いいゴルフの基本 からだ その4
体の構造とスウィングのメカニズム
動ける体は体の構造と機能を理解するとわかりやすくなります。今回はそうした視点で理学療法士の濱田勇志さんから説明していただきました。
スウィングは股関節と腰椎+肩甲骨の連動が基本
ゴルフの怪我は基本的にオーバーユース(使いすぎ)や無理な動き、関節の硬さや筋力のなさなどが原因だということがわかりました。
そこで、怪我をしない無理のないスムースなスウィングとは具体的にはどういうか。体の構造とスウィングの運動のメカニズムについて引き続き埼玉医科大学かわごえクリニック、濱田勇志さんにお伺いしました。濱田さんは昨年大学院修士課程において「ゴルフにおける左股関節のストレッチとその効果」について研究成果を発表され、現在は同博士課程で引き続きゴルフと怪我の予防、体のパフォーマンスの向上について研究されています。

●スウィングは体の回転、つまり胸椎(胸郭・肩甲骨を含む)と股関節の回旋ということですが、多くのアマチュアゴルファーにとって胸椎と股関節を回旋することは感覚的にかなりむずかしい感じがします。スウィングの基本中の基本である体の回転(回旋)について、まずは人の体の構造について簡単にお話しいただけますでしょうか。
濱田 体の中で回旋運動を担っている関節の1つである脊椎は頸椎、胸椎、腰椎、仙椎から構成されています。胸椎は肋骨と連結し、胸郭と呼ばれます。そして、胸郭の外には肩甲骨があります。脊椎の1つである仙椎(仙骨)は骨盤を形成し、骨盤と大腿骨から構成されている関節が股関節となります。
●スウィングでは肩と腰を回せと言われますが、体の構造から考えるとずいぶんと大雑把なはな
しだとわかります。左右の股関節と胸椎の回旋とはまるで違う話のような感じがします。
濱田 前号で、腰椎は回旋がほとんどできない関節であると書きましたが、回旋がまったくできないわけではなく、左右回旋の合計で10°-20°程度と言われています。一方で、胸椎は60°-70°、股関節は内旋(内側に捻る)35°、外旋(外側に捻る)45°であると言われています。そのため、ゴルフにおける回旋運動のほとんどは胸椎と股関節で行われています。
体(骨格)の構造とスウィングのメカニズム
スウィングは体の捻転です。体の捻転は関節の回旋で生まれます。スウィングでは腰は45°、肩は90°回せと言われます。腰の回転は股関節の回旋による骨盤と大腿骨の回旋です。また、肩の回転は胸椎・胸郭の回旋と肩甲骨・肩関節の運動(外転・内転)です。
一般的に、腰の回転はお腹のねじり、肩の回転は肩甲骨だけを意識していることがあります。この感覚では、腰の回転は動かない腰椎をねじることになり、肩の回転は背骨(胸椎・胸郭)ではなく肩だけの動きになります。骨盤は大腿骨(脚)を意識し、肩はより胸や背中を意識すべきではないでしょうか。
(・・・次回に続く)
文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)
