YNGゴルフ研究会書斎のゴルフ(2022年6月27日UP)

ゴルフの方程式

セットアップとグリップの項を解く その3

パッティングストロークのグリップの解

 パッティングに形無しと言われます。パッティングはスタンス・アドレス・ボールの位置がとても個性的です。また、パターの種類は他のクラブに比べて圧倒的に数多くあります。そういう条件ではグリップも千差万別になるのは当然のことです。

 以前はパッティングのグリップと言えば逆オーバーラッピングがほとんどでした。今では何種類あるか分からないくらいです。

 パッティングの目的はもちろんボールをカップに入れることです。

ボールがカップに入る条件は2つです。

〇ラインが合っている

〇タッチが合っている

多くのPGAのツアープロは5ft(約1.5m)のパットを100%カップインすることを目標にしています。1.5mのパットが100%カップインできれば、5mでも10m以上の長いパットでも常に2パット以内であがれることになります。

短いパットはライン、長いパットはタッチが大切と言われます。それには理由があります。

カップの大きさは世界中4.25インチ(108㎜)です。

インパクト時のフェイスの角度の誤差の許容範囲

 〇カップまでの距離が50㎝の場合:左右に約6度

 〇カップまでの距離が1.5mの場合:左右に約2度

 〇カップまでの距離が3mの場合  :左右に約1度

 〇カップまでの距離が10mの場合 :左右に約0.3度

となります。

またタッチ(距離感)は、平坦なグリーンではカップまでの距離が50㎝の場合は50㎝オーバー、1.5mの場合1mオーバー、3mの場合1.5mくらいの許容範囲があります。 

つまり、短い距離(1mくらいまで)のパットではフェイスの向きは左右に3度くらい違ってい

てもカップインします。タッチは1mオーバーくらいまでならボールはカップインします。とこ

ろが10mのパットとなるとフェイスの向きの誤差はほぼ0に近く、タッチも1.5m程度オーバーくらいまでになります。

 そのため短いパットはタッチよりラインを重視し、長いパットはもともとラインどりが難しい

のでむしろタッチを重視し、次のパットを短い距離に残すことを目指すということになります。

  PGAツアー選手が1.5mのパットを100%カップインすることを目指すなら、アマチュアは1mのパットを100%カップインすることを目指してみてはいかがでしょうか。

 パットラボの検証では、3m程度までのパットで一番重要なポイントはインパクト時のフェイスの向きです。カップインにはパターヘッドの軌道はそれほど影響がないという結果がでています。パターのヘッド軌道はインサイドストレートインサイドが理想ですが、ヘッド軌道がアウトサイドインでもインサイドアウトでもインパクト時のフェイスの向きがスクウェアならカップインするということです。

 日体大男子ゴルフ部監督の江原清浩プロの研究結果によれば、パッティングではストロークの再現性がもっとも重要なポイントだと指摘する論文が発表されています。

 つまりアマチュアが目指すべきパッティングは、次の2点です。

 〇インパクト時にフェイスがスクウェア(パッティングラインに対して直角)

 〇ストロークの癖があっても再現性が高い

 そのためには、器用な手や腕を使わない体幹を使ったパッティングストロークをすることです。このことをグリップである程度可能にすることができます。クロスハンドグリップやクロウグリップ、長尺パターは手を使わない(使えない)グリップということなのです。

 アマチュアはパッティングの練習をしないためになかなか理解しづらいかもしれませんが、手や腕は固定してお腹と背中でストロークする感じでしょうか。これはレッスンプロに見てもらうことが一番です。アマチュアではたとえ上級者といえどもアドバイスすることが難しい感じがします。

 パッティングは難しいことを考えずに、とにかく練習することです。練習マットでカップインすることだけでなく、とにかくパターを手や腕で操作せずに振ることだけもやってみることです。 

インパクト時のパターフェイスをスクウェアにするお勧めの練習は、ボールを横に2個並べてストロークすることや、ボールの箱を真っすぐに打てるようにストロークすることです。

以前HC2の知人に日頃どんなことをやっているか、聞いたことがあります。「とにかくHCをなくしたい、毎日仕事で忙しく練習場へは週1回、ラウンドも週1回しかできない。マンション住まいだから素振りもなかなかできない。だから毎日パットの練習だけは欠かしたことがない」と語っていました。

「もし上達がお望みならば、1mのパットばかり練習しなさい」アーネスト・ジョーンズ

(・・・次回に続く)

文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)

YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits 2022

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