YNGゴルフ研究会 書斎のゴルフSpirits その9

どうしたらスコアアップできるか part2

やっぱりパッティングこそ練習すべき最重要テーマ

 スコアはショット36+パット36=パープレー72が理想のスコアです。パープレーであがれるスクラッチプレーヤーはJGAオフィシャルハンディキャップ取得者約15万人のうち、約450人(0.3%)しかいません。日本のゴルファーは約600万人といわれます。日本のゴルファー全体では、スクラッチプレーヤーは約0.05%、シングルゴルファーは約5%といわれます。

 スコアアップのためには上手な人のまねをすることが一つの方法です。PGA会長の倉本昌弘氏は「80を切れない人は、ショットの練習しかしていないのではありませんか。コツコツとアプローチとパターの練習をする。我々プロであれば、誰でもそれだけの猛練習をした時期があるし、今もやっています。90切りはコースの攻め方といったものを考えるだけであっさり切れるものです。しかし、80切りはそうはいかない。かなりの努力が必要です。シングルハンデの方に聞いてみてください。かなり“地道な練習”をした時期があり、現在もしていると思いますよ」と語っています。

 シングルゴルファーになるためには、コースの攻め方を考え、地道な練習、すなわちパターとアプローチの練習をすることだと教えられます。これはシングルゴルファーに限らず、90切り、100切りゴルファーも同じです。以前、知り合いのハンデ2という方に「普段どんな練習をしているか」を聞いたことがあります。「ハンデがあること自体を何とかしたい。ハンデをなくすために、毎日、たとえお酒を飲んだ日でも必ずパットの練習をしています」と言われたことがありました。真似しようと思いましたが、とうていできずじまいで、せめて毎日クラブに触れることでもと、やったことが思い出されます。

 新型コロナで思い通りに外出できない今、取り組むべき練習は家練の代表“パターの練習”につきます。今思いたってすぐにパターに手を伸ばして練習することもできます。パットの練習は、練習用のパターマットでも、カーペットでも、畳でも、廊下でも、やる気さえあればどこでもできます。練習場のマン振り練習は練習にあらず、家で行うパットの練習こそ本物の基礎練習です。

 以前がんの手術を受けて長期に渡り入院しました。素晴らしき大先輩のアドバイスに従ってパター(と「書斎のゴルフ」全刊)を持って入院しました。医師から歩けるようになったら、廊下を歩くように指示されました。廊下を歩けるようになってからは大先輩のアドバイスに従って、病室のベッドの脇で点滴のスタンドをつけたままパターを振っていました。それを見た医師も看護師も「今日の調子はどうですか?」などとニコニコ顔でした。回復してきたことを喜んでくれたようです。そしてそのときです。“頭を動かさない”というパッティングの極意がようやく分かりました。なにせ点滴のスタンドをつけているために頭とからだが動かなかったからです。渋野日向子選手がコーチに頭や手を持ってもらいながらやっているパッティング練習の意味がよく分かります。

もう一度パットについて考えてみる ―スコアの半分近くはパット数―

 一般的にスコアの40%はパット数といわれます。現実には、スコア72ではパット数は29、スコア80では32、スコア90では36、スコア100では40パットくらいになります。ちなみにJGTOの平均ストロークNo.1はチャン・キムで69.42です。平均パット数/1H(パーオンしたホール)は1.7778(16位)です。18ホールすべてのホールでパーオンしたら、1ラウンドのパット数は32.0004となります。プロはグリーンに乗れば確実に2パット以内のパット数になり、チャン・キムはパーオンしたホールで4ストークをパットで稼いでいる計算になります。

ゴルファー2500人のデータ

平均スコア1H平均パット数1R平均パット数
70-791.7831.98
80-891.8833.80
90-991.9636.37
100-1092.1238.1

 平均ストロークが70―89のシングルクラスのプレーヤーの1Rのパット数は36を切っており、90以上のプレーヤーのパット数は36を超えています。パット数36が上級者へのターニングポイントかもしれません。

