中部銀次郎 飛ばしの心 其の六

自己最長飛距離ではなく、平均飛距離があなたの飛距離

 中部さんに飛距離の考え方を聞こう。

 「ゴルファーにドライバーの飛距離を聞くと、アベレージゴルファーならばほとんど自己最長飛距離かもと思われる飛距離を言います。上級者ほど飛ばなかったときのことも入れた飛距離を言います。つまり、220ヤードから240ヤードといった具合です。ところが、こういう人でも240ヤードを打てることは少ない。みんな見栄を張るわけです。そしてその見栄のために力んでミスしたり、スイングを崩したりするわけです。

 いつでも謙虚な気持ちを持つこと。210ヤードと言って自分に制約をかけず、220ヤードをコンスタントに打てる人が本当の上級者です」

中部銀次郎

 確かにその通りだろう。見栄を張って、その見栄に見合う距離を打とうと思った途端にゴルフは破綻する。借金を作ったり、会社が倒産することにも通じることだ。身の丈でゴルフをすることが大事なのだ。しかし、中部さんが本当に言うところの飛距離とは、平均飛距離だ。

 中部さんは言う。

 「いくら300ヤード飛ばせますと言ったって、2回打って1回がOBということなら、300+0÷2で、その人の平均飛距離は150ヤードです。だから、いくら飛ばせる人と回っても曲がる人なら恐れることはない。私が220ヤードしか飛ばなくても、いつでもその距離が打てるなら、私の平均飛距離は220ヤード。私のほうが飛ばし屋だと思えばいいのです」

 だからこそショットは正確性がものを言うのだ。

 「よく飛ばし屋と回ると崩れるという人がいるけど、飛ばし屋はいつでも真っ直ぐに打てるとは限らない。そのうち、化けの皮がはがれることも多い。たとえ第2打をいつも後ろから打つにしても、2回で乗るなら同じ。それにいくら飛ばしてもミドルホールは1回では乗せることは不可能なのです」

 中部さんは自分にそう言い聞かせて平常心でプレーすることができたのだ。

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