YNGゴルフ研究会書斎のゴルフ(2022年6月13日UP)

ゴルフの方程式

セットアップとグリップの項を解く その1

セットアップ(スタンス・アドレス・ボールの位置)解

「ほとんどのゴルファーはスウィングする前にミスをしている」と阪田哲男は言います。

レッスンの神様 ハーヴィー・ペニックがすべてのゴルファーに贈った言葉は「Take dead aim. 死ぬ気で目標を定めなさい」です。練習だからといって目標も決めずにショットを打つのは単なる運動にすぎません。

ゴルフはターゲットゲームです。ターゲットにボールを運ぶためには打ちたいショットに応じて、スタンス・アドレス・ボールの位置とグリップを正しくセットする必要があります。それだけで思いもよらぬスムースなスウィングになるものです。

スウィングを見てくれと言われて、スウィングについてアドバイスすることはほとんどありません。スウィングでのアドバイスは、無駄に手と腕を使うことをしないことと下半身を使うことくらいです。スタンス・アドレス・ボールの位置とグリップを軟らかく持つこと。それでほとんどの人は力みがとれてスムースなスウィングでミスショットがそこそこのショットになります。

多くのゴルファーはセットアップとグリップを軽く考え過ぎています。スウィングはセットアップとグリップでつくられるのです。練習場で1球ごとにアドレスをし直している人を見かけたことがありません。アドレスはボールの届け先です。ボールはアドレスした方向にしか飛びません。1球1球しっかりとセットアップすることこそミスを減らす最大のポイントです。

 

先日も安定して100切りをしたいという方からスウィングを見てくれと言われ、アドレスとボールの位置をチェックしただけでスムースなスウィングになりました。「そうか問題はアドレスか」という反応でした。

グリップの役割は、インパクトでクラブヘッドがターゲットラインに沿って、フェイスがボールにスクウェアにあたることです。グリップの力で飛ばすのではありません。グリップはクラブヘッドがインパクトでスクウェアになるようにクラブを支えているだけではないでしょうか。

どうしたら適正なセットアップとグリップができるか

 ゴルフを始めたときに、毎日グリップすることをアドバイスされます。次はセットアップを教わります。初心者から上級者までグリップをチェックすると、どうしてもグリップだけに目が行ってしまいます。その結果、顔が下を向いてアドレスの前傾姿勢が崩れてしまうことがあります。スウィングは下半身を使った体幹の捻転運動です。スウィングのメカニズムは、脚を使い、体幹の捻転運動で腕を振って、グリップしたクラブが振られことです。そう考えるとスウィングで一番大切なのは体幹の捻転と脚の動きであり、それがスムースに行えるスタンスとアドレス(構え、ポスチャー)ではないでしょうか。

 レッスンの神様 ボブ・トスキのレッスンは、パッティングの正しい構え方、フルスウィングではセットアップから始まります。グリップはクラブを持つ、ボールを打つためにはとても重要ですが、スウィングだけを考えると、体の構え方(スタンスとアドレス(ポスチャー)が一番重要なポイントになります。

初心者のときにセットアップについて次のように教わったのではないでしょうか。

スタンス;両肩くらいの幅で飛球線に平行にスタンスをとる。クラブの長さに応じてスタンス

幅を変える

アドレス;肩・腰・脚が飛球線に平行になるように姿勢を正し、骨盤から前傾して軽く膝を曲

げる。グリップでは右手が下になるために右肩がやや低くなり背骨が右に傾く

ボールの位置;ドライバーは左足かかと線上、クラブが短くなるにつれてボールを右に寄せ

る、ウェッジではスタンス中央がボールの位置の目安

ところが初心者がはじめて習う基本中の基本であるこのセットアップがきちんとできている人は上級者でさえほとんどいません。プロにチェックしてもらうと必ず修正されます。

プロテストを受ける女子ゴルファーを特集したTV番組があります。アドバイスするプロコーチはおしなべて彼女たちのセットアップをチェックしています。

すると「えー、奇跡です」とか「ウソみたい」という言葉がでます。セットアップを修正するとたちどころにスウィングがスムースになって、見事なショットになるのです。

 プロテストを受ける彼女たちでさえセットアップとグリップが正しくできていないことがよくわかります。ましてや一般のアマチュアでは正しいセットアップができている人はほとんどいないといっても過言ではありません。2019年ルールで禁止されましたが、それまで女子プロの試合ではキャディーが飛球線後方からアドレスをチェックしていました。それほどプロはアドレスを注意しているのです。

 

セットアップを解くカギ

 練習でクラブを振って、スウィングの練習だけやっていてもあまり上達は期待できません。阪田哲男の言う「打つ前にミスをしない」を意識すべきです。

 

セットアップの解は、初心者のときに教わったセットアップの基本です。そのためにはセットアップの練習が必要不可欠です。練習しなければできません。練習場は平らでも、コースはデコボコだらけです。そのためコースでは100点満点のセットアップ(スタンス・アドレス・ボールの位置)とグリップはとても難しくなります。少しでも100点に近づくセットアップにするためには練習以外に方法はありません。

 普段から練習=スウィングの練習ではなく、練習=マネジメント⇒ターゲット設定⇒ショットのイメージ⇒セットアップとグリップ⇒スウィングの手順を体に染み込む(無意識でできる)まで繰り返し練習してみてはいかがでしょうか。

  

(・・・次回に続く)

文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)

YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits 2022

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