 は練習せずに上達はできません。ショットの練習は時間も場所も限られますが、パッティングの練習はいつでもどこでもできます。アマチュアが練習して誰でも上手くなれるのはパットです。ところがハイハンデの人ほどパットの練習をしないために、パットの練習の成果を実感できていないのかもしれません。少なくとも平均スコア85以下というシングルゴルファーならパットの練習の意味と成果が分かるはずです。ハンデが少ないほどパットの大切さがよく分かっているから練習するのです。シングルゴルファーでなくても、意識を変えてパットの練習をやれば、必ずその成果を実感できるはずです。実は、パットの練習を飽きずにやるかどうかが、100切り、90切り、80切りの分かれ目です。100切りなら毎日10球、90切りなら30球、80切りなら100球くらいの練習が必要かもしれません。倉本昌弘会長は「スコアを縮められるのはパットだけです」とアドバイスしているのです。

 先日ある方からラインでメッセージをいただきました。プレーしたその日の夜にメールをいただきました。数年前からときどき練習場でアドバイスしている方からです。

「昨日のご指導のおかげで100切りできました。パターがよくなりました。ありがとうございました」です。ついに100切りとは嬉しい限りです。

 この方には少し前にパターフィッティングを受けてパターをチェックしてもらうようにアドバイスしました。プレーの前日に久しぶりに練習場でお会いして「短いパットでショートしてしまいます」と言わるので、“フォローを出す”ことだけを意識するようにアドバイスしました。これまでいつも惜しいところで100が切れないスコアだったのですが、パッティングのアドバイスだけで100が切れました。アドバイスした成果があり、これほどうれしいことはありません。

 100が切れるというのはこんなものかもしれません。これは100切りであっても90切り・80切りであっても同じようにちょっとしたきっかけではないでしょうか。もし前日にパッティング以外のアドバイスをしていたら100を切れたかどうかはわかりません。

パッティングの練習のキーポイント

 倉本昌弘会長は「練習はたくさんパットすればよいというものではないと思います。オートマティックにストロークして、パターフェイスが真っすぐストロークできているか。閉じたり開いたりしていないか。体や顔、目標など、アドレスでのポスチャーで方向がきちんととれているか。そうしたことをストローク毎にチェックしながら練習するといいと思います。」と語っています。

 アマチュアのパットの練習はパターマットのカップに入るかどうかだけをテーマにしています。入るか入らないかよりも、倉本昌弘会長が言うとおり、「オートマティックにストロークして、パターフェイスが真っすぐストロークできているか」をテーマにするとパッティングの練習が格段に濃いものになります。

 ゴルフレッスンの帝王 ボブ・トスキは1978年にNHKでもレッスン番組があり、ちょっとしたブームになりました。ボブ・トスキのレッスン書「アメリカ打法教典」はパターのレッスンから始まっています。パターから始まるレッスン書はこれ以外には見当たりません。ボブ・トスキは「パットからはじめ、だんだん大きなショットにしたのはいくつかの理由があります。第1にショートゲームの重要性です。私はゴルフで大切なのは、旗から30Y以内だと信じています。パットからチッピング、ピッチング&ランのやり方を知り、練習すれば上達できるからです。」と語っています。

 多くの上級者やプロは、スコアはパットとアプローチでつくられるといいますが、パターから始まるレッスンは理にかなっています。

ボブ・トスキのショートパットレッスンの要点

パッティングの正しい構え 

ターゲット・ラインが最も重要

常に構えをチェックする

   パターのブレード(フェイス)をラインに直角に置く

   可能な限り、パターのソールが地面に平らになっている

   直角に置いたブレードをセットアップの基準にすることが大切なポイント

   ラインと平行になるように両足、両ひざ、両腰、両肩を構える

   目はターゲット・ラインに真っすぐであるべき。両目を結んだ線も、ラインと平行になる

 いずれにせよ、正しく構えることで初めて正しい動きも生まれ、感覚も掴めるようになる

ワンレバー・ストローク(手首を使わないストローク)

