
「バンカーではボールを出すだけで満足せよ!」
ハリー・ヴァードン
オーバーラッピンググリップの考案者として有名なハリー・ヴァードン。それ故にこのグリップをヴァードングリップとも呼ぶが、なぜこのグリップが生まれたのかと言えば、バラのトゲが原因だった。
ヴァードンがプロになった19世紀後半は、グリップといえば10本の指で握るテンフィンガーが常識。ところが身長が2m以上もある無類の飛ばし屋であるバードンにとっては、フックを巻き起こす危険なグリップだった。
ダッグフックを打ったとき、バードンが思い出したのが、子供の頃、手製のバラのシャフトを使っていたときに、トゲを避けて握ったグリップだった。
それは左手の人差し指の上に右手の小指を乗せて握ったもの。バードンがこのグリップでクラブを振ると、右手の力が弱まって真っ直ぐに飛ばせるようになったのである。
そんなヴァードンがバンカーショットで遺した言葉が「バンカーでは出すだけで満足せよ!」というもの。
スコットランドで育ったヴァードンには深く小さなポットバンカーが何よりも危険。欲張ってピンでも狙おうなら、僅かなミスで小さなバンカーに入ってしまい、絶壁のようなアゴに阻まれて何度も打つはめに陥ってしまう。
だから、もしもポットバンカーに入ってしまったら、無理にはピンを狙わない。入れた自分に1打罰を科し、確実に出ると思える方向に出すことを第一義に考える。それが例え後ろだったとしてもである。
容姿は傍若無人という感じだが、意外に慎重なヴァードン。こうした安全策が功を奏し、全英オープンに6度の優勝を果たし、1900年にはアメリカ大陸に船で渡って全米オープンの覇者にまでなっている。
このヴァードンの言葉は、当時サンドウェッジが発明されていなかったということもあるが、我々アマチュアにはサンドウェッジを手にしたとしても肝に銘ずべき金言である。
HARRY VARDON
1870年5月9日、スコットランドのジャージー島生まれ。1937年3月20日逝去。7歳からゴルフを始め、少年時代は地元のコースでキャディをしていた。ヴァードングリップの生みの親であることを讃え、USツアーの年間最少平均ストロークの選手にヴァードントロフィーが贈られている。全英オープン6回、全米オープン1回優勝。
偉人たちの永遠の言葉
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