百打一郎と申します! 第1ステージ第4回

『案山子ドリル』

 正治さんとの初レッスンの後、私の家のそばにある早朝からオープンしている練習場を教えてもらいました。早速見学に行ってみました。

 2階建てで40打席あり、距離は70ヤード前後のこじんまりした練習場でした。私は自分1人の練習をここで始めることに決めました。

 朝5時に起き、出勤の支度を済ませ、練習場に向かいました。オープンの6時10分前に着きましたが、既に、数人の人が開場を待っていました。私は2階の端の打席に入り、正治さんから教わったボールが比較的上がりやすいユーティリティでのショットの復習から始めました。

 両足を揃え、脇をつけ、腕の力を抜いて、軽く打ち始めました。「当たるかな」という不安からテークバックはぎこちなく、どのようなスイングになっているのか、自分では皆目わかりません。それでも正治さんの教えを繰り返し思い出しながら、真っ直ぐ打とうとはしないで体と腕を回転するように打ちました。真っ直ぐ打とうとすると、すくい打ちスイング(アッパーブロー)になってしまい、しっかりボールを打つことができず、スライスかシャンクになってしまいます。

 今は結果を怖れず、スイングづくりの基本を固める時期なのだと心に言い聞かせました。そして、上からボールを打てるように、クラブを重力に従ってドンと落とすように打ちました。こうするとボールが左に飛び出す「引っ掛けショット」になりましたが、強い打球であれば良いと言われていたので、そのまま打ち続けました。

 その日は、部長からランチのお誘いがあり、早速、早朝練習の報告をしました。話ながら、「ただボールを引っ掛けるだけの反復練習でいいのですか?」と1人練習の不安な気持ちを打ち明けました。

 部長は「君は年齢的にも体が硬くなっているのだから、最初からスムーズなスイングをすることは難しい。まずは、体のいろいろな部分をスムーズに動かす回路づくりをすること。それには体重移動が自然と身に着く『案山子素振り』を徹底して行い、体をできるだけ柔らかくするように」とアドバイスを受けました。

 部長がゴルフを教え始めると、もう正治さんです。店を出ると、さっそく「案山子素振り」を実演して教えてくれました。

「1日に500球も1000球も打って上達したプロが唱える練習法は、体が硬くなった中高年のアマチュアには向いてないのだよ」と従来の持論を展開し、「私を信じなさい」と重ねて言いました。

 正治さんが教えてくれた「案山子ドリル」は以下のやり方で行います。正治さんが紙に書いたものを渡してくれました。それには写真も付いていました。

 「ドリル」

1.クラブを横にしてシャフトを両肩に乗せる。

2.シャフトを両肩に担いだまま上体を右に回す。ヘッドは顔の正面に来る。

3.次に、上体を左に回す。この時、体を正面に向けながら、両膝を曲げて腰を沈み込ませる。そのまま上体を左に回転し、グリップが顔の正面に来るようにする。

※この沈み込んだスクワットの形がサム・スニードのフォームとそっくりなので「スニードスクワットドリル」と私は呼んでいる。

4.この「案山子ドリル」を行った後、バックスイングの時にスエーし右足に体重を乗せ、フォローでもスエーして左足に体重を乗せる動きも試みる。体重移動を大袈裟にやって体に覚え込ませる。同時に体の各パーツの動きが柔らかくなる。

案山子ドリル

※バイロン・ネルソンは「インパクトの瞬間、ほとんどのプレーヤーの顔と体は左肩の回転につれて早く上がってしまう」と述べている。またボビー・ジョーンズは「体をステイダウンしておくこと。起き上がらせずにそのままにしておくことが絶対に必要、つまりボールを打つ際、体の左サイドが起き上がってはいけないのだ」と語っている。このドリルはダウンスイングの時に左サイドの起き上がりを防ぐ大事なドリルである。

文:久富章嗣(ゴルフ工学研究所所長)編集:島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)

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