中部銀次郎 寄せとパットの心 其の五

インスピレーションを大切にする

わき上がった感覚に逆らわない

 インスピレーションとは、瞬間的に浮かんだ考え、直感的なひらめきのことをいう。中部さんはそれをとても大事にしている。

「ボールを打つ前に何かを感じることってよくあるでしょう。これは上手く打てるな、ピンに絡むな、カップインするなとか。さらに言えば、普通ならあり得ないことも起きそうな気がすることもある。かなりのロングパットなのに入りそうだとか、ピンが見えないのにグリーンに乗ったなとか。私の経験から言えば、こういうインスピレーションは90%当たります」

 それは、中部さんが霊感の強い人ということでなく、たくさん練習してラウンドして、しのぎを削るような真剣な試合も数多く経てきていることが大きい。感覚が研ぎ澄まされているのだ。

「でも、いいことを感じるだけではなくて、悪いことも感じるわけですよね。このショットはミスしそうだとか、このパットは入らないなとか。こういうときに無理矢理ナイスショットをしたいとか、何が何でもカップに入れようなんて思ってはいけません。そんなことをすれば、もっとひどいミスになるし、パットなら凄くオーバーしてしまう。ミスが起きそうなら、ミスしても良いと思って打つ。ミスしても大丈夫なところを狙って打つわけです。パットならいくら短くても2パットで良しと思う。そうすれば大怪我せずにパーで済ませることができる。インスピレーションには逆らわないことです」

 そうはいっても突然襲ってくるのがインスピレーション。打つ瞬間に悪い予感がすることもある。

「そんなときは、仕切り直すことです。アドレスを解いて、一呼吸置くわけです。多くのアマチュアはそれをやらない。面倒臭いのか無造作なのか、そのまま打ってミスしてしまうわけです。仕切り直してもそんなに時間をとるわけではありません。逆にミスショットやミスパットしたほうが時間はかかる。だから仕切り直すことです。それが丁寧にプレーすることになるわけです。

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