ゴルフの方程式を解く 第1項
体とメンタルの項を解く Part2
メンタルの解
「ゴルフは心のゲームである」は中部銀次郎の名言です。中部銀次郎は一貫してゴルフにおける心のありようを説いています。
多くのアマチュアは、スコアはスウィングと飛距離の結果だと勘違いしています。体調を度外視し、バラバラなクラブセッティングで、セットアップとマネジメントを考えずに飛ばすことに一生懸命です。
スタートホールでマン振りしてOB、今日イチのドライバーショットを打った後でフェアウェイど真ん中からアイアンで大ダフリ、バンカー越えのピンを狙って目玉、グリーンにパーオンして3パットなどはよくあることです。フロントナインでいいスコアがでると、バックナインで大たたき、18番ホールでボギーなら90が切れるというときにダブルボギーというはなしをどれほど耳にしたことでしょうか。
なぜ心は穏やかでなければいけないか
この問いにゴルファーは何と答えるでしょうか。タイガー・ウッズはスーパーショットやスーパーパットの後、派手なガッツポーズをします。
プロたちの試合を観ていると、優勝争いのときに、アドレナリンがでて思わぬ飛距離がでたり、スーパーショットがでたりしています。一方優勝争いで緊張すると急にパットがショートしたり、思いもよらぬアマチュアのようなミスショットを打つこともあります。これらは技術の問題ではなくメンタル・心の変化によっておきています。
心がざわつくとホルモンの出方が変化します。ドーパミン・セロトニン・ノルアドレナリンは人の感情や精神面、記憶や運動機能、睡眠といった、人体の重要な機能に深く影響を与えているため、三大神経伝達物質と呼ばれます。
ドーパミン;分泌が不足すると、物事への関心が薄れ、運動機能、学習機能、性機能が低下する可能性があります。ドーパミンの分泌が過剰だと、統合失調症や過食症、その他アルコール依存症やギャンブル依存症など様々な依存症を引き起こす可能性があります。
ノルアドレナリン;分泌が不足すると、気力や意欲の低下、物事への関心の低下など抑うつ状態になりやすいとされ、うつ病の原因とも考えられています。逆に、分泌が過剰だと、怒りっぽく、イライラ、キレやすくなり、躁状態を引き起こします。血圧が上がるため、高血圧症や糖尿病の原因になるとも言われています。
セロトニン;セロトニンが不足すると、ぼーっとしやすい、鬱っぽくなる、パニックを起こしやすいなどの症状が現れます。投薬などで過剰になると、精神が不安定になったり、発汗や発熱、振戦(震え)など、セロトニン症候群という症状が起こることがあります。
通常は、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンはそれぞれが相互にバランスを保つことで、心身の安定が保たれます。これらのバランスが崩れると普通の体調ではなくなります。

アドレナリンには、交感神経を活発にさせる作用があります。交感神経とは、私たちが運動をしたときに活性化される神経系です。運動時、空気を取り入れるために気道が広がります。心臓の拍動は早くなり、血管収縮によって血圧が上がります。これは、アドレナリンが運動時に放出されるからです。
心拍数が上がったり下がったり、血圧が上がったり下がったり、呼吸が荒くなったりしたら心身ともに疲れてしまいます。それでは普段のパフォーマンスを4-5時間の間、持続することはができるかといえばできません。

飛ばそうとしてOB、乗せようとしてバンカー、寄せようとしてダフリ、入れようとして3パットでは自らホルモンのバランスを崩していることになります。
「ゴルフは100m走とマラソンがミックスされたスポーツだ」と金谷多一郎が語っています。わずか1.5秒のスウィングを100回で約2分半、残りの4時間近くは歩くかカートにのっています。4時間のラウンド中100回も興奮したり、がっかりしたりしていては体力・気力を維持できるはずがありません。
「起こったことは鋭敏に反応してはいけない。柔らかくやり過ごす」と中部銀次郎がゴルフにおける心のありようについてアドバイスしています。
言葉にすればそれだけのことと思いがちですが、“鋭敏に反応しない、柔らかくやり過ごす”という言葉にきちんとした科学的根拠があるのです。
ホルモンの変化によって、心拍数、呼吸数、血圧、体温などが上がったり下がったりしてはスウィングで一番肝心なリズムがバラバラになってしまいます。これこそがプレーをコントロールできないミスの一番の原因なのです。
落ち着きを取り戻すためには水を飲む、深呼吸をする、空を見上げると余裕がうまれていいプレーにつながります。
(・・・次回につづく)
文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)
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