無意識のゴルフ 1
無意識のゴルフを目指す
レッスンプロの神様 ハーヴィー・ペニックは「あなたの素振りは世界一美しい」と語っています。

多くのプロは「素振りのようにスウィングしなさい」とアドバイスします。そのココロは、余計なことを考えない、余計なことをしないということです。
素振りと普通のショットの違いは、何か。それはボールがあるかないかの違いです。ボールはそれほどスウィングに影響します。ボールを打つとなると、いろいろな意識がスウィングに影響して、素振りとは似ても似つかない、スウィングというより球打ちになってしまいます。ボールに上手く当てたい、ナイスショットを打ちたい、飛ばしたいといったことを意識しなければ、素振りのようなスムースなスウィングができるのではないでしょうか。
意識を消すこと、つまり無意識のスウィングこそが目指すべきスウィングだ。ハーヴィー・ペニックはそう言いたかったのかもしれません。
無意識のパッティングから学ぶもの
マスターズ・チャンピオンにしてパッティングの名手デイブ・ストックトンは「無意識のパッ
ティング Unconscious Putting」をレッスンしています。彼はパッティングについていろいろなテクニックをアドバイスしていますが、最後に語っていることは「パッティングとは感じたとおりに打つことだ」ととてもシンプルなものです。
ある日、デイブ・ストックトンが練習グリーンでパットを行っていたところ、ショーン・オヘアが見学にやって来て、「信じられないほどリラックスしていて、いとも簡単に(パットを)決めているように見える」と語ったそうです。ストックトンは「それこそが私が伝えたいことだ」と語ったそうです。
「自分の名前を署名して、改めてその署名をなぞるようにすると、2回目はきれいに書けない。パットも同じだ」と解説しています。そして「パットは感じた通り、何も意識しな
いでストロークすることだ」とパッティングの真髄をアドバイスしています。

人間の行動は90%以上が無意識で行われている

人間の行動は90%以上無意識で行われています。歩くときに足や手をどう動かすか、息をするのにどうやって息をするのかなど考えません。無意識で行動しています。
幼児の頃は何もできないのであれこれ教わりますが、慣れてくると何も考えずに自然に行動できるようになります。幼児は1才くらいになると読み書きはできなくても、耳が慣れて自然に話せるようになります。
人間は無意識で行動することが一番自然でスムースに行動できます。ゴルフも無意識でプレーできればシンプルでナチュラルないいゴルフができるのはないでしょうか。

子供にボールを打たせてみると実にユニークなスウィングをやろうとします。それでも結構ボールを打つことができます。人間にはそれだけの能力があるということです。多くのゴルファーは余計なことを意識し過ぎて本来持っている能力を消しているようです。
ベン・ホーガン曰く「ゴルフは単純なんだが、ただそれを知るまでには時間がかかる」です。
無意識のゴルフをじっくり追求してみたいと思います。
(・・・次回に続く)
文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)