暫定球の勧め
ゴルフをすれば打った球がどこに行ったか落下地点が見えないこともある。特に球を曲げればそういうことも多いが、友人たちとのゴルフなどではついつい仲間をかばおうとして「大丈夫だよ、きっとあると思うよ」などと言い、つられて他の仲間も「あるある」などと適当にうなずいて、「そうか、大丈夫かな」などと打ったほうもあると思えれば嬉しいので、そのままプレーを進めてしまうことが多々あるだろう。
ところがいざ落下したあたりに行ってみると球がない。皆で捜すがなく、「悪い、あったと思ったのだけど」と謝ることになり、打った本人も「あると言ったじゃないか」と不満を持ちつつも言葉に出せずに、なくなった地点に近そうなところからモヤモヤした気分で適当に前進第4打を打つことになる。こうなると、気持ちはいい加減となり、萎えてしまうのでそのホール、大叩きとなってしまうのである。
だからといって、正式な競技ではないから、元のティに戻ることなどできない。後続組がティで待っていて、自分たちが捜している時間にイライラしていれば尚さら戻れない。であれば、打った球の落下地点が見えず、OBやロストになりそうだなと思ったら、すかさず「暫定球を打ちます」と宣言して、最初のボールとは異なるボールであることを伝えて、例えば「最初の球は1番、今度のは2番」などと言って暫定球を打てばいい。
こうすれば、最初の球がなくても、暫定球をインプレーのボールとしてプレーを正式に進めていくことができる。モヤモヤした気分などなく、すっきりとした気持ちでプレーできるのだ。であるから、打つ人だけでなく、一緒の組の人も、球の落下地点がわからないときは、暫定球を勧めるに限る。全員がすっきりとした気分でプレーできようというものである。
しかも新ルールでは球を捜索する時間は5分から3分と縮まったのだから、ささっと捜してなければ暫定球でプレーすれば良い。非常にテキパキと気持ちよくプレーできるというものである。
新ルールの話が出たが、新ルールではローカルルールで正式に前進第4打が認められた。よって暫定球を打たなくても、なくなったと思われる地点、OBの場合は最後にOBの境界線を横切った地点から、ホールに近づかない最寄りのフェアウェイのエッジから2クラブレングス以内のコース上の後方エリアが救済エリアとして使えることになった。かなり広い範囲が救済エリアとなるので、膝から球をドロップしてそこそこ転がっても救済エリアにあれば再ドロップしなくて打つことができる。球をなくしてもフェアウェイからも打てるのでかなり有利な前進第4打である。
とは言え、これはあくまでローカルルール。公式競技はもとよりプライベートコンペでもこのローカルルールを採用しているかは事前に知っておくべき事柄だ、とはいえ、まだまだ採用されている公式試合はクラブ競技でも少ないし、救済エリアの特定の仕方を知っている人も少ないだろう。というわけで、編集長のホンジョーとしては暫定球を打つことを勧めたい。
さて、その暫定球だが、忘れてはいけないのは必ず「暫定球を打ちます」と宣言すること。宣言を忘れては最初の球が見つかっても暫定球がインプレーボールとなってしまう。また暫定球は例えチョロとなっても、なくしたと思われる最初のボール地点を超えるまでは何度でも打てることをお忘れなく。さらに言えば、最初のボールをなくした地点よりも前に行った暫定球を打ってしまったら、その暫定球がインプレーボールになることもお忘れなく。
とはいえ、新ルールで前進第4打を使うよりも暫定球のほうがよっぽど気持ちよくプレーできると思うし、ローカルルールとして採用しているかを確かめる必要もない。これは『書斎のゴルフ』永久スタッフの1人、磯辺公人氏も仲間たちに勧めていることだ。というわけで、今回のつぶやきは「暫定球を打つ習慣、打たせる習慣を身につけよう」である。