百打一郎と申します! 第2ステージ第5回 

『初ラウンドのテーマとは?』

 いよいよ正治さんと、ご本人のメンバーコースで初ラウンドする日が来ました。予定されているコンペもこのコースで開催されるので、下見の練習ラウンドになります。

 ショートコースとはまったく距離が違いますので、グリーンは遠く見えるでしょうし、アップダウンの傾斜や、ドッグレッグ、池やバンカーなどもあるでしょう。

 プロのトーナメントをテレビで観戦していましたので、コースの状況は似たようなものだろうと何となくわかっていました。やっと私もプロと同じような環境でプレーできるのかとワクワクしました。

 正治さんはコースに向かう車の中で、「アメリカのように毎日でも気軽にパブリックコースでプレーできる環境があれば良いのだが、日本では数時間かけてコースに行き一日がかりになるのが問題だ」と言います。

 ゴルフが野球やテニスと言ったスポーツと大きく違うのは、ゴルフは練習場で練習し、プレーするのはコースというまったく異なる環境だということです。そうした異なる環境で、月いちゴルファーは上達を目指さなくてはならないのです。

 つまり、野球やテニスは同じ場所で同じ環境で練習も試合も行うことができますが、ゴルフはそうはいかない難しさがあるというわけです。

 練習場ではボールのバラツキは気にしないで飛ばすことに生きがいを感じて、練習に励んでも、その経験がそのままコースでのプレーに活かされることは少ないわけです。よく言われる「練習場のショットの50%も本番で打てれば良い」とか「練習場シングル」というのもそのことを物語っているわけです。

 ラウンド経験の積み重ねでナイスショットの回数が増え、上達していくというプロセスは、私のような一般的なゴルファーの環境では難しいのです。

 どうやって、数少ないラウンドで効率よく学びゲームを作り上げていくかが大きな課題となります。

 そう述べる正治さんからの今日のテーマは次のことでした。

「各コースに表示してある。パーの数でグリーンにオンして、ツーパット」

 つまり、ダボペースでボールをグリーンに運ぶということになります。ティグラウンドからグリーンまでの動線を脳の回路に植え付ける。その「ゲーム感覚」を学ぶことだそうです。

 大事なポイントは、ボールを運ぶというのは、グリーンに乗せることではなく、グリーンの手前にボールを置くということです。グリーンの手前からやさしいラインでカップを狙うという意味で、必ずしもグリーンにオンする必要はありません。

 グリーンに乗らないのはミスではありません。寄せやすい場所に運ぶことこそが大事なのです。その発想の切り替えが月いちゴルファーにはできないと正治さんは言います。

 多くのプレーヤーは乗らなければ「惜しかったな~、ミスした~」と悔やみます。次は何が何でもオンしょうと無理を重ねて大叩きするのです。

 ボールをグリーンの手前に運んでおけば、アプローチでやさしい上りのラインが残るので、2パット、たまにはワンパットやチップインも可能になります。つまり、ダボオンのつもりがダボにならずに、ボギーに収まるというわけです。

 多くの月いちゴルファーは、真っ直ぐ飛ばしてパーオンを目指してプレーしますが、現実は、ボールは左右にバラけてしまい、無理にグリーン狙ってバンカーなどに入れて大叩きをしてしまうのです。仮に上手くグリーンにオンしても、奥や右や左の難しいからのパットになり、ダボ以上を叩くことになるわけです。

 もちろん、たまにはナイスショットやナイスオンが出るでしょう。しかし、そうなるとその快感だけを追い求め、「青い鳥」を求めて彷徨う、「チルチルミチル」の世界に入り込んでしまうというわけです。

 そのようなプレーでは、数少ないラウンドで効率よくゲーム性を身に付け、100切りゴルフまで上達することは不可能です。

「一郎君にはそのような、多くの月いちゴルファーの発想から抜け出して欲しい」

 そう、正治さんは厳しい口調で話しました。

 コースに到着して、フロントで受付を済まし、ロッカーで着替えをしてレストランに向かいました。そこにはすでに前回ショートコースで一緒だった常さんと弁さんがコーヒーを飲みながら談笑していました。挨拶とショートコースでのお礼を言って、その談笑の中に加わりました。

 弁さんは私に「正治さんからどのようなレッスンを受けているのですか?」と尋ねてきました。

 私は「未だよくは理解できていないのですが、正治さんの教え方は通常のレッスン書に書いてある教え方とは異なっています」と伝えました。「正治さんが言うには、一般のレッスン書は上級者向けに書かれており、その技を習得するには時間がかかる。練習できる球数もラウンド数も少ない私のようなゴルファーにとっては、大切なのは根拠のある基本であり、それがわかる理解力を養えと言われている」と話しました。

 それを聞いた弁さんは驚いて言いました。「自分は独学で練習してきたが。そんなことはこれまで考えたこともなく、ボールが左へ飛べばそれを矯正し、右へ飛べばそれを修正する。グリーンオンしなければ、次こそはナイスオンだと、それしか繰り返してこなかった」と言い、「一郎君はライバルだな」と冗談っぽく笑ったのです。

                           (次週に続く)

文●久富章嗣 編集●島田一郎(書斎のゴルフSTAFF)

※このたび、久富さんのドリルを集めた本『月3回の練習で100を切る!久富ゴルフ・レッスンブック』の電子版がアマゾンより発売されました。オールカラーの改訂版です。『百打一郎と申します!』がよりわかりやすくなること請け合いです。

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