百打一郎と申します! 第1ステージ第5回

「ホーガンドリル」と「引っ掛けショット」

 正治さんは体の各パーツの動きをスムーズにするためのドリルを10以上も考案していました。どれも試行錯誤の末に辿り着いた、シニア専用の、どのゴルフ雑誌でも見たことのない貴重なドリルと言えそうです。

 私はすでに教えていただいた腕自体を回してスイングする「アームロール」を基本に、先日習った「案山子ドリル」、さらに新しく習った「ホーガンドリル」を取り入れて練習を続けました。

「ホーガンドリル」はかのベン・ホーガンが朝起きたら行っていた、小さなスイングから始め、だんだんに大きなスイングにするというもので、自然と正しいスイング軌道が覚えられるというものです。(写真)

 これらのドリルを行いながら球を打つわけですが、肝心なことはボールをしっかりととらえる、こすらない、スライスさせないということです。正治さんは左に飛ぶ「引っ掛けショット」でいいと言います。ですが、練習場で私を見ていた人が「ミスショットばかり打っているね」と言ったものですから、本当に良いのかと思ってしまいました。そこで正治さんに真意を問いました。

 正治さんは次のように言います。

「レッスン書には一様に、スクエアに構えて、ボール位置は左足前、左腕主体でスイングすると書いてあるが、この通りに打つと、前に言たったように、初心者はほとんどスライスかソケットになる。つまり『アームロール』を入れなければ、真直ぐ飛ばそうとして、スイングはアッパーブローの軌道になり、左腕は開き気味になりボールはスライスになる」

 さらにこう続けます。

「私が今教えている『引っ掛けショット』は、『アームロール』を入れて、クラブを左下に振れば、ボールは左のネットの方向に飛んで行き、スライスは出ない。普通、これはミスショトだと思う人が大半だが、ゴルフは120ヤードのフックボールが打てるようになれば100切りの90台のスコアを出すことが可能になる。『引っ掛けショット』はやがて体の動きがともなって来れば、プルフックからフックへ、フックからドローへと球筋が変化してくる。だから、思考を脱力し、1つの動きに集中して、それを形として覚えるという、10カ条の原則を辛抱してやり遂げることが大切なのだ」

 とこういうわけです。

 正治さんは続けてスイングの原点はフック系という話をしてくれました。

「この理論はゴルフの歴史上初期の理論で原点であり、そこには当時のゴルフコースの状況が関係していた。ゴルフの発祥の地、スコットランドのセント・アンドリュースはすべて右サイドがトラブルエリアであり、一般のゴルファーにとっては、スライサー地獄、フッカー天国と言われたコース設計になっていた。よって、当時はフックが主流のスイングだった。それが時代の流れとともに球筋はフックからスライスへと変わっていき、現在のハイボール、フェードとなった。選手も皆ハイフェードとなったため、その理論が主流となっている」

 つまり、ゴルフにはドローとフェードの理論があるということなのでしょう。正治さんは続けます。

「しかし初心者にはフェードの理論は向かないのだ。なぜなら、スライス系は本能的に球を上げようとするスイングになるので、自然とアッパーブローとなって体が起き上がる。そのためボールが捕まらなくなってしまう。前にも言った『ポップコーンショット』ととなり、収集がつかなくなる。いわば未熟なスイング。この方法を続けていると永遠に108打を打つ煩悩のゴルファーを続けることになってしまう。まずはボールがつかまりやすいフックを身に付けるべきなのだ」

 つまり『引っ掛けショット』をマスターせよということなのでしょう。フックを覚えれば、そのプロセスが参考になり、スライス系も理解しやすいのだとも言われました。

 ジャック・ニクラウスは「ドローが打てれば一人前だ」、「ナショナルチャンピオンにはフッカーが多い」と言ったそうです。つまりドローを覚えれば、上達が早くなり、100切りゴルファーへの近道だというわけです。

 しかし、まだこの時の私には、「引っ掛けショット」がフックボールになるイメージは湧いてきませんでした。

ホーガンドリル
ホーガンドリルフルスイング

                         (次回第6回に続く)

文●久富章嗣(ゴルフ向学研究所所長) 編集●島田一郎(書斎のゴルSTAFF)

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