飛ばしの思考其の8(2022年5月30日UP)

「飛距離のことを言わないゴルファーは強い。

だから、そう思ったとしても口にしないことです」

 中部さんは社会人になってからは益々飛ばしにはこだわらなくなった。飛ばすことが有利になることはないと信じ切ることができたからだ。

「私は飛ぶほうではなかったけれど、上手な人は例え飛ぶ人でも飛ばしを自慢しなかった。飛んでもそれが有利に働くことはないと知っていたからです。

だから、私たちの間では飛ばしの話題は出なかった。よく風呂場などであのホールでどこどこまで飛ばしたなどと飛ばし自慢をしている人がいますが、そんな人の話は黙って聞いていましたね。飛ばし自慢をする人は下手な人という認識があったのです」

中部銀次郎

 スコアを作れる人はドライバーショットを正確に打てる人。アイアンショットの切れ味が素晴らしい人。さらにアプローチが抜群に上手く、パターが入る人。こうなれば、上手を通り越して、強いプレーヤーということになる。

「ショットが正確でアプローチが上手ければ上手な人。それにパットが上手ければ強い人です。絶対に崩れないし、乱れない。慌てないし、焦らない。隙がないゴルフができる人です。こんな人には敵わない。飛んでも曲がる人はいつか必ず崩れる。だから、じっくり構えて料理すれば良いと思える。日本アマなどに勝つ人はそうした上手で強いアマチュアでした」

 ゴルフの本質がわかっている達人だということだろう。

「だから、例え技術的に上手ではない方も飛ばしのことは口にしない。たまに飛ばしてそれを言いたいときがあってもグッと我慢する。飛ばし自慢をしている人はさらりと受け流す。そうしているだけで、自然に腕が上がってきます。正確に打てるようになってくるし、相手を気にしなくなるし、例えミスをしても心に余裕ができるようになります。知らず知らずのうちに、相手やライバルたちがあなたを恐れるようになってくるのです」

 確かに中部さんは飛ばしのことを口にしなかった。それは上手な人、強い人は皆同様なのだ。

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