飛ばしの思考其の4(2022年5月2日UP)

「飛ばさない心が、

飛ばすことになるのです」

「飛ばそうと思えば、力が入ってボールを曲げることになる。ならば、飛ばそうとする気持ちを捨て去ること」

 中部さんの言葉は本当だし、その通りにできれば良いが、なかなか難しい。

「これは経験を積めばわかることで、わからない人は本気でゴルフをやっていないのかもしれない。他人とスコアを競い合い、負けたときに悔しい思いをすれば嫌でも身に染みる。それも学校やクラブの名誉を賭けた団体戦で自分が負ければ一層、思い知ることになる。なぜ飛ばそう思ってしまったのか、馬鹿な考えを後悔するに違いない。飛ばさない、刻むといったことを覚えることになるのです」

中部銀次郎

 中部さんは甲南大学に入り、団体戦や日本アマといったとても厳しい状況でのプレーをすることによって、1打の重さを知った。それが「飛ばしを捨て去る」ことにつながっていった。

 しかも、飛ばしを捨て去ると、それは安全にプレーするだけでなく、様々な効用が得られるという。先の項の相手が焦っていくということが起きる。こちらのスイングが良くなり、ショットも良くなるからだ。しかし、本当はそれだけではない。

「飛ばす気持ちがなくなると、スイングが良くなり、クラブの芯に当たるようになります。ミート率が上がると、それだけで多くのアマチュアは飛ぶようになります。しかも、力みがなくなるので、伸び伸びと腕が振れるようになります。スムーズなスイングになって、クラブヘッドが走ります。ヘッドスピードがアップするわけですね。その結果、さらに飛ぶようになるのです」

 飛ばしを捨て去ると、飛ばなくなるどころか飛ぶようになるのか。

「これは口で言ってもなかなか理解してもらえませんが、やっていくうちにわかってきます。手を速く振ってもヘッドは走らない。インパクト前で手を止めるからヘッドが走るんです」

 中部さんが笑う。

「飛ばさない心が、飛ばすことにつながるんです」

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