偉人たちの永遠の言葉27(2023年4月3日)

「ちょっとした見栄がゲームを台無しにする」

アーノルド・パーマー

 アメリカのゴルフ史でこれまで最高に人気があった選手といえば、アーノルド・パーマーだ。何せ、アーニーズ・アーミーなる応援団を引き連れて試合をしていたのだから。全盛期のタイガー・ウッズだって、そんな応援団はなかった。

 なぜにそこまでパーマーに人気があったかといえば、常に思い切りボールを叩き、常にピンを狙ったから。

 これを「パーマーズ・チャージ」と呼ぶが、ギャラリーはいつもハラハラドキドキして、その成功を祈っていた。成功すればぶっちぎりの優勝、失敗すれば奈落の底。でも、成功することが多かったから、パーマーは絶大な人気を誇ったのだ。

 しかし、ギャラリーが期待するだけに、思わず見栄も張ってしまう。1966年の全米オープンでは、最終日、前半のハーフを終えた時点で2位のビリー・キャスパーに7打のリード。絶対に勝てると思ったパーマーはそれまでベン・ホーガンが保持していた全米オープン最少記録を塗りかえたくなる。無理を承知で攻め続けて、2位のキャスパーに追いつかれ、翌日のプレーオフで敗れてしまう。2度目の全米オープン優勝をフイにしてしまったのだ。

 パーマーの言葉、「ちょっとした見栄が、すべてを台無しにする」というわけだ。

 とはいえ、’60年の全米オープンでは見栄を張るのではなく、純心な「パーマーズチャージ」で最終日に7打差をひっくり返して初優勝を成し遂げている。

 チェリーヒルズ1番のパー4では、いきなりワンオン。これと同じことを54年後の’14年のBMW選手権の練習日に、パーシモンウッドとバラタボールでトッププロがワンオンに挑戦するが、マキロイをはじめ誰もグリーンに乗せることはできなかった。

 恐るべし、パーマーである。

 ARNOLD PALMER

1929年9月10日、ペンシルバニア州ラトロープ生まれ。2016年9月25日逝去。5人兄弟の長男。’54年全米アマ優勝、’55年プロデビュー。’58年マスターズ初優勝、以降、’60年、’62年、’64年と4回の優勝を遂げる。全米オープンは’60年に優勝。全英オープンは’61年と’62年に優勝している。

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