無意識のゴルフ 5
二つ無意識を考える
これまで他の人からアドバイスを求められると、ほとんどクラブとセットアップの話しかしていません。スウィングのアドバイスはしなくても、スウィングがスムースになり、ショットが安定します。
先日ある方にセットアップのアドバイスをしたら、ミスが大幅に減ってナイスショットを連発しました。するとその方が「分かった。余計なことをしないことだ」と感想を述べました。これが無意識のスウィングです。余計なことをしないということは、それまで意識してやっていたことをやめることです。一生懸命意識してやっていたことがむしろスウィングをぎこちないものにして、その結果ミスショットが多かったということです。
いつも私は「スウィングの悪い人はいません。だれでもナイスショットを打ったことがあるのはスウィングがいいからです。ミスがでるのは何かしようとしたときのスウィングで、体かクラブか構え方のせいです」とお話します。ゴルフは「体・クラブ・構え」さえしっかりしていれば、あとは無意識にスウィングをすればほとんどナイスショットになるようです。
中部銀次郎は「ゴルフのスイングは、本来きわめて合理的でシンプルなものである。正しくスタンスをとり、虚心にクラブを振っているかぎりボールは真っすぐ飛ぶ」と語っています。
野球でも「理想のバッティング・フォームを知りたいのならば、 一晩中、素振りをしなさい。一晩中、素振りをし続けて、 疲れ果てたときに出てくるフォーム。それが、君にとって一番無理のない理想のフォームだ」と張本勲が語っています。
虚心にクラブを振る、疲れ果てたときのスウィングとは無意識のスウィングです。それこそが本来の自分のスウィングなのです。だからこそパットの名手、デイブ・ストックトンは「打ち方は潜在意識が知っている」と語っています。つまりスウィングは無意識でクラブを振ることが一番なのです。
無意識のスウィングをするための先人たちの示唆
キングオブプロと呼ばれたウォルター・ヘーゲンは「ゴルフの基本など、頭のいい上級者から教えられたならば3日間の勉強で卒業できる程度のものだ。あとは根気よく反復するだけ」と語っています。
ゴルフは基本を学んであとは、それを繰り返して身につくまで練習することです。ゴルフの基本とは何か。先人たちの言葉にそのヒントがあるようです。
「近代スイングとは、運動の節約ということである」ハーバート・ウィンド(ゴルフ記者)
「ゴルファーの腕は、そのクラブでわかる」エドワード・レイ(全英オープンチャンピオン)
「スタンスをとってしまえば、すべてが決定したのだ。なすべきことはただひとつ、ボールを打つの一途あるのみ」レズリー・ショーン(ゴルフ評論家)
ほとんどのレッスンは動ける体であることを前提にアドバイスされています。ゴルフスウィングでハーバート・ウィンドが言う運動を節約するためには大前提として動ける体が必要です。ゴルフの基本の基は動ける体です。そしてエドワード・レイが言うとおり、ゴルファーの能力とスウィングの特性に応じたクラブも前提となります。そして最後は、レズリー・ショーンが言うスタンス(セットアップ)です。これらがそろえば無意識でスムースなスウィングができるのではないでしょうか。
ショットはスウィングの結果です。スウィングは、体×クラブ×セットアップで決まります。この基本を外してスウィングのテクニックを意識しても、基本ができていないので上達は望むことはできません。
中部銀次郎が語る“虚心にクラブを振る”ためには、ただ無意識にクラブを振ってもボールは曲がらず真っすぐには飛びません。そこには前提条件があります。中部銀次郎は“正しくスタンスをとる”ことを条件に掲げていますが、他の先人たちは“無理無駄のない動き” “(身体能力とスウィングの特性にあったクラブ)” も示唆しています。
どうしたら虚心(無意識)にクラブを振ることができるのか、その前提条件を具体的に考えてみたいと思います。
(・・・次号に続く)
文●柳生田幹久(書斎のゴルフWEBスタッフ)
YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits 2023
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