスウィングができないために、飛ばない、低い球、スライスになっているのです。ところが多くの人は、飛ぶ、高い球、ドローが打てないのは、手や腕の使い方ができていないからだと勘違いして、一生懸命にそればかりを工夫してしまうのです。それでますます体が使えなくなるという悪循環に陥ってしまいます。手や腕を使うと下半身が止まり、脚と腰を使うと手と腕が振れるというのがすべての運動の大原則です。飛ぶ、高い球、ドローは、パーやボギーをとるためには必ずしも必要のないスーパーショットなのです。
飛距離がでるナイスショット・スーパーショットを打とうとしてミスがでる
飛ばそうとすれば手や腕に力が入ったマン振りになり、球は飛ばずにあちこちに飛んでいきます。高い球を打とうとすれば右手でしゃくり上げてダフリやトップになります。スライスをドローにしようとしたら右手を無理やり返して低いヒッカケになります。これがミスの正体といえます。
「軽いスウィングをしてください」とアドバイスするとほとんどの人がそこそこのナイスショットになります。軽いスウィングにするとクラブ自体が本来の性能を発揮して、自然に飛距離がでて、球の高さもいつもより高くなり、スライスがフェードになります。そしていつもの「あれ-、何にもしないのに飛んだ」という感想になります。つまり何かするとミスショット、何もしないとナイスショットになるのです。その原因は手と腕でスウィングしているからです。
手と腕の力に頼らない軽いスウィングになると、自然に下半身が動いて体幹の捻転もできてきます。つまり飛ばす、高い球、ドローのスーパーショットを打とうとすることが手打ちのミスをする原因になっているのです。
飛ばない、低い球、スライスのシングルゴルファーは、無理してナイスショットやスーパーショットを打とうとしないからこそシングルハンデになれたといえます。アベレージゴルファーがシングルゴルファーを目指すためには、ナイスショットやスーパーショットを打つことより、まずはそれを打とうとすることから生まれるミスを減らすことに専念すべきなのではないでしょうか。
「ティーショットをどんなに曲げても、セカンドショットでグリーンに乗らなくても、アプローチ1回でミスを帳消しにすることができる。またその逆もあります。ゴルフは山あり谷ありのゲームなのです」ロジャー・クリーブランド

クリーブランドのウェッジをお使いの方はこの言葉を反芻してみてはいかがでしょうか。毎日休みなく、猛練習できる人だけドローに挑戦して見てください。
(・・・次回に続く)
文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)
YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits 2022
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