いいゴルフの基本 体 その5
ゴルフの基本は動ける体
動ける体がゴルフの上達の基礎
上級者はゴルフに対して“何かをやり続けている”。これは多くのシングルゴルファーが語っていることです。
日頃からジムに通ってトレーナーからトレーニングを受けている、プロのレッスンを受ける、毎日散歩や素振りを欠かさない、パッティングやアプローチの練習を欠かさない、クラブについて研究している、You-tubeなどでスウィングを研究しているなど、人それぞれです。しかし何であれ、ゴルフの上達に必要なことに取り組んでいるのが上級者です。
これに対して意欲はあっても上達できないゴルファーは、雑誌のテクニック情報の習得と練習場で一生懸命に球を打っているだけというのが現実ではないでしょうか。
世界プロツアー113勝のジャンボ尾崎が主催するジャンボアカデミーからは原絵莉花(2020日本女子OP優勝)、笹生優香(2021全米女子OP優勝)、西郷真央(2022JLPGA5勝)など、世界と日本で活躍するトッププロを輩出しています。男子もいずれこのアカデミーからトッププロが現れるのではないでしょうか。ジャンボアカデミーに参加できるのは、セレクションを通った若者だけです。セレクションの基準の第一は、練習できる体です。ジャンボは昔から“体・技・心”を心得としています。ゴルフで上達するには、やはり動ける体が絶対的な条件になります。強い心は練習によって培われ、技術は練習でしか身につかない、練習をするためには練習に耐えられる強い体が必要だということです。
動ける体とは、怪我をしない、体がスムースに動く、体全体の能力が高いとなります。一般のゴルファーなら体がスムースに動くこと、競技ゴルファーならさらに体全体の能力を高めることが求められます。
今回はゴルフに関する体を総合的に研究されている濱田勇志さんにゴルファーの体についていろいろな角度からお話を伺いました。

濱田勇志 理学療法士。埼玉医科大学かわごえクリニック埼玉医科大学
大学院修士課程修了、現在同博士課程(指導教員:赤坂清和教授)に在籍中。修士(理学療法士) 認定理学療法士(スポーツ)、Golf Physio Trainer(ゴルフ フィジオ トレーナー)、埼玉県理学療法士会スポーツリハビリテーション推進部部員(高校硬式テニス)
理学療法からの観たゴルファーの体
ゴルフは動ける体が大前提です。動ける体は、第一に怪我をしないこと、第二は体が正常に機能すること、そしてさらなるレベルアップのためには体の機能をアップすることです。
ゴルファーの怪我
〇ゴルファーの怪我は、腰、肘、肩、手首が多い 。腰はプロ・アマ問わずに怪我をすることが多い
〇怪我の原因は、オーバーユース(使いすぎ)が主な原因
〇怪我をした場合は整形外科医の診断のもとにリハビリテーションを行う。受傷直後は基本、安静を保つこと

動ける体のためのウォームアップとクールダウン
〇筋肉を温めて伸ばすダイナミックストレッチ(動的)が有効。ダイナミックストレッチはストレッチの効果の時間が長く、飛距離やヘッドスピードを増加させる
〇運動後の筋疲労や筋痛に効果があるとされている方法は、ストレッチやアイシング等よりマッサージが有効。自身で実施する方法としては、フォームローラーによるマッサージがよい
体の構造と回旋(スウィング)の基本
〇体の回旋(スウィング)は、主に胸椎(胸郭・肩甲骨を含む)と股関節の回旋
〇胸椎は60°-70°、股関節は内旋(内側に捻る)35°、外旋(外側に捻る)45°回旋する。腰椎は左右回旋の合計で10°-20°程度でほとんど動かない
股関節、胸椎の動きをスムースにするストレッチ
〇関節の柔軟性を維持向上させるためには、定期的なストレッチが重要。日常生活の入浴後などに取り入れるストレッチとしては1回のストレッチに30秒程度かけて、じっくりと筋肉や関節を伸ばすスタティックストレッチ(静的ストレッチ)を行う
〇1日のストレッチで劇的に変化することは多くありませんが、傷害を予防するには何事もメンテナンスが重要。傷害予防と飛距離やクラブスピードなどのパフォーマンス向上におけるメリットが多いストレッチやトレーニングを普段の生活に取り入れる

関節が正常に稼働することでスウィングが可能になる推奨される(股関節・胸椎〈胸郭・肩甲骨を含む〉)ストレッチは前号・前々号をご参照
鬼才戸田藤一郎はスウィングについて次のように語っています。「スイングは行き着くところは手と足である。足を動かしながら、手を振るんだというふうに考えたらスイングは簡単になる。クラブもどんどん振れてくる。スイングは歩くのといっしょ。歩くときは足だけ動かしているわけではない。足が動けば手も振れる。足を動かして手を振ることによって、リズムをとっているのだ。スイングもそれといっしょだ。足が上手く動けば手(腕)の振りもよくなる。足を全然動かさないで手だけ振ろうとしてもできない」
いいゴルフのためには、結局、脚と手(腕)の関節(股関節と胸椎+肩甲骨)の柔軟性が大事だということです。ゴルフにおける体についてしっかりと意識すべきではないでしょうか。
(シ リーズ完)
文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)
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