偉人たちの永遠の言葉11(2022年12月12日)

Henry Picard Circa 1940s (Photo by Augusta National/Getty Images)

「アイアンショットは大きな番手で楽に打つ」

ヘンリー・ピカード

 ヘンリー・ピカードは1938年の第4回マスターズに優勝しただけなく、’39年の全米プロをも制したことで名を馳せたが、それだけでなく、サム・スニードとベン・ホーガンにアドバイスを送り、偉大なプレーヤーとなるスイングの基礎作りをさせたことで有名である。特にホーガンは自分の著書『パワーゴルフ』を「ピカードに捧げる」と献辞している。

 ピカードのスイングは当時最も美しいと讃えられ、そのスイングによってメジャーにも勝て、ツアー通算26勝も挙げることができたわけだが、それはアレックス・モリソンというインストラクターとともに作り上げたものだった。

 正しい軌道のスイングプレーン上でクラブを振り、足首を回転するフットワークを身につけることが、彼らのスイング理論であった。細身ながらドライバーの飛距離は全米プロを争ったバイロン・ネルソンにも負けておらず、特にロングアイアンの切れ味が素晴らしかった。

 その得意なアイアンでも、使う番手に迷うということは、もちろんピカードにもあったわけだが、彼はそんなとき、必ず大きいほうの番手を選んだ。その理由は「小さめの番手で距離を届かせようと力一杯振ると、スイングが乱れ、ミスショットになりやすい。大きめの番手ならゆったりとスムーズに振れるのでスイングが良くなり、ショットも良くなるからだ」と語っている。だからこそ、いつも素晴らしいスイングができたのだ。

 小さな番手を持つことを「アンダークラビング」、大きな番手を持つことを「オーバークラビング」というが、ピカードは「オーバークラビング」で一流プレーヤーになったのだ。

 周囲の人よりも小さな番手で打とうとする見栄っ張りがゴルファーには多いが、大事なのはスムーズでバランスの良いスイングをすることなのだ。

HENRY PICARD

1906年11月28日、マサチューセッツ州・プライマス生まれ。1997年4月30日、サウスカロライナ州・チャールストンにて90歳で逝去。プライマスCCのキャディをしながらゴルフを覚え、19歳のときにツアープロとなる。初優勝は’32年のザ・ノース&サウスオープン、’73年に引退するまで35勝を挙げる。ベン・ホーガンにはグリップをウィークにするようにアドバイスし、悩みの種だったダッグフックを根治させている。2006年世界ゴルフ殿堂入り。

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