YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits その8

どうしたらスコアアップできるか Part1 
練習以前の問題と練習の中身の問題 上達しない原因とは

 「激芯ゴルフ」という興味深いTV番組があります。プロテスト合格を目指す女子ゴルファーを特集した番組です。単なるスウィングチェックではなく、それ以前の重要なテーマを追求している点が大変参考になります。プロの卵ですからゴルフが上手いことは当然です。その女子ゴルファーにからだ、トレーニング、クラブ、スウィング、練習、マネジメントなどをそれぞれの専門家がアドバイスしています。プロを目指すトップレベルのゴルファーですが、プロとしては未完成の意外な弱点も垣間見ることができます。

 すべてのゴルファーはスコアアップを目指して練習場に通って一生懸命に練習します。しかし、日々練習場に通って練習を重ねてもシングルゴルファーになれる人はほんの一握りにしかすぎません。ゴルフを始めると誰でも100を切ることが第一の目標になります。そして90切り、80切り、パープレーと目標は徐々に上がっていきます。

 日本のゴルファーはおよそ600万人、そのうち100切りゴルファーは約30%と言われています。HCの上限は基本的に36です。JGA/USGAハンディキャップインデックスの上限は、男子36.4/女子40.4と決められています。
 昔は「スコア100が切れるようになったらゴルフ場に連れて行ってやる。それまでは練習場でしっかりと練習しろ」と言われたものです。今のゴルファーが聞いたら「えー、それじゃいつまで経ってもコースにいけません。お金さえ払えばだれでもゴルフをやれるのではないですか」という反論があるかもしれません。はっきり言って、その考え方は間違いです。
 ゴルフ場でおおぜいのゴルファーが18ホールを回るためには、時間の制約があります。おおむねハーフ2時間以内が基準です。一人一人のプレーが速ければそれだけ多くの人がゴルフを楽しむことができます。オリンピック会場の霞が関カンツリ―クラブでは、ハーフ1時間50分が基準とされていると同時に1組のHCの合計は4名で100以内、3名で110以内とされています。つまり1人のHC25(3名の場合は36.7)が上限とされているのです。

 ゴルフの基本中の基本は、人に迷惑をかけないことです。そのためにも速いプレーが求められます。速くプレーする人はおおむねスコアもいい人です。

なぜゴルフが上手くならないのか(なぜスコアアップしないか)
 ベン・ホーガンは上手くなれないゴルファーについて「練習が必要な人ほど、練習しない」と語っています。
 毎日のように練習場に通っている人もいるでしょう。それでも100が切れない、90が切れないというのは練習の量と中身はもちろんですが、練習以前の問題があるのではないでしょうか。練習とは単にクラブを振ってボールを打つことではありません。多くのゴルファーは練習場に通って、飛距離を求めるだけのフルスウィング、マン振り運動(練習ではない)をやっています。それではスコアは良くなりません。ミスショットの連続では同伴プレーヤーはもちろんのこと、ほかのプレーヤーにも迷惑をかけてしまいます。
 上手いゴルファーはマン振りしません。それが分かってしかも実行できれば、スコアは格段に良くなり、人に迷惑をかけることもなります。

 ツアー最多5回のドライビングディスタンスNo.1を誇る額賀辰徳はU-tubeのなかで「飛ばしの練習をし
ていてもゴルフは上手くならないという事実があります。1年間を通じて飛ばしの練習をしたら、間違いなく次の年はゴルフがハチャメチャになります。1年間飛ばしだけをやろうとなったら、もうそれを考えるだけで怖くなります」と語っています。

 宮里優作は「30Yのアプローチこそが、宮里家のゴルフの基本中の基本です」と語っています。兄の聖志や妹の藍ちゃんも、3人ともに口をそろえて同じことを言っています。「調子が悪くなると、30Yのアプローチを練習する」と語っています。

 しかし、多くのアマチュアは練習場で飛ばしのマン振りばかりを練習しています。ドライバーの飛ばしならまだしも、なかにはアイアンまで飛ばしの練習をしている人がいます。平均して何番アイアンが一番飛ぶかを確認してみると、8番あるいは9番アイアンという人が多いのではないでしょうか。なぜなら7番アイアン以上のアイアンではダフリ、トップ、曲がるといったミスが多発し、平均飛距離が8、9番アイアンよりも飛ばないこともあるからです。AT&Tプロアマの前身のビング・クロスビー プロアマを主催していた歌手のビング・クロスビー(ホワイト クリスマスで有名)は「どうしても友達になれない人種がいる。小さなウソをつくやつと、アイアンの飛距離を自慢するやつだ」と皮肉っています。

