YNGゴルフ研究会書斎のゴルフ(2022年12月26日)

どういうゴルフを目指すべきか

 今年の夏に埼玉医科大学川越クリニックの理学療法士濱田勇志さんからスウィングと体について話を伺いました。そのことから体に関するNewsが年末まで続くこととなりました。

 スウィングは「股関節と胸椎の回旋」であるのは、理学療法的には当たり前のことだと思います。しかし、多くのゴルファーはこれを「肩を回す、腰を回す」と考えるのではないでしょうか。ゴルフレッスンでもスウィングを「股関節と胸椎の回旋」としてアドバイスしていることはほとんどないように思います。

 現実は、肩は回りませんし、腰も回りません。

肩が回るのは、胸椎の回旋に鎖骨が連動するからです。肩甲骨も同じです。

腰が回るのは、左右の股関節が回旋するからです。

そのため肩を回そうとすると左肩が下に落ちる、腰を回そうとすると腰椎を回そうとして腰がスウェイすることになるのではないでしょうか。

 肩を回す、腰を回すということを別なイメージで言うならば、背骨を軸に胸を回す、左右の足の付け根を回す(曲げる)ということになるのかもしれません。言葉一つの違いですが、イメージはまるで違ったものになります。

 スウィングの基本は「股関節と胸椎の回旋」です。これを真に理解することは難しいことです。

それはこのスウィングの動きの本質にたどり着く前に、スウィングは肩と腰を回すというイメー

ジがあり、初心者はクラブを振ろうとします。

少し慣れてくると手とクラブ、次に手と腕とクラブ、次が体(主に肩)でクラブを振ろうとします。そして腰まで行き着くゴルファーは多くはないようです。アマチュアの多くは、腰が回っていません、肩も回っていません。手と腕だけ体の後ろに引き込んでいることが多く見られる現象です。これは上級者でも起きてしまう現象です。

 ゴルファーは何かしようとすると手と腕を使い、脚や体が使えなくなってしまいます。スウィングを脚や体を使う、骨の動きを意識するゴルファーはゴルフの本質に迫ったゴルファーといえます。何かしようとするゴルフとはいつも言われる“飛ばす、乗せる、寄せる、入れる”ゴルフです。誰でもそうしたことを意識します。

スウィングではできるだけ余計なことをしないことが求められます。スウィングで何もしないためには、スウィング以前に何もしなくてもスムースなスウィングができるように準備することが必要ではないでしょうか。言い換えれば“飛んでしまう、乗ってしまう、寄ってしまう、入ってしまう”ショットやストロークの準備ができれば、何もしなくてもスムースなスウィングになります。

 スウィングは「股関節と胸椎の回旋」という話はとてもイメージしづらいことですが、人間が行うスウィングの本質です。つまり私たちが日頃やろうとしている手や腕の動かし方とは全く違う意識になります。スウィングの本質を意識すると余計な意識、つまり何かしようとする意識がなくなります。この意識がなくなるまで練習を重ねることがゴルフ上達のポイントではないでしょうか。練習ではポイントを外した練習はいくらやっても上達できないことになります。

本質を外したことは上達の妨げ

 ゴルフは本質を追求すると、余計なことがそぎ落とされ、上達がスピードアップします。

 飛ばしは体とクラブで決まります。身体能力がなくて、能力に合わないクラブを使っていてはいくら練習してもボールは飛びません。

100切りを目指すならボギーかダブルボギーを目指します。90切りならボギーが目指すべきスコアです。ところが100切ゴルファーがパーを目指した途端に“飛ばす、乗せる、寄せる、入れる”の余計なことのオンパレードになって、結局ダブルボギーやトリプルボギーになってしまいます。90切ゴルファーも同じようにパーをとりにいくとダブルボギーになってしまいます。

1ホールでもトリプルボギーやダブルボギーを打つと、今度はそれを取り返さなければいけなくなり、ボギーやパーがマストになってしまい、結局無理に無理を重ねて100が切れない、90が切れないというゴルフになってしまいます。

 スコアの本質は今の実力通りのスコアであがることです。そこでチャンスがあれば、実力以上

のスコアになります。 

中部銀次郎は「あれもこれもと欲張っていないか。虫のいいことは体に余計な制約を加えるだ

け」と諭しています。

 例えば、100切りゴルファーなら高いドローボールは必要ありません。安定したスライスで十分です。しかも、高く上がるボールも必要ありません。最高のショットで200Y飛ばせるのであれば、150Yを飛ばせれば十分ではないでしょうか。いつも100切りの方にお話ししている通り「スライスも低い球もミスショットではありません」ということです。

そう考えてもらうと、中弾道のフェードボールで180Yくらいは簡単に飛ぶようになります。中部銀次郎が言う通り、余計な制約がなくなった結果です。あれもこれも意識しないで、できるだけ自然にクラブを振ることが、目指すべきゴルフを示唆しているようです。自然にしようとは、何かをしようとしないことです。つまり素振りのスウィングです。中部銀次郎が言う「プレー中は、余計なことは言わない、しない、考えない」ということではないでしょうか。

「無意識のゴルフ」を目指す

 “飛んでしまう、乗ってしまう、寄ってしまう、入ってしまう”ゴルフができればゴルフが楽しくなります。つまり何も意識しなくても上手くいく「無意識のゴルフ」ではないでしょうか。

 初心者はグリップ、セットアップ(スタンス・アドレス・ボールの位置)から始まって、バックスウィング、トップ、ダウンスウィング、フォロー、フィニッシュに至るまですべてを意識します。また事細かに周りからアドバイスされます。そのため肝心のリズム・テンポやイメージがないスウィングやショットになってしまうのです。

 これに対して上級者は周りから見てもショットのイメージが想像できていて、流れるようにセットアップして何気なくスウィングして、狙ったところへそこそこのショットを打ち続けます。いちいちセットアップ、スウィングなど考えたりしていないような感じがします。余計なことを考えずに無意識でゴルフをしているように見えます。これは無意識でプレーできるまで本質的な(余計なことではない)練習を積み重ねてきた結果ではないでしょうか。

この1年いろいろな記事を配信してきましたが、「無意識のゴルフ」を次のテーマとして追及していきたいと考えています。パターの名手デイブ・ストックトンは「無意識のパッティングUnconscious Putting」をアドバイスしています。パッティングに関するさまざまなテクニックをアドバイスして、結局何が一番大切かという問いに対して、彼は最後に「パッティングとは、感じることだ」と語っています。

 次のテーマ「無意識のゴルフ」にもお付き合いよろしくお願いいたします。最後になりました

が2022年も1年間お付き合いいただきまして厚く御礼申し上げます。ご協力いただきました皆

様に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits 2022

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