
「ゴルフスイングで筋肉は2割も使えば十分」
ジャック・バークJr.
最終日の逆転劇ほどギャラリーの興奮を掻き立てるものはないが、マスターズでの記録では52年もの長きにわたって破られていない大逆転劇がある。それを打ち立てたのがテキサス生まれのジャック・バーク・ジュニア。1956年のマスターズ最終日で、ケン・ベンチュリーとの8打差をひっくり返してマスターズ初優勝を遂げてしまうのだ。
バークは「スイングのプリンス」と呼ばれていたほど、スイングの綺麗なプレーヤーだった。当時のアメリカツアーはベン・ホーガンやサム・スニードが隆盛の極みで、素速いスイングからボールを叩きつけるようなスイングが流行だった。ボビー・ジョーンズのような「歌うようなスイング」は古いものとされていたのだ。
ジョーンズの時代はシャフトがヒッコリーだったために、自分の腕もしなやかに使わなければボールは遠くへ飛ばなかった。ところがシャフトがスチールとなって、思い切り叩けるようになったわけである。
ところがバークのスイングはこの時代には珍しく美しいものだった。しなやかで流れるようなリズムがあった。特にトップ・オブ・スイングでの一瞬の間は息を呑むような雰囲気があった。今は亡き金田武明さんが目撃している。
「クラブに体がぶら下がっているようなトップだった」
体から余計な力が抜けた、完全にリラックスしたスイングだった。バーク自らも言っている。
「スイングで使う筋肉は2割でいい」
飛ばそうとして力んでばかりいる御仁はこの言葉を頭に置きたい。「スイング王子」のように2割の力でも十分なのである。
JACK BURKE.Jr.
1923年1月29日テキサス州ヒューストン生まれ。4歳のときにプロであった父からゴルフを習う。家にはジャック・グラウトやバイロン・ネルソン、ハーヴィー・ペニックなど当時の輝かしいプロたちが集まるため、いろいろな教えを受けたという。20歳でプロになるが、第2次世界大戦で海軍に入り、トーナメント生活は一時中断。1950年に復帰し、1956年にマスターズと全米プロに優勝する。手を痛めて早くに引退するが、ツアーでは16勝を挙げている。
偉人たちの永遠の言葉
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