 バーナード・ダーウィンは「ゴルファーの練習のやりかたには4種類ある。すなわち無闇やたらと練習するもの、賢明な練習をするもの、愚かな練習をするもの、全然練習をしないものである。」と語っています。多くの人がやっている間違った練習(運動)では、どんなに一生懸命に練習しても上達できません。

 どうしたらスコアアップして堂々と霞が関カンツリ―クラブ(HC25以内=スコア97=1人前のゴルファー)でもプレーできるようになるのでしょうか。先程も述べましたが、日本のゴルファー人口はおよそ600万人、そのうち平均スコアが100を切れるゴルファーは約30%と言われます。90切りは約15%、シングルゴルファーはわずか5%と言われます。ほとんどのゴルファーは100を切れずにゴルフ人生を終えてしまうのが現実です。

 「人生には誰でも4つの記念すべき日がある。一つ目は誕生日、二つ目は婚約の日、三つ目は結婚の日、四つ目は死亡の日である。だがゴルファーにはもう一つこれに加える日がある。それは初めて100を切った日だ」と、リューイス・ブラウンという人の言葉もあるくらいです。

 上手いゴルファーとアベレージゴルファーの違いを観察してみると、上手くなれない原因と上手くなれる秘訣が見えてくることに気づかされます。
 練習場でナショナルチームのメンバーの練習を見ていると、ハイレベルなゴルファーの練習の中身がとても参考になります。彼等は打席に着くとストレッチに始まり、バット素振り、ウェッジの左右片手打ち、アライメントスティックを置いてスタンス・アドレス・ボールの位置のチェック、アプローチ、ハーフスウィングを入念にやって、アイアン、ハイブリッド、フェアウェウッド、そしてドライバーのフルショットをやります。そのうちで圧倒的に多いのはアプローチとハーフスウィングです。
 あるシニアプロに50Yのアプローチで、なぜアライメントスティックを置いて練習するのか聞いたことがあります。答えは「習慣です」でした。つまり目標設定とセットアップがルーティーンの一つになっているのです。それほど目標設定とセットアップに注意しているのです。
 それに比べて一般のゴルファーは、打席に着くといきなりアイアンとドライバーのフルショット(マン振り)を次から次へ行います。なかには打席に着くなりいきなりドライバーのフルショット(マン振り)する人も少なくあ
りません。これでは上達できるはずがないことは誰でも分かるはずです。

 ハイレベルなゴルファーとアベレージゴルファーの違いを比較してみると次のような分析ができます。

 先日練習場で前後の打席のゴルファー20人ほどを観察してみました。
〇ウォームアップしている人は数人(ただし、数分だけ)、クールダウンしている人はゼロ
〇アライメントスティックやクラブなどでターゲット、セットアップ(スタンス・アドレス・ボールの位置)、グリップ
をチェックしている人はゼロ
〇骨盤から正確な前傾ができている人はゼロ(骨盤が後傾している)
〇バラバラなクラブセッティングとツルツル・バラバラなグリップ(ドライバーはXXIOのグリップ30g、アイア
ンはイオミック50gなど)
〇手、腕の使い方ばかりを気にして練習している(手と腕でクラブを速く振る、右手の返しの練習ばかり)
〇脚と腰・体幹の捻転を意識していない(腰・胸・肩の回旋不足、トップでの右脚荷重不足)
〇SBB(ステイ・ビハンド・ザ・ボール)の人はゼロ、頭と上体が突っ込んでいる
〇アプローチは5・6人の人が気休め程度にやっていた、ハーフショットをやっている人はゼロ、全員フルス
ウィング(マン振り)がほとんど

 こうした実態を見るにつけ、先人達の声が聞こえてきます。
「職人の腕はその道具でわかり、ゴルファーの腕は、そのクラブでわかる。」エドワード・レイ
「無理のないアドレスとグリップが、ゴルフの神髄」杉原 輝雄
「スコアの70%はピンから120ヤード以内で打たれる。だから、アプローチとパットを重点的に練習すべきだ」ジャック・ニクラウス
「“ステイ・ビハンド・ザ・ボール”、つまり上体をボールの後方に残せというのは、すばらしい格言である」ボビー・ジョーンズ

 そして、ハーヴィー・ペニックのこの言葉を暗記するまで反芻しようではありませんか。
「2週間、練習時間の90%をチップとパットに費やし、残りの10%だけをフルスウィングにすることです。
こうすれば95のスコアは必ず90になるはずです。私が保証しましょう」
 ただし、実践しなければ何の意味もないことは言うまでもありません。

(次回は再来週)
文●柳生田幹久(YNG研究会 書斎のゴルフSTAFF)

ゴルフレッスンの神様 ハーヴィー・ペニック(1904年10月23日~1995年4月2日(90歳))

ハーヴィー・ぺニックのレッドブック

日経ビジネス人文庫 本條 強 訳

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