 これがパターの打面を曲げないコツ

 パターのヘッドでボールをストロークする感覚

 1・良いパットをするための二つの条件両手のグリッププレッシャー。ストローク中の両手のグリッププレッシャーを同じにしておく

 2・方向を正しくする第一条件ワン・レバーでストロークする

左腕とパターが一本で動くことがワン・レバー

手首が折れると距離のコントロールが難しくなる

正しい構えと軽いグリップ、柔らかい腕での感覚に加え、両手のグリッププレッシャーの均一。そしてワン・レバーのストローク。これができれば、ショートパットはほとんど習得できたことになる。

 ボブ・トスキは、パターレッスンで構えとグリップを最も大切なポイントだとアドバイスしています。

スコアアップのためのパットの練習

「パットはただ練習をすればいいわけではない」と倉本昌弘会長が語っています。そして「オートマティックにストロークすることがポイントだ」とも語っています。しかし、その前に自分が使っている“パターが本当に自分に合ったものかどうか”が問題です。ドライバーは毎年新しいものに買い替える人がいます。ところがパターには必ず入るというものはなく、距離がぴたりと合うものもなかなか見つかりません。

 以前、日本ではまだあまり知られていないパット・ラボでパターフィッティングとパッティングのチェックを行いました。このパット・ラボはパターとストロークをトラックマンのようにチェックできます。チェックする項目は、アドレス時のパターフェイスの向き、ストロークのラインに対する方向と上下の方向、インパクト時のフェイスの向きと打点、タイミングなどが計測できます。

 このチェックで次のようなことが分かりました。

〇パターが合っていない・・・パターの形状、パターの長さ、重さ、グリップ、ライ角、ロフト角、フェイスの種類と硬さなど

〇グリップとセットアップ(スタンス・アドレス・ボールの位置)が歪んでいる・・・グリップとセットアップを常にチェック

〇ストロークのイメージができていない・・・手首を使わないストローク

〇ラインの決め方が歪んでいる・・・アドレス時のアライメントとフェイスの向き(ラインに対してフェイスが直角、これが基本中の基本)

〇ルーティン・・・スムースなストロークができる手順

 ラインの決め方、ルーティン、グリップとセットアップとストロークは練習が必要です。しかし、どんなパターを使っているかが大前提です。自分に合わないパターでいくら練習してもパターは上達できません。まずは自分に合うパターを選ぶ必要があります。パター選びもフィッティングかプロのアドバイスを受けることをお勧めします。しかし、パターフィッティングは、簡単に受けることができないのも現実です。パターはいろいろな機会にヘッドの形状、フェイスの種類、長さ、重さ、ライ角、ロフト角などが違うものを試打してみることをお勧めします。プロが使っているからという理由でパターを選んでも、パターが上手くなることはありません。

 以前オデッセイでパターフィッティングを受けたときに、フェイスの硬さに問題があることを指摘されました。それまでは金属フェイスのピンタイプを使っていたのですが、ショートすることが課題でした。フェイスを白い樹脂系の柔らかいインサートのものにしたら、ウソのようにショートしなくなった経験があります。フィッターはフェイスが硬いことがショートする原因だと分析しました。パターは自分の好みもありますが、フィッティングを受けることで倉本昌弘会長が言うオートマティックにストロークできるパターがあります。

 練習はうそをついていません。練習をしないからパターが下手なだけです。練習しなければ、ラインもタッチもでません。練習さえすれば誰でもパター名人になれます。

 まずはフィッティングかプロのアドバイスを受けて自分のストロークに合ったパターを選ぶことが大前提です。そしてパターのフェイスにボールを当ててパターの芯を探してください。あとはボブ・トスキの言うとおり、しっかり構えてからストロークの練習してみてはいかがでしょうか

(次回は再来週)
文●柳生田幹久(YNG研究会 書斎のゴルフSTAFF)

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